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とあるアルペスの少女と魔族

挿絵(By みてみん)

※「とある死にたがりのカンスト少女」登場キャラ

「あ・・・」


アルペスの山脈にて

魔族がへたりと座り込む。


魔族を見守っていた人間は

座り込んだ魔族に慌てて駆け寄った。


「どうしたの魔族」


「人間・・・わたし駄目だわ」


魔族が頭を振る。

弱気な魔族に人間が「そんなことない」と語気を強くした。


「あきらめちゃダメ。

かならず魔族は立てるようになるわ」


「でももう何日練習しても

全然立てるようにならないのよ」


自分の動かない足を悲しく見つめ

魔族が目尻に涙をためる。


「きっともう一生立てないんだわ」


「あきらめないで。絶対に立てるから」


「無理よ」


魔族がフルフルと頭を振る。


「もう無理なのよ。私は立てない。

一生車椅子生活なんだわ」


「そんなことない!」


「こんな練習しても無駄なのよ。

私はもう――」



ここで――

人間が涙ながらに叫んだ。



「魔族のバカ!」


始めて見せた人間の怒声に

魔族はぽかんと目を丸くした。


人間の瞳からポロポロと涙がこぼれる。


人間は声を引きつらせながらも

魔族に想いを告げた。


「魔族のバカ!どうしてあきらめちゃうの!

魔族はきっと立てるようになる!

練習すればきっと足は動くようになる!

それなのにどうしてあきらめちゃうのよ!」


「・・・人間」


「もういいわ!魔族はそうやってればいいの!

そうやってあきらめて一生立てないんだわ!

魔族のバカ!もう知らない!」


「! 待って! 人間!」


踵を返して駆け出そうとした人間を

魔族が慌てて呼び止めようとする。


そして――

人間がピタリと立ち止まる。



「魔族の――

ぶわぁああかあああああああ!」



振り向きざまに放たれた

人間の掌底が魔族を打った。


「――ぐぶわ!」


魔族が吐血しながら後方に弾かれる。


人間は矢のごとく駆け出すと

魔族の首を掴んで上空に放り投げた。


「魔族の――

ぶぶぶぶぶぶぶぶぶわわわわわわわわ

かぁああああああああああああああ!」


人間が上空へと飛翔し、

空中に放り投げた魔族を地面に蹴りつける。


魔族が勢いよく地面に落下して

地面に巨大なクレータを作った。


そして空中に浮かんだ人間は――

魔法の詠唱を始めた。


「大地の聖霊よ。我が呼び声に応えよ。

グランドダッシャーーーーーーーーーーー!」


地面が粉微塵で破砕して

アルペスの山脈はその地形を変えた。




―――-

―――-

―――-

―――-




虚しい風が吹きすさぶ中

人間は魔法で抉れた地面を見ていた。


「・・・おわった」


人間はそっと踵を返す。


だがその時――



『そんなものか――人間よ』



はっと背後を振り返る。

魔法で抉れた地面。

跡形もなく消滅したはずの魔族。

その気配が急激に膨れ上がる。


そして――

世界が一変した。


上空に分厚い雲が広がり、

唸り声にも似た稲光が走った。


風が急激に冷えていく。

空気が重くなり息苦しくなる。


じんわりと肌に汗がにじむ。


表情を強張らせた人間の前に――


強大な魔力の柱が立ち上った。


「ばかな――

こんな魔力の気配を感じたことない!」


『久しいぞ。この真の姿に戻るのは』


「真の姿だと!?」


『さあ人間よ――我を楽しませてみろ』



強大な魔力の柱の中から

一つの影が現れる。


その影の姿は一言で――

禍々しいモノであった。


どうしようもなく体が震える。

目の前にいる怪物。

真の姿になった魔族。

それは――


次元の違う存在だった。



真の姿に変貌した魔族が

ゆっくりとその脚を地面につけた。



「・・・人間よ」


「・・・魔族」



魔族をじっと見つめる人間。


人間をじっと見つめる魔族。


互いに睨みあうことしばらく――


魔族を見つめる人間の瞳から――


一筋の涙がこぼれた。



「立った・・・魔族が立った」


「・・・人間」



「魔族が立った――魔族が立った!

魔族が立った! わああああああん!」


「人間!」


自分の足で立ち上がった魔族に

人間は涙を流しながら抱き付いた。




-― Fin -―












口笛はなぜ遠くまで聞こえるんでしょうか?


ブックマークと評価一件につき、10+2話書いてみたいと思います。

もう少し延長させてやろうという方、

よければブックマークと評価をいただけるとありがたいです。


ブックマークつけるか迷ったときはつけてみましょう。

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