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金木犀
枯れた草木が夏の終わりを告げている。
目の前に蜻蛉がとまっている。
スタッカートのように短く鳴いて、己を鼓舞し、飛びかかる。振るった手の間からすり抜けていった。
兄さんが気まずそうに目線を逸らす。
飛蝗を見つけた。捕れる寸前で、重ねられた枯れ草の中へ逃げ込まれてしまった。こうなっては、手も足を出ぬ。
跳ねる虫を追いかけて、低木の茂みに頭を突っ込んではみても収穫はなく、蜘蛛の巣にも獲物はない。
道中、背中に飛蝗がとまったらしい。
やつらは一番安全な場所を心得ている。