第一節-01.皇女、失踪しました。隷属者。
今回は、一人の衛士視点でのお話しになります。
で、注意なのですが、本文中に多々性的な単語があります。
特に、後半の◆◇◇~間~◇◇◇は酷いです。嫌いな方も多いと思います。
嫌いな方はホント、読み飛ばして下さい。
◇◇◇
「ジャンゴ・ミュスカ・ド・パンプルグス 。お前の罪状は明らかだ。が、敢えて言う。第二皇子ヴォルビス殿下に対する暴言と伯爵への面談の妨害。相違ないか?」
「─────ありません」
「民を愛する殿下は、非情に心を痛めておいでだ。よって、貴様の罪に対し、かなり重い処罰を言い渡す。鉱山での就労70年若しくは、罰金として、金貨4600枚。以上だ。まあ、死ぬよりは良いのではないか?」
「………はい。では、実家の─────」
「お前には、実家は無い」
「な、何故?」
「パンプルグス子爵家、アンドレ・ミュスカ・ド・パンプルグス子爵は、お前の廃嫡を決め貴様を放逐した。以上」
「で、ですが、…!僕、僕は?どうなって、仕舞うの────」
「どうもこうも、……鉱山奴隷として、頑張ってね♡
───あー、忘れてた。お前の父親、……元だが、父親が、金貨一千枚を支払って下さった。良かったな」
どうなっているんだ?
僕が不敬を働いたのは、今朝。なのに、なんでこんなに早く処分が決まった?
ああ、答え分かっちゃった。
フェンリルだ!フェンリルなら早くに知らせたり、念話って言ったっけ。なる程なあ。だってあそこに、白いフェンリルが?白?殿下のフェンリルって、真っ黒な、……。まあ、僕の人生詰んだって分かったよ。
「時機に迎えが来る。食事だ」
「ありがとうございます。───ジェルブラさ……ま」
ああ、こいつ知ってる。
ジェルブラ、……ジェルブラ・ジャンゴ・ド・コンパニュルだ。
新興貴族家のコンパニュル侯爵家の嫡男で、第二騎士団だったな。
なんでこんな奴がヴォルビス殿下と?殿下は我ら主流派の旗頭じゃ無かったっけ?
いろいろと、おかしい。。。
「執事のジュールさんがいらしたので、まだ聖都にはいらっしゃるかと思っていたので、良かったです伯爵」
「殿下にそう言っていただけるとは、……とは言え、ご用があるからいらしたのでしょう?」
「はい、───実は、保護して頂きたい女性、……いえ、少女がおりまして、イビス、連れて来て」
僕も運命が決まった頃、同じテター家別邸では、一人の少女の運命が決まろうとしていた。
彼女の名は─────
「ネモフィラ・マルゴー・エデルヴァイスです。テター伯爵、暫くお世話になります。よろしくお願い致します」
「おおぉー、これは、……お美しくなられて。プリムヴェーラ妃殿下によく似て、……将来が楽しみですな」
「フィーリィ、バルザミーヌ先輩に君のことをお願いしては、いるんだけど、……君は只、守られたい?」
「それはどう言う意味ですの?ヴォル兄様」
「パシフロール嬢、可愛いだろ?」
「はい!赤ちゃん可愛い!」
「バルザ先輩には乳母が居ないんだ。そこで、フィーリィのお手伝いがいる。そう言うことだ」
「で、ですが兄様、……わたくし、…………お、お乳出ませんっ!」
「そんなの知ってる。逆に出たらビックリするよ?───そうじゃなく、お世話っていろいろあるだろう。お風呂入れたり、おしめ替えたり、寝かし付けたり、……いろいろ。バルザ先輩のお話し相手も」
「分かりました。では、わたしバルザミーヌの所へ行くわね。兄様」
そして、ネモフィラ殿下は伯爵令嬢、バルザミーヌ嬢の私室へ行ったと僕は訊いている。
彼女が退室した後も話は続いた。とも………
「そのう、僕から一つ二つお願いがあるんです伯爵」
「なんでしょうか?」
「どうも、フィーリィのやつ、皇宮内で辛い目に合った様子で、ご息女には負担と思いますが、妹の悩みを訊いてあげて欲しいんです」
「そう言うことなら、私からバルザに伝えましょう。もう一つは?」
「麻薬『天使の卵』について」
「麻薬、……」
暫く僕は眠っていたようだ。そりゃあ朝から大変だったもの。
「トントン」急に鳴るノックの音に僕は正直、ビビった。
奴隷商人が僕を迎えに来たんだ。と………
「朝からご苦労様。大変だったな」
で、殿下。。。
何故、ここに居るんだ?僕はもう拘わりたく無いんだ。そ、そうか、笑いに来たんだ!僕の最悪は、僕の不幸な門出を笑いに─────
「僕は、ジャンゴ。君を金貨3600枚で買ったんだよ。つまり僕は君の主人。分かる?」
「────え?」
買った?僕、を?主人?なに?
「で、だ。ジャンゴは生きていると、非常に面倒臭い。そこで、死んで貰う。ヴェニュス」
「おう」
現れた白、……銀髪の妙齢の美女。現れた、……って、今何処から彼女出たの?殿下の影から出ましたよねえー!?
「我は、ヴェニュス。美を司る女神ぞ?多分、で、ヴォル坊───」
「坊は無い。せめてヴォルとかヴォルビス殿下とか、クロみたいに主とかで呼んでくんない?」
「なれば、我は第2の嫁権限で、『旦那様』と呼称しよう」
「ぅんー、いいや、で、一度こいつを昨日会ったエーヴって食堂の給仕女に預けて来て欲しい。後の指示は、後で出す」
殿下がそう言うとヴェニュスと言う名の女が僕を咥えた。
何言ってんだ?そう思うよね。僕もそう思う。けど、文字通り咥えられて僕は港町のブー・ラポールの街に来ていた。
僕は港町ブー・ラポールの街の市場の何処かに落とされまま、どのくらい時間が過ぎたのか、……僕は只、捨てられただけだったんだ。と思おうとした頃、女が声を掛けて来た。
「あんたが、奴隷男かい?何気にいい男じゃん。あー、喰うなって殿下に言われてっから喰わねーわよ!」
「───へ、平民風情が、俺に話しかけn─────ヘブゥッ。な、何をする!」
「あぁーん?躾。ここに『奴隷取扱い説明』ってあんだろ?」
『奴隷取扱い説明十ヶ条。
1.逆らったら、叩いて下さい。
2.口答えしたら、叩いて下さい。
3.逃亡時は殺して下さい
4.食事は貴女の裁量で与えて下さい。
5.酒精とおやつは与え無いで下さい。
6.睡眠は貴女の裁量で与えて下さい。
7.お仕事が出来なかったら叩いて下さい。
8.お仕事が出来たらほっといて下さい。
9.臭くなる前に洗って下さい。
10.捕捉事項;喰うなよ。
~ヴォルビス』
「何これ?」
「何って、書いてんじゃん。『奴隷取扱い説明十ヶ条────」
「だって、こんなのって酷────」
「知らねーけどさ、あんたが殿下に酷いこと言ったのがそもそも悪いーんだぜ?そこんとこ分かってんだろぉー?あ、あと指示があってさー、ちょっとこっち来い奴隷」
「お、おま、おまえー、俺は名前があるん───」
「ねーよ。指示書にゃ、名前付けとけってあっから、後で付けてやんよ?文句ねーな!奴隷」
連れて行かれた部屋は、彼女の部屋でした。
女の子の、………こんなクソ女、一捻りだぜ!後ろから襲ってやりゃあ、言うこと訊いて一回くらいヤったって、誰も文句言わねーよなあー。
うへ、へッへッへッへ。。。
「まあ、大体考えてるこたあー分かんだよなあー。私とヤりたいっしょ?」
「───ぁ?うん。まあ」
「ダァーメェー!残念でしたぁー。お、来たかな?」
そこにそばかす女が入って来た。
「はいよ、リリー、あんたの分の奴隷取扱い説明十ヶ条な。後、殿下から手紙ぃ」
「お、おい!お前ら、この俺をどうするんだ!」
「エーヴぅ、マニュアルに質問させんなとか、無いね?どおする?」
「リリー、鶏だって、犬だって鳴くだろ?」
「それもそっかぁー。でもさ、あんまり煩かったら、叩けばいいんだろ?」
「だなぁー」
「でしょー」
僕は、もうどうなって仕舞うのだろうか。
自然と涙って、出るんですね。母上。。。
◇◇◇
大海亀移動要塞ザラタンは、海峡の亜大陸側に近寄ることはしなかった。
そう何度も海域に入って、亜大陸側の国に存在を知られたくは無いのだ、軍事とはそう言うものだ。
何とかギリギリの所に降ろしてくれたユキちゃんに感謝します。
ザラタンが再び進路をアキツシマ方向に変える頃、一隻の白い漁船が、海面に落ちた。
「ちょー、危ないっしょ姉貴ぃー!」
「真っ赤な石炭、俺んとこに落ちて来たんだぜぇー」
「うっせーよぉー。いいから黙って石炭くべろっ!
────大丈夫かい姫様ぁー」
わたし達は今、いいえ、わたしは今、
「ユキのヤツぅー、もっと丁寧に降ろせなかったのかしら?今度会ったらぶっ殺す」
ちょっと怒りっぽいですが、生理ではありません。
夜になり、港の明かりが見えて来ました。
亜大陸です。
「で、姫様ぁー、私らどうしよう?どっかの港で待ってた方がいい?」
「そうね。この港町で、漁とかして待っててくれると嬉しいかも!連絡は───」
「ガルデニアのシュカが出来ます。姫様どうかシュカをお使い下さい」
「と言う感じでいいかしらね?」
そして、クロ様の背に乗り一路、シャテニエ公国公都マロンビルを目指した。
「予想はしていたから、影の少ない砂漠がクロ様には越えられ無いことくらい」
『では、海岸線に沿って。う、迂回して……』
「クロ様、泣かないで、何時か必ずこんな影渡りのような欠陥だらけの移動方法以外を思い付く筈のわたしです!」
『妾の心に塩を塗るでないぃぃぃ』
「しかも今夜は、新月ね」
『ぬおおおぉぉぉぉーーー。昼の内に公都に入ってやるううぅぅぅぅーーーっっっ!!!!』
ちょっとからかい過ぎた感も否めないけど、まあ、クロとわたしは、好敵手なのだから、このくらいの牽制なんて、可愛いものでしょ?
もうノールスゥド川なのね。
ノタの町、領主館。潰したんだった。
働いているのマロンダムの兵士だわ。
『このまま川沿いの道で良いかの?』
「疲れていないクロ様。もし────」
『これしきで根など挙げぬ。それこそ女が廃るわ!加速する。しっかと掴まっておれ!』
◆◇◇
今僕はあの女、エーヴの部屋の床に居る。
ここが、僕の寝床だって。そして、首に、首輪が付いている。
首輪にはプレートが付いていて、書いてある文字は、『シヤン』。全く、何の捻りもなく、只、犬だって。
僕は彼女達に犬と言う名を付けられて、隷属の首輪?とか言う魔具を何処かの枢機卿から貰ったって言う。
中央司教区長の、……ボドワン・カナール枢機卿か?僕の子爵家もお世話になってて、子爵家の寄り親、フロコン侯爵家の推しの次の教皇、……法王猊下にするって、息巻いてて、正直どうなんだろ?
「……。。。はぁ、あっあっ、、、」
金と女さえ宛がっておけばいいような年寄り、生臭坊主って言えばボドワンって言う、あの男。
「あっ、あっ、あっはあー」
殿下の御しやすいのを法王に置くってことなんだよな?
多分。
「っ。……あああっ!。うぅぅ」
あのエーヴって女。俺が居んのに自慰とかするか?普通。。。悶々とすんじゃねーかっ!
─────僕も、ちょっと、………
◇◇◇
「シィヤーン。お茶入れて」
「あのぉー、俺、寝不足なんですが。。。」
「で、何?」
「あーーー。あんたが、自慰、……とか、してっから、……俺、寝られて無くて。。。」
「オナニーくらい、誰だってスんじゃん。あら、ネックレス、ちゃんと着けてんのね。関心関心。じゃあ、今日のお仕事発表しまぁーす。
前教皇猊下、……帝国式には、法王猊下か、………の葬儀がズレにズレ込んで、3日後の9月第三週の3日、となりました。そこで、シヤンは、ボドワン・カナールに接触して、こう言うのです。『お、お、俺に天使の卵を分けてくれっ!』と、分かった?」
「し、質問、いいですか?」
「はい、シヤン君」
「その、接触方法は?」
「それについては、今から来るヴォルビス様にお聞きくださーい」
で、殿下が来るの?なんで、
「おはようエーヴ、久しぶりだな」
「殿下。。。お待ちしていりましたわ」
こ、この女!殿下に対して女の顔させてやがる、……まあヴォルビス殿下って、ナルスィス殿下よりも、弱そう、と言うか文学者っぽい雰囲気あるしな。いい男になりそうって言うより、美少年。だよな。
ナルスィス殿下って、少し筋肉質?昔は両殿下は双子の皇子って言われてたよな。
金髪の殿下、亜麻色の殿下って、………。
まあ、評判は、ヴォルビス殿下の方が気さくで下働きの者のまでお声をお掛けする優しい皇子って感じで、ナルスィス殿下の方は、孤高。と言うより、評判悪かったっけ。
僕が、言うのは変だけど、新興貴族の殿下と、僕ら門閥貴族の殿下が、逆って印象だよなー。
「彼、使えそうか?」
「どうかしら?度胸も自制心も皆無。私の自慰見て自分もヤっちゃうくらいに自制心無いわ」
「……おまっ、おまえそんなこと───」
「我、旦那様を揶揄うでない雌」
フェンリルのヴェニュスさん、……だったっけ?
殿下スゲーな。聖獣二匹も従えてんだぜ?
一匹従えてるだけで司祭コースなのに、神学過程の座学を二年で修めてりゃ、司祭職にも寸なりってのも頷けるよ。
「で、シヤン。って名前、……おまえエーヴぅ、センス最高!今度さ僕、なんかの名付け必要になったら、エーヴ頼っていい?僕センス無いんだよー。クロ居るだろ?僕、黒いだけで、クロ、……で、ちょっと捻ったつもりで、『クロワッサン』って名付けたんだけどあいつ、クロ未だに怒るんだよ。改名してくれって」
「クロ様、お名前変えることが出来ないので?」
「無理らしいね。最近知り合った神獣なんか、数千年前に名付けられた名前、未だに怒ってるって、……イ=ナンナが名付け親だとさ。あ、イ=ナンナってのは、イン=アンナ教会の奉っている神、まあ実際、彼女は聖女だっただけの村の少女なんだけどね」
「殿下はお詳しいのですわ、……でも、只の村娘?」
「そう、らしい。星読みの能力のある女の子だったって。あ、星読みってのは、占星術とか予言者って意味じゃ無いよ?
───例えば、気象学とか、天文学、地学者の才って意味で、それを駆使して先を読む『預言者』だったって話しさ。難しかったかな?エーヴ」
「……学問で予言出来るのですか?」
「予言じゃ無く、預言、ね。例えば、……エーヴ、今の季節って毎年何がある?」
「今の季節、……ああ、嵐が多いです。漁師さん達が、毎年毎年仲間の船が沈んだとか、今日は雲行きが怪しいから海には行かないとか、そ言うの聞くのが多いです」
「そう、そう言う漁師も経験則としての気象学の知識が自然と身に付いているんだ。イ=ナンナの凄いところは、経験の積み重ねの筈の気象学や天文学を知っている少女だって言う不思議なんだ。
それこそ何十何百年単位の積み重ねである学問を村の少女だけが何故、知っていたのか?……おかしいよね。帝立図書館にだって、そんな資料はあり得無いのに村娘が、だぜ?」
「確かに頭が良いってだけでは無くて、やっぱり先読みとかの異能者だったのでしょうか?」
「それについては、違う意味での異能者だと予測しているよ。僕は」
「やはり、ユキ姫様ですか?我、旦那様」
「そう。言葉は濁していたけれども、ね」
「あの殿下、ユキ姫様、とは?」
「ああ今、公女が世話になってる大陸の国の公太女殿下だ」
公女?って、あの白雪姫様か!……僕も間近で見てみたいお姫様の一人なんだよなー。
美しいって評判だもんな!
あと、殿下の妹君。見たことあるけど、ああ言う儚げな少女もまた…………
「殿下、犬が鼻の下延ばしていますよ?殿下のご婚約者様をオナペットにする気満々な顔です!」
「おまっ、それ本人の前で絶対言うなよ!……洒落にならんっ」
「どう言う意味で───」
「訊くな!──まあ、そう言う訳で、シヤンは、いろいろとお勉強をしましょう。特に現在の帝国、教会の関係、その主要人物などと情勢も」
勉強?それより、気になる公国の公女って、行方知れずになったって、聞いたけど結局、テター伯爵家の聖都の別邸に居たらしかったし、ヴォルビス殿下の、……婚約者?
で、大陸の公太女?誰?
僕、ここから逃げたい。こんなに外に出せないような話しを知ったら、僕一生、ここから出して貰え無い、と、思う。
こんなの国家機密級の話し、……なんだもん。命が幾つあったって足りないよおー!




