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至高の存在の欠片を持つ者  作者: 篠宮秀佳
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本章1話 静かなそれぞれの始動

三年ぶりに再開させてみました。



この世界には様々な『色』が溢れている。

溢れてはいるが、それは同時に彼等を縛る。


神族、魔族、亜族、人間。

それぞれの種族に『色』は別れる。

それはそのまま力の象徴に繋がるから。


もちろん例外も在る。


長い時を経て、亜族と人間の間に生まれた混血の存在がそうだ。身体的特徴は近しかったので子を成す事も可能だった。その為に、片方、あるいは両方の特徴を引き継ぐ子供が生まれる事もまま有った。


神族と魔族は能力があまりに違いすぎて人間とは相容れない。ごく稀に身体の繋がりから種が実る事は在れども、『器』が保たずに短時間で崩壊し消滅するしか無い運命だった。


話を戻そう。

種族が縛られる『色』について。


神族は白、または金。

魔族は黒、または赤。

亜族と人間はそれ以外の色。


これ以上無い程に単純明快で分かりやすい。


そして『色』はそのまま能力に繋がる。

神族が生と癒しを、魔族が死と滅びを。

極端がそれぞれ相反に別たれた形で収まったのもその辺りが要因かもしれない。


ちなみに純粋な色ほど能力に附随する。

なので淡い『色』や混ざった『色』は弱い。

そして亜人と人間は白と金と黒と赤といった純粋な『色』は決して持てないのだ。

あくまでも薄いか混ざった物、つまりは紛い物。


それに長い年月に血を重ねたせいかお陰か、『色』を持ち合わせても能力が発動するとは限らないのも皮肉な巡り合わせだろう。


例えば、青や水色といった寒色系ならば水を操る能力を、オレンジやといったピンク暖色系ならば火を操る能力がかつては発現していたが、今ではそれすら一割にも満たない数でしか無いのだ。しかもその発現率も減少する一方で歯止めが掛からない。


その唯一の例外とされているのが、あるお伽噺に出て来るあり得ない『色』を持つ者。


天族の白よりも金よりも更に光に満ちた『銀色』。

相反する火と水を混ぜて併せ持った『紫色』。

決してこの世界には現れない、いや現れてはならない二つの組み合わせの『色』だ。


太古の昔、永い時間を生きる事で知られる神族や魔族とは別の、全く異なる唯一無二の存在。

人族はもちろんの事、神族や魔族すら限られた者しか知らない程に旧く、そして知られてはならない。


それは知られたが最後、いつしか現れなくなったが為に成り代わり得た至高の立場が崩壊する存在。

自分達の存在意義を奪う敵と為り得る存在。


ならば知られない内に滅ぼすべきだ、と。

神属と魔族の頂点がそれぞれその答えに思い至るのは当然の結果だと言えるだろう。


ただし、狙われる身にしてみれば堪ったものでは無いのもまた真実。そして内面に潜んだ本来の『至高の存在』はとっくにその事態を察してはいた。

けれども同居する彼女にそれを告げる事は無い。


理由は単純明快。

『どうせなら面白い方が退屈しのぎにはもってこい。それに僕が認めたほどの魂ならばこれ位の試練はこなせないと、ね』だそうだ。


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