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神隠しで異世界に  作者: もふっとな
第一章
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神に愛されし子

4人で声がした上空を見上げる。

唸る犬と見目麗しい人物。

あれが神様よ……と恵梨に言われ、ルッツはディアナに由良を託し、クラヴィクスと共に臨戦態勢を取る。


「……分かった分かった」


唸る犬を宥めた神は、パチン!と指を鳴らした。

すると、ディアナが支えていた由良が、ゆっくりと目を覚ます。

そして勢い良く立ち上がり、オロオロと右往左往している。


「え?え?何で!?」

「由良。ノルが煩いし、もう少しいて良いよ」


由良の近くに立った神は、由良の髪の毛を優しく撫で、冷めた瞳でクラヴィクスを見た。


「もう少しだけ。ね、クラヴィクス……」


ゾクリとする冷たい声と瞳に、クラヴィクスは立ち向かうように視線を返す。

暫く睨みあっていた神は、飽きたかのように先生に話し掛けた。


「君はどうする?ここにいる?」

「私は……帰らせて下さい」


ソファーから立ち上がった先生に、由良は驚いた顔で先生とクラヴィクスを交互に見る。

その様子が面白かったのか、先生はクスクスと肩を震わせ笑った。


「だって、先生は……」

「片山さんのお陰でスッキリしたわ。もう、良いのよ」


そこで言葉を切った先生は、1度クラヴィクスを見て目を伏せる。

不安そうに交互を見る由良の頭をポンッと撫でた先生は、クラヴィクスに向かって声をかけた。


「そうそう。片山さんって日本で恋をしたことがないの」

「ちょっ、先生!?」

「貴女の成長を楽しみにしているわね」


ニッコリと微笑む先生は、神とノルに連れられて、輝きを放ちながら消えていった。

後に残ったのは荒れた室内と、呆然とするディアナとルッツと由良。そして不機嫌そうに上空を睨むクラヴィクスだった。


「クラヴィクスさん……」


あの……と恐る恐る話しかけてくる由良を、クラヴィクスはソファーに座らせ、額に手を当てた。


「ふむ。問題はないか……」

「本当に行かせて良かったんですか?」


何がとも聞かずとも、それが先生のことだろうとは誰もが予想できる。

そんな由良の瞳をじっと見つめたクラヴィクスは、深くため息を吐く。


「いいに決まってるだろう。…………所で、君は何の相談も無しに何をしているんだ?」


その声は先ほど聞いた神と同様、底冷えするような冷たい声で、由良はひっ!と短く悲鳴を上げた。


「だって……クラヴィクスさんが……」

「私がなんだ」

「先生の名前を寝言で呼んで……」


由良の言葉にルッツとディアナはクラヴィクスを見る。

突然意味の分からないことを……と呟き、眉間の皺を深くしたクラヴィクスに、由良は少しムッとした表情を見せ、それです!と怒る。


「先生の名前を言ってた時、表情が和らいだから……先生ならクラヴィクスさんの眉間の皺取れるかなって……」

「君はバカか」

「ば、バカじゃないです!」

「全く……大体その夢は直ぐに切り替わった」


そこで言葉を区切ったクラヴィクスは、深くため息を吐いて話を終了させ、ふむ……と呟いた。


「変な事を考えられる余裕があったようだな」


ソファーから立ち上がろうとしたものの、腕を捕まれ逃げ場がない。

サッと離れたルッツとディアナを恨めしそうに見る。


「おっと、由良ちゃんのこと王と騎士に報告してこなくちゃな!」

「私も由良様の体調が戻ったと、メイドとシェフにお伝えしてきます」


それは確かに必要だ。でもどちらか一人で良い筈だ……と思ったけれど、二人は早々に立ち去ってしまった。


「君は神に愛されているようだ。ちょっとした実験に付き合ってもらおう」


神の愛を受け取るフォンツァは、クラヴィクスにとって良い研究素材だ。

上機嫌に実験の用意を始めたクラヴィクスに、由良は苦笑いを見せつつも、じっとその姿を眺めた。















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