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いのちの詩(仮題)

問い

作者: 浮き雲

 マクロの視点で見ても、ミクロの視点で見ても、この世界は矛盾だらけです。私が快適に生きることは、きっと、誰かを苦しめることでありながら、その関連性は巧妙に覆い隠されています。

 例えば、「消費は経済のために良い」こととなっています。たぶん、間違いはないのでしょう。「消費は日本経済の成長のために良い」と二文字を付け加えれば、さらに良くなります。

 でも、資源も食料自給率も低い、この国で消費が活発化するということは、資源を生みだした国々からたくさんのものを買い取ることです。その際、安く買えば買うだけ、この国は豊かになります。

 どうしても、この国が豊かになることは、どこかに国々の犠牲のもとにあるような気がしてしまいます。

 一方で、この国の唯一の武器であった経済活動はその力を失いつつあります。少子高齢化による労働人口の減少、収益性の高い産業構造への移行の遅れ、労働対価の抑制などなどが影響しているのでしょう。

 安くて質の良いものを提供する国民性、仕事は生き甲斐であり、お金だけのためじゃないと言い切る国民性、そういった美徳とも呼べるような価値観が、ぐるぐるとネガティブサイクルとなって、この国の変化を妨げているようにも思います。

 そう思いながら、いまのままの、いえ、いまよりも前の、この国が好きだったりします。地域性があり、作り手や売り手の顔が見えた時代にノスタルジーを感じます。

 誰かの犠牲の上に、誰かが「いのち」を享受している。それは、なにも、今に始まったことではありません。人類が採取生活から栽培生活に移行したことによる必然です。その呪縛を、何千年と解決できないでいるのです。

 それは、先の内閣の「三本の矢」のときの、実際には、それさえも起きなかった「カクテルパーティ効果」の図式から見ても明らかです。労働対価と言いながらも、(政府が言ったように)ほとんどの人間は零れ落ちるカクテルのおこぼれにあずかる存在なのです。しかも、零れてくる量は注ぎ手次第です。

 資本主義は、自由主義でも平等主義でもありません。自由(?これさえも危ういですが)に競争ができる社会、経済活動における階層社会なのです。

 社会主義や共産主義にも平等はなく、指導階級という特権階級があります。自由についても、より制約された自由しかありません。

 第一、本当に平等な社会が訪れるとして、この世界には、すべての人たちが平等に豊かな暮らしができるだけの資源があるのでしょうか。


 2015年に国連で採択された「SDGs」が動き始めています。食品ロスやプラスティック等の廃棄物の問題も身近になりました。すでに、積極的に動いている方々がたくさんいらっしゃり、頭が下がる思いです。


 少しでも、よい方向に向かえばいいなと思いながら、結局、私自身は悩むことしかできない人間です。そんな人間の自分に向けた問いですが、最後に弱音が漏れました。




飢えることなく生きる、しあわせ


2割の人間が5割の食料を享受する矛盾に背を向け


食文化と美食いう価値の創造の上に


1年のうちに、東京都の人口以上を餓死させている、ふしあわせ


それとも、しあわせ




楽しむために生きる、しあわせ


働くことが生きがいだと聞けば、古臭いと笑い


「生きるためだ」と、飢えた人たちと同じ言葉を使いながら


仕事以外の時間を遊びつくす、しあわせ


それとも、ふしあわせ




おだやかな暮らしを信じる、しあわせ


あたりまえのように、1年先を思い描ける、しあわせ


突然、いのちを奪われる心配もなく


安心して生きることに悩み、自らのいのちを閉じる、ふしあわせ


それとも、しあわせ




絶対的な尺度のない、しあわせ


満足や幸福は比較して感じるものだから


他人より貧しいことの「ふしあわせ」は


飢えることなく生きている「しあわせ」を消し去り


貧しさという「ふしあわせ」が


たまさかのご馳走で満ち足りるという「しあわせ」を生みだす矛盾




そんな、矛盾の中に生きていることは


矛盾の中でしか生きてゆけないことは、しあわせ


それとも、ふしあわせ




誰か、教えて・・・




特別な主義・主張があるわけではありません。誰もが考えそうなことを、あえて言葉にしてみました。

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