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逃げた皇子と逃げ出す公女は、勉強になりました。  作者: 潤ナナ
第一章.皇子と公女は逃げました。
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第二節-00.皇子、家出しました。出逢う。

今回のお話し長かったんで、二分割したら、こうなった。

明日は、二話上げます。

◇◇◇


「姫様、おやすみなさいませ」

「ガルデニア、今日も一日ありがとう。おやすみ…」


 ガルデニアには暫くの間、寂しい思いをさせることになるけれど決行は深夜、日付が変わってからだ。


「さて」


 寝間着から街の娘の着るような麻のワンピースに着替え、バルコニーから下へ降りる。何度も降りているので、今更失敗することは無い。

 お城の外縁を北へ行く。直ぐウイエの小屋に着いた。



「ウイエ、ウイエ」

「早く入んな」


 小屋の戸をウイエが開けてわたしを引っ張り入れる。


「大丈夫?手筈通りに!」

「白号は小屋の裏で待機してるぜ!じゃあ五分後にな、姫さん」


 そう言ってウイエは厩へ走って行った。

 靴をブーツに換え、革の胸当てと膝当て、太めのベルトを装着短剣を左腰に。後はリュックを背負って白号の側へ。


───ヒヒーン。ブルルルヒィヒーーーーン!ブボォヒーン。

 厩から馬の嘶きが響く。

 因みに、ウイエの用意した『白号』はお馬さん。四肢が白いのでそう名前を付けた。

 誰が?って、まだ幼かった。とだけ言います。


───厩から馬が逃げ出したぁー!他の馬も興奮して手が付けらンねえー!助けてくれー!


 ウイエ、演技下手過ぎ。まあいいわ。予定通り白号に股がって、「ハイッ」と掛け声を掛ける。白号は「フヒーン」と軽く嘶ぐと「グンッ」と加速した。お城の東側の演習場を真っ直ぐ横切り、わたしと白号はお城の敷地の東端へ急いだ。

 問題はここ!高台にあるマロンダム城の東側は崖。崖とは言うが30~60度の勾配と言ってもいい。

 勾配とは言ったが、ほぼ崖。昼間に何度かここを下りる練習をしている。最近、嫌がらず走り下り成功が、三回もあった。


 夜は初めて───────あん、あっ、あれ?わたし、落ちたあああああぁぁぁぁぁーーー!キャアアアアァァァーーー………。。。

 ……フルフェイスじゃあ無いけれど革製だけれど兜被ってて良かったわ。あー、落ちたのねー。

 左、右手大丈夫。右腕、左腕も大丈夫。立ち上がってみましょう!うんん~~~ん両足大丈夫。


「お尻イターイ!」


 多分、右のお尻痣んなってるかしらねっ。もう夜明けだわ。どんだけわたし気を失っていたのだろう?三時間、くらい?かな!

 さて、予定は未定とはよく言ったもので、出だしから狂って仕舞った。。。

 さーて、と。先ずリュックの確認。


「背負ってた。よし!」


 中身を確認。~確認ちう~~~~~。


 岩塩、胡椒、おやつ、……ああっクッキー粉々!商業組合の証文、干し肉塩漬け肉、乾燥野菜、……もけっこう粉々。隠しに金貨三枚、あった!


「よしっ!ほぼ問題無し!では、ウイエの実家へ行きまっしょい!」


 白号(あいつ)何処走って行っちゃったんだろ?もう白はいっか!城下まで歩きだ。あっわたしお城から下に落ちて今、城下だ!って何バカなこと考えてんだ。『城下町のウイエの実家』に行くんです!

 どのくらい時間掛かるんだろう?取り敢えず歩こう。

 ♪歩こぉー歩こおー!わたっしはぁーぁ、元気ないしぃー。。。


「?………ぁぁあっ!?───朝日が左から差して来てるぅ!知らないうちに城下町とは真逆な方向に歩いてたあー。森の中は方向間違え易い。とか、同じ所をグルグル回る。とか本当だったんだ!勉強になりましたっ!ちっきしょおぉぉぉーーーっ」


 もういいや、北へ向かおう!マロンダムに、マロンダムのダム。文字通りダム。人工湖のことだよマロンダムって!ダムのところに集落があったっけ。遠乗りで何度か行ったっけ。


──────────────────。


「もう日が天上!?6時間は歩いたかしら?もう げ ん か い ☆ラヴ!」


 ああー!集落。っつか、大きくなってね?集落、もう町にハッテンしているよ?


 因みに、ハッテン。とは、『男性と男性の為の……』と言う意味では無いことをここに記しておく。





◇◇◇


「姫さん起きやしたね!起きがけ一杯です。ドォーゾ」


 木のコップを受け取り、「ゴキュッゴキュッ」と呑みほした。


「ねえーこれ麦酒じゃん?ピエールピエールさんよお」

「あっはっはぁー!呑み干してから言うのは無しですぜ?姫さん。それと、アッシはピエール・ピーウェルですが何か?」



 彼、彼らは石工職人。ダムの建設、修繕を行う集団だ。


「そっかあ、今夏期だもの、秋の長雨の前に壊れた所治すんだよね!それと今年は拡張工事も本格的に行うのでしょう?」

「流石我らのペリィ姫だ。分かってるねえー!

 そりゃそーと、今回かなり込み入った事情があるんでしょー!?とりま風呂入って下せー。」

「ああ、ありがとう。じゃ、風呂終わったら事情説明責任と相談事」

「了承!」





(かしら)あー!言われたモン揃えて持って来やしたあー────あーーーぁー。。。ふつくすぃいいーーー。可憐だあー!───ふうぅぅぅー」


 ピエールの部下であろうか?部屋の入り口で固まっている。大丈夫かしら?


「おいー、シャルよー見惚れてんじゃねーよー。このお方は、我が国の至宝だぜー?変な気い起すなよー。おいシャル!正気になれ」


 ピエールはシャルと呼んだ男性の頬を両手で「パンッ」と、挟み叩いた。


「イッテーよ、お頭あー!」


 動いた。


「つぅか誰?その別嬪さんってか美少女はあー!?」

「国の至宝って言ったらペルスネージュ姫に決まってんだろーがー!」

「えええーーー!オレと結婚して下さい!」


───ドカ、ゴキッバスッボカッドスン。。。


 ワラワラ集まった石工職人集団に寄って集って殴られ、沈んだシャルさん、君?まあ、シャル。


「──────で今、公都に帝国第一皇子が姫さん待ち構えて、その他、王子が来ている。とー?」

「姫様あー、もてもて、と言うか、結構ヘビィじゃん!」

「勉強諦めるんすか?あんな頑張ってたのに!ウッウゥ、ウッ」

「泣くなって、イッシー。ケド、悔しいッスねぇ」

「「「「ぶっ殺しましょう!」」」」


「皆、心配してくれて、わたしの代わりに怒ってくれて、ありがとう!やっぱりわたしは公国の皆が大好きです!臣民皆愛しています!好きです」


 片っ端から皆に抱きついて回った。30分掛けて。

 シャルがまた固まった。


「シャル、おめー染め粉(茶色)買って来い!サム、イッシー、姫さんの防具の修理頼んで来い。もし修理不可なら同等の物購入。マリエンヌはブラウスと丈夫そうなパンツ、ベルトは姫さん持ってるので十分そうだが、良さ気なのあったら購入!それとマントな。フード付きの外套のがいいかもだ。アリエルは保存食の購入二日分くらいな。馬買い付けオマエ行け。よし全員行ってこいー!」

「「「「「了解!!!」」」」」


「姫さんウチの石工組合事務所(ギルド)の真向かいに鍛冶屋があるんだ。で───おい!剣得意なの誰だっけ?「ジャンだ!」──そのジャンに剣見立てて貰いなー。ジャン、姫さん任した」

「おう了解だぁ頭ぁ。じゃ、姫様」

「お願いしますジャン」

「お、おう」


 かなり狂った予定だけれど、仕切り直しで再始動。





◇◇◇


 石工職人の皆にお世話になった。


 今、背負っているリュックの中には、元から持っていた物の他に追加の保存食と薬箱が入っている。

 公城の敷地から落ちて、無くなった短剣の代わりの新しい短剣も腰のベルトに着いている。

 少し緑がかった茶色の外套は、いい感じに目立たない。

 が、如何せん髪色が問題だ。


 茶色の染め粉。

 シャルさんが買って来てくれた茶色の染め粉を使ったのだが、『輝くような黄土色』と揶揄された。


 なんだよその表現!


「ああ、ふつくすいぅー」


 と、シャルさんは言うが、


「洒落になんねー程、派手な金髪になっちまったなあ」


 と適切な評価を下したピエールピエール。ピエール・ピーウェルさんだわね。


 だが、全くだ。


 まあ、そんな感じだが、わたしは城下町にあるウイエの実家を目指し歩いた訳だ。




 馭者で厩番のウイエの実家にも厩がある。

 本当にお馬の好きなウイエらしい。


 半日以上も歩いてたどり着いたウイエの実家だが、厩には一頭の馬も居ない。

 確か、四頭馬を飼っていた筈だ。

 不思議には思ったわたしだったが、ウイエの家族が居るであろう母屋へと回ろうとしたその時、視界の左隅に「キラリ」っと言う光が写った。


 帯同している短剣を抜くと、丁度そこにナイフが当たった。

 心ならずもナイフを往したようだ。

 で、わたしは逃げた!

 逃げながらの魔法の行使とか、中々難しい。





◇◇◇


────ぉぃ、そっち言ったぞ!──────ドッ…ォォオンッ。───こ、こいつ、魔術使うって聞いて無えーよぉ────大丈夫、魔封じの護符、ウイエのヤツに貰ってる────


「───う、ウイエ?ウイエですって!あの方、わたしを売ったのですか?」

「諦めな、売り先は何処ぞの王族よぉ」

「王族?皇族では無いの?」

「………ぇえ~。どっちだ?」

「知らん!それより護符」




 気が付くと、亜麻色の髪をした蒼い瞳の青年、……少年の顔があった。



「大丈夫ですか?お怪我は……無いですね。と言いますか、王族とか皇族とか売られたとか聞こえましたけど、トラブルですよね?」


 なんて、なんて綺麗な亜麻色の髪。そして、湖面のような瞳なのでしょう。。。


 ああ、運命って、あるのだわぁぁぁーーーっ!

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