第一節-02.皇女、失踪しました。思慕の念。
狂言回しのジャンゴ改め、シヤン(犬の意)の二話目です。
注;不快な表現があります。←何時もですが……
◇◇◇
私はバルザミーヌ。テター伯爵家二女、一応学園を次席卒業の才女なのですわ。
只、未婚の母で、今となっては幾ら成績優秀でも、使えない只の女って言うカテゴリのダメ人間だ。と思う。
役に立ったのは、公爵令息の性処理くらい。
あとは最近、知り合った可愛らしい公女様の恋の悩みを訊いて差し上げた。って、ところかな?
今日、久し振りに、………三週間振りかな?にヴォル君に会った。
益々男前に、………じゃ無くって、彼が珍しいことに私を頼って来たのよ!気さくな振りした孤高の彼が、……頼りになる姉貴的に嬉しいかも!
お父様に言われた。「ネモフィラ皇女殿下が悩みを抱えて、遠方のヴォル君に保護を求めて出奔して来たらしい」と、……「皇宮でトラブルらしい」と言うことで、ネモフィラ殿下を預かった朝。
「バルザミーヌ様、本日より、乳母役を仰せ遣ったネモフィラです。母乳は出ませんけど、それ以外のことをお手伝いさせて頂きます!」
私付きの侍女コラリーが、「うーん…」と言う声を発し、その場で倒れ込むのも仕方の無いことだと思う。
「あら、大丈夫ですか?確りして下さいませ!……すいませんバルザミーヌ様、私応援の方を連れて参ります!」
そう彼女は言うと、私の制止に気付かず、部屋を飛び出した。
間も無く、父が連れて来られた。
父など連れて来て、どうしろと、……まあ、「すみません。知っている方は、伯爵だけで………」と言う殿下の可愛らしいったら無いわ!
そんな高貴な乳母を得た私バルザミーヌは、コラリーを使い潰すことになろうが、ネモフィラ殿下の教育を一任した。
そりゃあコラリーに取って雲の上の存在と会話をするだけでも負担だとは、思う。
昔々なら天上神子、天子様として崇め奉られる相手が、ネモフィラ殿下なのだもの、面だって本来は上げてはいけない存在ですかね。
聖都都民のコラリーなど、民間ではその傾向が強い土地柄なのだから、尚更だ。
残暑の季節ではあるが、それとは明らかに違う汗を掻きながら、コラリーは、殿下におしめの替え方をお教えしている。
「お嬢様、た す け て !」
と言うコラリーの口の動きを何度も見た。
一端コラリーには下がって貰い私は、我が愛娘に授乳する。
すると、キラキラ輝く宝石のような紫青の瞳で、殿下が私の授乳の様子を見詰めている。
「なあに殿下。私のパシフロールが欲しいの?」
「いえ、そう言う訳では、……可愛いな、一生懸命飲んでいるな。がんばれ、って思って……」
「そう。あのね、ネモフィラ殿下───」
「あのっ、よろしければ、私をフィーリィと」
「なら、私はバルザよ?フィーリィ様」
「はい。バルザ様」
「はい」
ヤっべえー、何この子ぉ可愛過ぎんだろうがっ!凡そあのナル坊の妹とは思いたくねー!!!
因みナル坊って言うのはナルスィス殿下のこと。アイツ、我々貴族には孤高の、私態度の癖に、明らかに目下の者には、威圧的で高圧的で、嫌いな種類の人間だ。と、思う。
「フィーリィ、この子パシフロールはきっとこれから苦労すると思うの。私が勝手に生んだ子どもだから、………でも、名付けたヴォル君、………ヴォルビス殿下は、この子に『聖なる愛』と言う意味の名を送ってくれたの。凄く励まされたし、感謝している。
まあ尤も最初自分の好きな娘の名前を付けようとしたのだけれどもね。あはは────」
「好きな人、……兄様に好きな人がいるのですかっ!」
「そうよ?その────」
「どっ、何処の誰ですのっ!……そんな、そんな、……そんなこと絶対、許せ無い!」
まさか、とは思っていたが、これ程までとは、……………交流のある学園の後輩達とか、皇宮の女官共から漏れ訊いていた『本物のブラコン』、ネモフィラ・マルゴー・エデルヴァイスの実態を目の前に私は、どうしたものかと思惟を始めて─────
「私、ナルスィス兄様に犯されそうになった時、ヴォル兄様なら抱かれたいって思ったわっ、今私に乗っているのがナルスィス兄じゃなっくって、ヴォル兄様なら良かったのにって、……はっ!い、今の無し、無しですにょよぉーあわわわぁ、はあぁぁー、もう、ダメぇ、言っちゃったあー」
なる程ねー実兄に思慕の念ですかあー。
ん?訊き捨てならぬ言葉が、「ナルスィス兄様に犯され…」「乗っている」だと。
私はベルを鳴らし侍女を呼ぶ。そして、パシフロールを暫く預かるよう言い付け、同じく私の私室に誰も近づけ無いよう言い含めた。
「フィーリィ、これはヴォルの先輩として、……いいえ、フィーリィの学園に於ける大先輩の命令よ。皇宮で貴女の身に何があったのか、全てお話ししなさい。重ねて言います。これは命令よ─────」
◇◇◇
「一応、やることのお復習はすんだかい?シヤン」
「はい、殿k……っと、なんとお呼びしたら」
「そおだったね。じゃあ、ヴェニュスに習って、『旦那様』にしようか?うん、そうしよう。我ながら冴えているよシヤン。これで僕に彼女が特別では無いと知ろしめよう!」
「つまり殿下は、『旦那様』と言う呼称が、妻特権の呼び名では無い、……そう周囲にもヴェニュス様本人にも分からせたい、と」
「丁寧な解説と補足を感謝するシヤン。では、旦那様でお願いします」
この皇子様って、学園の時も思っていたけど、僕とかの下級下位貴族に対しても対等なんだよなあー。
何だろうか?僕も殿下のような人になってたら、昨日の朝のような横柄な態度とか、……それ以前に僕は何時から、選民志向になったんだろう?家族、も。周りの者達だって、『我々は神に選ばれ帝国の礎を……』とか、じいさんもよく言ってたし、そう言う環境下で育った僕と、それよりももっと雲の上の存在たる殿下は、どうして、こんなにも下男下女すら魅了する人物になれたのか?不思議。
前教皇アドリヌス十四世の葬儀は正午《中の鐘一つ時》から始まる。
殿下、……僕の旦那様は、故人のご遺体の安置された祭壇に向かって左手側に座る。
祭壇に近付く程に教会内の地位が高い者が座るようなのだが、殿下はなんと二列目の一番目。
列は、前、中、後の三列が基本で、前列は、各司教区長及び、枢機卿。中列が各所教会の司祭長、つまり商会的に言うと支部長級。で、後列が司祭。
若輩の15歳の殿下は詰まるところ、枢機卿の直ぐ次と言う地位と言うことだ。
どんだけ優秀なんだよ、僕の旦那様と言う人は────
因みに祭壇の右手の列は皇帝以下皇族各国元首らと主だった貴族家当主である。
で、旦那様の懸念していた方、旦那様の兄君のナルスィス皇子の参加だが、どうもいらしてはいないようだった。
居れば、皇帝陛下とミラベル妃殿下のお側に座っているのだろうから、……まあ、何を警戒していらっしゃるのか、それともお顔を合わせづらい状況なのでしょうか?まあ、僕などに天上の方々のお気持ちなど図りし得無いことなのは確かだし、……やはり、こう言う公式の場にはプリムヴェーラ妃殿下は参加されないのだ。
改めて思うよ。門閥貴族の力を。
葬儀は、南部司教区長で、聖都の教会本部司祭長であるヨハン枢機卿。
次期教皇と目される人物で、フォートなんとかと言う南部の伯爵家の嫡男であるにも拘わらず、教会に生涯を捧げた人物。と、必死で覚え込まされた。今朝、……僕、学園でもギッリギリで単位取って且つお情けで卒業出来た口なんですが、……朝からお勉強とか、無いわ。
因みに、何故聖都を含む地区が、南部司教区なのか?中央司教区が帝都にあると言えば、お察しの通り、高度に政治的な事情なのだ。
葬儀は滞りなく進み故人に献花を、……アドリヌス十四世のお好きだった菊の花を一人一人が献げた。
順番は、左右の高位者から、右側、左側、右、左、……と進む。だから、皇帝陛下から始まる。
中列組からは、祭壇の右手も左も同時に献花をする形に移行する。
そうでなくては参列者の数を一日では裁け無いのだ。
実は警護官も主人といっしょに献花出来るので、不謹慎ながら、今回警護の僕は少し嬉しかった。
思わず、「役得、役得」と、声を出して仕舞う程には。
献花の後は、別会場での、『故人を忍ぶ会』的な立食形式の食事会となる。
勿論、この会食に参加出来るのは、貴賓の方々だけなのである。
我が旦那様も参加されるので、警護官たる僕も同行した。役得だ!
「ん?君誰?あまりこちらに近付くと───」
「わからいでかや?」
あ、ヴェニュス様。
「我の旦那様ぞ。不貞の輩からお守りするはトーゼンよ」
と、言うか黒いフード付きマントの貴女がその輩っぽいと、思────
「ヴォルよ」
ふ、あわわわわあぁぁーーーっ。へ、陛下がこんな間近に!あり得ない!っつか、僕今、皇子様とごいっしょしていたんでした。。。
「壮健であったか、何よりだ」
「はっ。ありがたきお言葉。陛下に置かれましてはご健勝のことと喜びを禁じ得ません」
「相変わらず、真面目君だなーヴォル坊」
「お、お止め下さい父うへぇ、ゴクゴクン」
ちょー、何をヤってンだへ い か はあぁぁー!!??
「未成年のヴォル君がお酒飲んじゃったー!いっけないんだあー!」
「ヴゥーゲホゲホッ、ゲホゲホッ。マジそう言うの止めてよおー父上ぇ。怒るよ?」
ワインボトルを口に突っ込まれ盛大に噎せる殿下。実行犯の陛下は声にならない笑い声を出してヒーヒー言ってるし、……何だろうこの状況。
「時にヴォルビス、フィーちゃんは元気か?」
「はい、訳あって居場所をお教え、……する必要も無いですね」
「ああ、私が懸念しておるのは、フィーちゃんの心のことだ」
「精神的な苦痛を負ったと?」
「そうだ。だが、良い選択をしたようで私は安心は、しておる。(人選が良い、バルザミーヌ嬢とは中々憎いね)」
「もうお知りに、……ああ、イビスキュス辺りか、第七隊が……で、他に懸念すべきことが?」
第七隊、って言った。イビスキュスって、ジェルブラの弟、じゃあ僕は殿下と第七小隊にケンカ吹っ掛けた本物のバカだったってこと、………僕はとんでもないことしたんだなあー。ま、今更感半端無いか。。。
「で、そこの男は────髪も綺麗に刈り上げてはいるが、パンプルグスの倅か?申せ」
「はっ!シヤンと、申します陛下」
「ん?……名前をk……そうかシヤンか、どうか我が愛息の企ての一助となってくれぬか。きっと国の為なのだからの」
「はっ!仰せの───」
「うるさい!張り切るのも時と場合を考えい」
痛かった。殴ったヴェニュス様にうへへへ。。。それに陛下によろしく言われた。
意外、僕の人生逝けるかもっ。
「して、そちらの御仁、……これは、聖獣様でありましょう。お初にお目通りした。私はこの帝国を預かるクリザンテム五世と───」
「クリス坊であろう?立派に、老けたの。まあ、覚えておらぬよの。三つか四つの童子であったのだからの」
「なんと!では、あの大狼の、───」
「多分それは我の母ぉ。我はその他大勢の子狼の一匹じゃ」
「何となくですが、ノールプラージュの草原で小さな子犬、……失礼、子狼と戯れた思い出はございます。あの時はありがとうございました」
「今更よの。で、我は旦那様、……我旦那様ヴォルビスに付いた嫁として」
「おい、巫山戯るなヴェニュス!」
「よいではないか嫁の三人くらい、きん○まの小さい男よお」
「ん?三人とは、公国のペルスネージュ嬢と後は───」
「クリス坊、よう覚えておけ、我美の女神ヴェニュスとその妹クロワッサンが嫁よ。特に我妹クロワッサン言うと怒るでの、……クロはのそのペルシャ?ネーコの「ペルスネージュな」──分かっておる、……の出現ですっかり思慕の念を拗らせおっての、ペル……なんとかと張り合っておる真っ最中なのじゃ、と言う訳じゃクリス坊」
「お願いその『坊』止めて、……ぅん、コホン。。。そう言うことか、まあ、当事者で話し合いでもすると良い」
ああー、陛下、面倒になったったっぽい。投げた。。。
「が、後学、……後があるかは分からぬが、……の為、訊ねたい」
「我の預かり知らぬこと以外であれば……」
「私とヴォルビスとの違い、……その、何が主従の契約に必要なのかをご享受出来ますれば───」
「特別無い。心の有り様かも知れぬし、魂魄の形かも知れぬ。あえて言うならインスピレーション?」
「なる程わからん」
うん、分かんない。
会食も終わりに近づき、僕は殿下、……旦那様の言い付けで、ヨハン枢機卿と誤ってぶつかり、……の振りでメモを渡す。
同じ頃、旦那様自らボドワン・カナール枢機卿に手紙を渡した。
会食会場を抜け、複数の応接室のある教会の奥へと進む僕達三人、……二人と一匹か?控えの間に案内役の修道師が部屋を座して直ぐ、枢機卿の待つ応接室に通された。
まあ、教会ですから、質素な応接室だった。
こう言う部屋を見ると、如何に貴族が金万主義かと思い知る。
特に家なんか弱小貴族の癖に色んな装飾品を無秩序に並べていたから、尚更、実家の陳腐さを感じた。
「おお、殿下!」
いきなりデップりした油ギッシュじじいが、旦那様に抱きついた。
一瞬、ホントに一瞬、旦那様のイヤーな顔が見えた、……が、既に何時もの穏和な笑顔の旦那様になっている。
「本日、お疲れのところお時間を頂きありがとうございます。早速僕の用向き、……とその前に、僕の警護が特に最近体調が優れないのか、喉の渇きをよく訴えるのです。もし構わなければ、先に彼にもお茶を頂けたらと───」
「おい!茶を持て」
何処の貴族様だ!と思うよ。そう言う横柄な態度って、あー僕の父なー。
さあーて、お茶を頂いたら、僕の出番。
「お、お、俺に天使の卵を分けてくれっ!司祭さまあ~~~~おねげーだあー。。。」
「なっなっ何を言っておる!ええぇい離せ!離さぬとこ、ころ、殺されても知らんぞ!」
「枢機卿、物騒ですね。」
芝居臭かった?で、言われた通り変態枢機卿の動きを封じる。と。まあ、他に最悪なシナリオもあって、覚えたけど怖い。
「カナール枢機卿。実は相談があって面会を求めたんですが、その前に───」
「ヴォルビス殿下、早うにこの男を離してくれぬか!」
「枢機卿、今僕が話しをしているじゃないですか、腰を折らないで頂きたい。で、本日は献上の品を───」
急に抵抗を止めた枢機卿。
そりゃそうだ。凄い別嬪が現れたのだから、………と言う訳では無いらしい。抵抗を止めた。……と言うよりも、固まったみたい。
「お、おまえ、は、………ローラ?」
「あら、よく覚えていたわね。あの時はごめんなさい。我の聖水掛けずに帰らせて貰った。が、我も目的は果たせたから、良い」
そう言うと大狼、……フェンリルが顕現する。
「うわー!汚ねぇー、小便漏らしやがったあー!」
うわああぁー、枢機卿失禁とか、俺汚されたよおー!!!
(殿下、隠れて隙を伺う者共の掃除は終わっております)
(こっちも終わったぜ兄貴!以上です殿下)
「では、二人は引き続きこの部屋周辺に他者が入らぬよう警戒しろ。
と、言う訳で、これを先ずは観て頂こうか枢機卿殿?」
部屋の空に動く絵が現れた。『映像』と言うのだとか。
「ほぉーら、仔猫ちゃん達ぃー、私が神聖な洗礼を受けさせて、あげるからぁー。こっちにおいでぇー」
「「キヤーッ!」」
「司祭様あ、私の聖水お掛けしましょうか?」
「ああー、お願いするよローラちゃん」
「その前に、このお薬、なめてご覧、……凄く気持ちが良くなるって、私が貰った物だよぉー」
ああ、これが例の『天使の卵』って言う、麻薬か?
卵にしちゃあ小さいな。
「さて、10月に入ると、直ぐ、教皇、選出の儀の開催がある訳だ。僕が推すのは誰か分かるかなあー、生臭坊主く~ん。……ヨハン枢機卿?違うよ、君だよ生臭く~ん、何故だと思う?思ったかな?いいように使われる。この生意気な若造に使われる。当たり~~~~」
「そんな、動く絵などで、私は屈せぬ!おのれぇーーーー!!!」
「もう仕様が無いな。使うよ(最悪シナリオ)。ヴェニュス、シヤン」
「御意」
「仰せのままに……」
「僕が何故、若干15歳にもならない内に司祭職に付けたか、今から教えよう───」
と、言うか言わないうちに僕の帯同している剣は枢機卿の胸に吸い込まれていた。
「ぐわあああーーーっっっ!!!」
噴水のように血が辺り一体を赤く染める。
「最年少司祭の所以はこれなんだよ?」
そう殿下が言った瞬間、まるで今の凄惨な人殺し事態が無かったかのように吹き出た血渋きも、カナール枢機卿の胸に生えた剣すらも無くなっていたのだ。
そして、剣は僕の鞘に収まっていた。
「痛かっただろう?ではもう一度───」
まるっきり同じ、とは言わないがまた、殿下はカナール枢機卿の心臓を刺した。
そして、またまた元通りになる。
「事象改変……」
思わずポツリと呟いた僕の声が聞こえたらしい枢機卿。
「そ、そんな、まさ、か?そんな魔法が────う、嘘だな。嘘だな!何だそうか、幻影、幻影魔法だ!だ騙されんぞ!私は!」
「しゃーねーなあー、悪い最低シナリオコースだ。一度死んでくれるかシヤン?
枢機卿、信じて貰え無いらしいから一度俺の護衛を一刺し、してくんない?どうせ何人か手に掛けてるよね。ってかこの男も只殺されたくは無いから抵抗するけれどもね」
そう言うと、殿下は、僕の剣を枢機卿に渡した。
僕?獲物あるよ。刃渡り12cmのくだものナイフ………。
「うわああぁーーー!!!」
僕は、くだものナイフを枢機卿の喉元目掛けて付き出した!
悲しいかな、ナイフは枢機卿に掠りもせず、届きさえしなかた。
枢機卿の剣は深々と僕の胸に刺さったのか?
気が付くと僕は殿下に剣を取られずにいる???
「うわわわわわわ、うわわわわわ。ひいいいいいい。。。」
「どうかな?カナール枢機卿殿。これから僕との良い関係が築けそうだね?返事は?」
「はい」
「聞こえないよ?カナール君」
「はい!良い関係を築きます!」
「───と言う訳だ。ヨハン・エラブル・ド・フォートレス枢機卿。今回は新教皇、見送って下さい。次回の選出の儀。僕の全力を持ってヨハン枢機卿を教皇に致します。理由は、婚姻の儀をヨハン教皇の司祭で婚姻の誓いとしたいのです。まあ、それまではおまえの悪事の全てと、当然だが、麻薬『天使の卵』の情報を探る僕らの道具になって貰う。簡単に死ねると思うなよボドワン。────事象改変、……暫くこの言葉を使わせて貰うシヤン。そして、すまなかった。痛かったろう。本当にすまない」
いくら僕が「結果的に生きてた大丈夫です」と言っても謝ることを止めない皇子が、ヴォルビス・ブルーエ・エデルヴァイスで、僕の旦那様、なんか呼び方変えたくなった。
◇◇◇
その日の夜、聖都のテター家別邸から、ネモフィラ皇女が忽然と消えた。




