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虐メンの最後

 ある日の放課後、虐メンは生徒用のロッカーの前に居た。


 このロッカーは生徒達が机に入りきらない教科書や、体育の授業時に着るジャージなどの日用品を保管する所であり、学園側からも貴重品は入れないようにと指導されていた。


 その為、一応鍵があるにも関わらず、ほとんどの生徒が鍵を掛けていなかった。


 そうつまり「本人を傷付けられないなら、持ち物を傷付ければ良いじゃな~い」という短絡的な思考に基づいた犯行を企てていたのである。


 虐メンはほくそ笑みながら、()()()()のロッカーを開けて、中の物をめちゃくちゃに破壊して意気揚々と引き上げて行った。


 そう、もうお気付きだと思うが、彼女達は()()()()のロッカーだと勘違いして、隣にある()()()()のロッカーを荒らしたのである...


 次の日の朝、ロッカーを開けたソフィアは絶句した。


「なによこれ...」


 ロッカーの中は酷い有り様だった。教科書は全てビリビリに引き裂かれ、ジャージは上下とも無惨に切り裂かれ、備え付けの鏡は砕け散り、予備の筆記具は全てへし折られていた。


 あまりの惨状に口をポカンと開けたまま固まっていると、


「どうした?」「どうしたんですか?」


 不思議に思ったアレクとソフィーがロッカーを覗き込んで、やはり2人とも固まった。


 3人が揃って石化していると、ちょうどレイナルドが側近3人を連れて登校して来た。


「アレク、お早う。なにしてるんだい?...これはっ!」


 レイナルドも絶句したが、その後の行動は早かった。


「マシュー! 監視魔道具の閲覧許可を学園長から貰って来い! デレクは職員室に行って担任の先生を呼んで来い! ブラッド! この教室から誰も出すな!」


「「「 はっ! 」」」


 矢継ぎ早に指示を下す様は流石に王族といった所か。ちなみに監視の魔道具とは、貴族子女が通うこの学園における防犯対策として、魔法による監視・映像による記録を可能とした魔道具のことである。


 更衣室やトイレを除く学園内のほぼ全てを網羅している。過去24時間以内に起こったことなら、遡って映像で確認することが可能で、要するに録画機能付きの監視カメラのことである。


 3人がそれぞれ散った後、レイナルドが尋ねた。


「ところでこれは誰のロッカーだい?」


「あ、私のです...」


 まだ呆然としながらソフィアが答えると、


「なに!? ソフィアのロッカーだと!? 犯人は余程死にたいらしいな!」


 レイナルドが憤怒の形相で叫ぶと、それを聞いていた虐メンは顔面蒼白になってカタカタと震えだした。


「殿下、学園長の許可下りました!」


「先生をお連れしました!」


「誰も教室から出ていません!」


 3人からの報告にレイナルドは頷くと徐に宣言した。


「では諸君、断罪の時間だ!」


 監視の魔道具が映像を映し出し、虐メンの犯行が明らかになると、彼女らはすっかり観念して踞った。


「全く卑劣な犯行だ、他にも余罪がありそうだな。先生、後はよろしくお願いします」


 レイナルドが掃き捨てるように言った後、担任によって虐メンは連行されて行った。


「ソフィア、さぞや怖かっただろうね。大丈夫、これからはずっと僕が守ってあげるから安心して」


 やっと我に返ったソフィアだったが、レイナルドに手を取られてまた硬直してしまった。そこへ、


「抜けがけは感心しませんな、殿下」


「僕達だって居るんだからね!」


「ソフィアが困ってるじゃないですか」


 3人がレイナルドからソフィアを引き離す。


「なっ!? お前達、主君に譲ろうという気持ちはないのか!?」


「あり得ませんね」


「寝言は寝て言って下さい」


「バカじゃないの?」


 殿下と側近達が低レベルな言い争いを続けていると、 


「はぁ~ お馬鹿な殿方達ですこと。お姉様は私のモノだと言うのに」


「そっちこそなにバカ言ってんだ、ソフィアは俺のモノだ!」


 今度はアレクとソフィーが言い争いを始めた。


「邪魔よ! 見えないじゃないの!」


 目の前の2人をペイっと放り出し、推しメンが言い争う様を恍惚とした表情で見つめるソフィアは、全くブレないのであった。


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