2月14日
ハナは本来通りの道筋だった。
だがコチラはかなり変化が有った、先ずコチラへ直ぐに来た事。
そして今回は本来の接触相手で有る無色国家の人間はもう居ない、なので無色国家に現れ旧米国側へ接触した時点で、直ぐに報告が来た。
そうして俺と小野坂は無色国家へ、エミールには引き続き訓練を行わせ、女性体の俺と男性体の小野坂は第2地球の人間と話し合う事に。
話し合うと言うか、お互いに用意したマニュアルでの意思疎通。
だが、コイツらは明らかに英語を話せる。
つまり、小野坂かエミールを取っ掛かりにする為に。
いや、黒い仔山羊が知らずにとは言え、シュブとエルヒムが情報共有をしていたんだったか、それでエミールから小野坂へ切り替えた可能性の方が高いだろか。
若しくは、最初からハナだったからこそ、こうなのか。
『ふぅ、本当に大変ですね、コミュニケーションって』
「だが耳が良いんだろうな、もう発音出来る様になって来ている」
『本当に可能だと思いますか?流石に早過ぎません?』
「だな、余程耳と頭が良いか、慣れているか、最初から知っていたかだろう」
『耳と頭が良いだけなら良いんですけどね』
「あぁ、だが悪意が有れば」
『はい、でも警戒心は見せずに、ですね』
明確な目標が分かると小野坂は力を発揮するのは分かったが、コレで、誰が誘われる事になるのか。
神様からは、小さな強い女性をお連れする様にとだけしか聞いてはいないのですが、どう見ても小さい方は男性体ばかりで。
タケミツと言う女性しか、女性は居ないそうで。
コレは、1度帰って相談すべきなのでしょうか。
武光さんに呼び出され、急遽隠密行動を命じられた。
無色国家で第2地球の人間の監視、またココに来るだなんて。
しかも補佐には賢人君、誂われる可能性が非常に高い。
「うっす、休憩にどうぞ」
誂われなかった。
怠惰に呼び出され、桜木花子の話をする事に。
『断る、可能性の範囲が狭過ぎる』
《判断にはあの第2地球も加味して下さい》
「どう言う事だ?」
《使節団らしき集団が無色国家に現れたんです、使節団なら、誰かを招く筈ですよね》
「桜木君か」
『それでどう加味しろと』
《習俗、風習が同じとは限りません、向こうへ行った時点で嫁入り認定も有るかと》
『なら、いや、行かせないワケにはいかないか』
「だが、なら男を」
《そこも習俗風習で、重要な場所が男子禁制、女人禁制ならコチラで止める事は不可能です》
『あぁ、マジで可能性が増えたな』
「だが、そうなった場合だけだろう」
《桜木花子は現在消息不明、異世界に居る可能性が有ります》
『マジか』
「それは報告には」
《国連にすら情報を上げてませんので》
「コレを警戒して、だけなのか?」
『どう予測した』
《召喚者、李 武光の予測を過分に含んでいますが。私も、可能性が高いと思っている情報です。何故転移して来たか、アレを船と考えるなら、海賊。何かしらの資源が枯渇寸前での、最後の賭けかと》
『まぁ、偶々だとしてもだ、今の状況で無色国家へ接触した時点で、だ』
「あぁ、そう予測するには充分だろう。ただ」
《狙って来たのなら余計に大問題です、何処かで情報が漏れていると言う事なんですから。武光君が排除したから良いモノを、あの犯罪集団と接触していたら》
『国家転覆にお互いを利用し、果ては乗っ取りか』
「だが、コミュニケーションは取れているのか?」
《いえ、ですが明らかに英語を理解している気配が有ると、魔道具で召喚者が確認したそうです》
『つか最優先はソッチじゃないのか?』
《我々が使者と接触出来る事は無いでしょう、なら後は》
「召喚者か、だが桜木君は居ないんだろう」
《もし帰還直後に浚われれば、何も知らないままに懐柔される可能性が1番高いんです》
『あぁ、何処に帰って来るかも未知数だものな』
「しかも向こうがどう探知するか、何処で情報が漏れてるかも不明なら、確かに」
《仮に厄災が終わった後に生き延びていても、想い人は従者、いつどうなるか》
『ソッチを殺せば良いだろう』
《召喚者もまた、従者を少し気になっているかも知れないんです。しかも、異世界での時間経過も不明、思いは時間に濃縮される場合も有りますので》
『あぁ、会えない、そして他と比べれば自覚も加速するか』
《若しくは他へ気持ちが有ると従者が気付いた時点で、殺意へ変わる可能性も有るかと》
『うん、よし、最悪は殺そう。介錯だ憤怒』
「そう、どうして踏ん切りがつくんだお前は」
『不死は辛いだろう、俺もお前も、そして悲嘆も辛いからこそ人間になったんだ。あの魔王も、セバスもアレクもあんなに気楽そうだったんだ。お前の子孫かも知れないからこそ、そう辛い思いをさせない方が良いだろう』
「だが、召し上げの話も有ったと聞くぞ」
《本人がそれに同意するか、確実では無いんです。同意頂ければ1番ですが、そこでまた殺意が芽生える可能性も有るので、憤怒には同意頂きたいんです》
『召し上げの隙を狙って、か』
「分かった、最悪は、だ」
《はい》




