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2月11日

 ハナに小鉢じゃなくて、大皿で貰っておけば良かったな。

 いや、向こうでの食料にもなるんだし、コレで良いのか。


『別に戻らないって決まったワケじゃないのに、何をそんなおセンチになってんの?』

「万が一、戻らない可能性も考えないとな」


『でも結局は、ハナちゃんが幸せになるかどうか、じゃない?』


「前に、RTAとか言って無かったか?」

『あぁ、良く覚えてたね、俺は忘れてた位なのに。もうね、ハナちゃんがどうなるかの方が気になるし、このままもう少し頑張ろうぜ』


「だが、ネイハムが来ただろう」

『あぁ、ちょっとね、ドリームランド経由だったから。ハナちゃんと何か縁が有るんじゃない?』


「本来の方でか?」

『そう、俺らどうしたって23日を超えられないじゃん?その先で、クトゥルフ得たとか、実はハナちゃんのお相手だったりして』


「あぁ、そうか、本来なら、ハーレム形成者になってたかも知れないのか」

『ねぇ、気にならない?本来がどうなってたか、今は幸せなのか』


「気にはなるが」

『俺、良い方法思い付いたんだ』


「それは、本当に良い方法なのか?」

『疑うねぇ』


「取り敢えず、聞かせてくれ」




 俺の思考に変なノイズが混じり出したのは、23日を超えられないって辺りから。

 そんで良い方法って言っちゃった瞬間、イメージが頭の中を駆け抜けた。


 帰還を敢えて伸ばす方法。

 マサコちゃんを大罪化ギリギリまで追い詰めて、居着かせる様に仕向けて、厄災に内包させる。


 いや、コレはダメだろう。

 頭では分かってる、きっとおタケが悲しむし、胃が全部溶けちゃうかも知れないって思う。


 けど、俺は気になる、俺は観たい。


 俺、俺って、本当は何?


 本当は誰?


『君がココでの僕の半身になってくれたら、見せてあげる』


 あぁ、驚異の演算の神様、エルヒムちゃんか。

 良いよ、オッケー。

 先が観れるなら俺は何でもするよ、だってハナちゃんの本来がどうなってるのか、幸せなのか、本当に気になるんだも。


『えーっとねぇ、本来通りにして、帰還を長引かせたら、観れるかなーなんて。裏技を使えば、観れるかも、って』


「それは、それこそ最初の目的から外れるが」

『それはさ、時として目的って変わる事も有るじゃん?けど、おタケの胃が持つかなって心配も有るんだよね。もう疲れたっしょ?何回も繰り返してさ。だから、もしかしたら、ネイハムちゃんが次の候補かも』


「いや、俺はまだ」

『けど胃腸炎になってたじゃん、次も頑張ってもどうなるかだし、可笑しくなられたら、狂われたら困るじゃんか』


 ネイハムちゃん言い包めるの大変そうだし。

 慣れてた方が楽だし。


「そうか、俺の心配をしてくれて。すまんな、だが俺もあの先を観たいんだ、頑張らせてくれ」

『おう』


 こう言い風に誤解してくれるの、本当好き。






 1人にされて、何時間にも感じた。

 けど、経過した時間は1時間にも満たなかった、けど。


『どうして、誰も来てくれなかったんですか』

《緊急性が無い、そしてご自分だけで対処したいかと思ったんですが、緊急呼び出しボタンに気付きませんでしたか?》


『気付いてましたけど、でも、普通』

《ココの普通は違うんですが、今後は誰かを付けますか?》


『いえ、別に良いです』

《そうですか、他には?》


『いえ』

《そうですか、では》


 私はあんなに苦しかったのに。

 病気かも知れなかったのに。


『すみません、お待たせしました』

「いえ、おはようございます」


『おはようございます』


 この従者の人も、愛想笑いすらしてくれてない。

 どうして?


《どうしたんじゃ》

『ううん、何でもない』


 私の事を嫌いだからじゃなくて?

 けど皆が否定する、嫌いじゃないって。


 本当に?

 ココの基準が違うだけ?


『おはようございます』


『あの、お話がしたいんですが』

『はい、どちらでお話しましょうか、中庭が良いですか?』


『はい、中庭で、お願いします』




 別に愛想を振り撒いて貰いたかったワケじゃないけれど、もう少し心配して欲しかった。

 こう素直に言える様になるまで約8日間。


 このままでは、要求しないと与えられない。

 と言う当たり前の事を理解して貰えるのに、どれだけ掛るのか。


『要求して良いんですよ、要求する事自体は悪でも恥で無いんですから』

『けど、子供っぽいじゃないですか、子供扱いされたく無いんです』


『私達の自由とは、求める事も、それを拒絶する事も認めると言う事。それがココの自由なんです、そして求める事に優劣は存在しない。大人だから何かを求めない、と言う事を否定しています』


『けど』


 けど、でも、だって。

 自己が要求する事は恥じるけれど、察しては欲しい。


 でもそれではダメなんです、ココでも、向こうでも。


『慣れです、先ずは慣れていきましょう。先ずはどうしたいですか?どうして貰いたいですか?』


 こう尋ねられる方が子供扱いに相当すると思うのですが。

 ご本人はまだ、気付く気配も無さそうで。


 今の心の拠り所は転生者様からのお手紙と、付随していた飴1つ。

 未だに成果を出してはいない、だからこそコレは励ましと労い、貢献に報いる為にも僕はもう少し頑張ろうと思います。




 桜木さんへの気持ちを整理する時間が出来てしまった。

 瑞安さんと賢人君が復帰したので、僕は強制的に休暇を取らされる事に。


《祥那、何を悩んでいるか言ってくれても良いんじゃないかしら》

「そうそう、偶に魂抜けてるけど、疲れ?」


 正直、この年で恋愛か錯覚か分からないだなんて、流石に。

 けど、相談出来る相手はそう居ないのだし。


「あの、恋愛と錯覚を、どう分けるんでしょうか」

《先ずはお赤飯を炊きます》

「あー、久し振りに食べたかったんだ、良いタイミング」


《それで、どうして錯覚かも知れないと思ったかを、小豆を戻すまでに教えなさい》

「お義母さん、本格的に作る気?」


《久し振りだし、偶にはね》

「えー、待てない、お義父さんにおこわで良いから買って来て貰おうかな」


《そうね、私のもお願い。それで、既にある程度は纏まってるのかしら》


「救って頂いた方が、気になるかも、知れないんです」

《あぁ、恋愛性転移ね。けど、それを気にするって事は職場関係なのね》


「はい」

《それで、お相手が上なのかしら、下なのかしら》


「上です、かなり」

《あぁ、逆よりマシね。それで、利益や何かが関わるのかしら》


「そこが、絶妙な位置です」

《そう、仮にどうにかなるとして、辞めるに値しないお相手なのかしら》


「いいえ、けど、辞めない方が相手の利益にもなる可能性が有るので、微妙です」


《利益相反には?》

「ならない様には、出来るそうです」


《そう区別が付かないのは、どちらも同じだからよ。問題の有る恋愛の構造等を心理学によって因数分解したに過ぎない、作用自体を悪とすると、そもそも恋愛が悪となってしまう。あくまでも悪用されない為に、悪用していないか、されていないかを見極める道具の1つ。結婚後を正しく想像出来るか、判断力が鈍ってはいないかを見極める1つの指標。判断を仰ぎたいなら、お相手を知っている方に相談なさい、そして止めておけ、本当に良いのかと聞かれたら、一旦立ち止まりなさい、お互いや子供の一生に関わる事ですから》


「はい」

《じゃあ、今晩食べたい物を相談してきなさい》


「はい」


 お赤飯は炊かれ無かった。

 けれど、誰かに相談をしないと兄に言うぞ。

 そんな無言の圧力を感じ、後日相談する事を宣言し、寮へと帰った。


「うっす」

「仕事はどうしたんですかね」


「コレも仕事の一部かなーって」

「そうですか、どうぞ」




 殺風景にも程が有り過ぎっすよ。

 まぁ、押し入れの中はヲタクしてるから安心だけど。


《殺風景じゃのぅ》

「そうですか」

「けどぉ?俺にぃ?相談?するんすよねぇ?」


「泣く泣く、致し方無く」

「ショナさん器用だし、両方のパターンを考える、で良いんじゃないっすかね?」

《じゃの、錯覚だった場合と、本当の気持ちの場合、じゃよね》


「その、錯覚かどうか」

「受け入れて貰えないとか失敗する方が錯覚の想定、受け入れて貰えるとか成功する方が本物だって想定、で良いんじゃないっすかね」

《じゃの、錯覚なら失敗するじゃろうし、先ずは慣れと想定じゃよね》


「そうすると、気持ちが固まりそうなんですが」

《本来の要望は判別じゃろ?好きになりたく無いと言う事じゃったら、話は別じゃよ?》

「そうっすよね、諦めたいとかなら、そもそも方向が違うんで。どうしたいんすか?」


「諦めたいです」

「ハーレムが嫌なら整形で良いじゃないっすか」


「能力まで失うんですよ?」

「それは桜木様が選ぶ事じゃないっすか。じゃあそれを選ばせないってのも、何か違くないっすか?」


「ですけど、性格まで変わってしまうんですよ?」

「どれか、どこか、失ったり得たり、全部は無理じゃないっすかね」

《そうじゃよ、ハーレムの良さは支え合いが可能じゃ。1人だけの良さも有るが、全てを補うは不可能じゃし》


「まぁ、ショナさんは嫉妬とか無さそうっすけど、ハーレムじゃ無いからって嫉妬しないワケでも無いだろうし。誰にどう嫉妬したり心配するか、何をどう心配するか、そうスライドして変わるだけじゃ無いっすかね」

《じゃの、花丸をやろう》


「あざーっす」


「僕には、高度な問題過ぎるのでは」

「そっすねー、先ずは、心の鋼のパンツ脱ぐ処からじゃないっすかねぇ」


「童貞だからと言いたいんでしょうかね」

「違うっすよ、けど好きになったら皆が皆、恋に()()()だとか言うじゃ無いっすか、抗えなさを知ってれば、また違う悩み方なんじゃないかなーってだけっすよ」


「君ならどうなんですか」

「少なくとも抗うと余計に引きずり込まれそうだし、相手の事を考えないなら全無視っすね。他の人を好きになれるかも知れない、とか妄想して、見ないフリ、気付かないフリに全力を注いで。後で何かあった時に後悔して、悲劇のヒロインぶる、そんでソレをネタにして女漁りして、一生引き摺って終わり」


「それ、僕がそうした場合の事を言ってますよね」

「いやー、流石に女漁りはしなさそう。寧ろその後悔を盾に、一生独身ぽそう」


「お付き合いをする以外に学習方法は無いんでしょうかね」

「それこそフィクションだノンフィクションだ、って読み漁ったら良いんじゃ無いっすかね?」

《ふむ、エナがオススメを送った、じゃと》


「流石早いっすねぇ」


「ありがとう、ございます」

「まぁ、会えない時間が気持ちをうんたら、とかも有るんですし、無理に考えるより感じる方を優先させた方が良いんじゃ無いっすかね。詰め込むにはまだ早いかなとも思うんで」

《まぁ、全てはお主次第じゃよね》


「そっすね」


「はい、ありがとうございました」


 悶々としてんの、珍しいから桜木様の為に撮っとこ。

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