とある夢オチというネタバレ2
私はどこにでもいる
少しおっちょこちょいな平凡な女子高生。
そんな私に転機が訪れたのはある朝のこと。
私はその日、学校に遅刻しそうで
食パンを口に咥えたまま家を飛び出したわ。
「もう! 私の寝坊助さん! バカバカバカ!」
すると道の角を曲がろうとしたところで
私は誰かにぶつかって転んでしまったの。
「きゃあ! ごめんなさ――」
反射的に謝ろうとして、
私はぶつかった人にびっくりしたわ。
だってその人は、
不良校で有名な魔族高校の生徒だったんだもの。
「いってえ・・・テメエ! 気を付けやがれ!」
緑色の皮膚を怒りに紅潮させ、
魔族高校の魔族が怒声を上げたわ。
私はその迫力に驚いて――
「ごごごご、ごめんなさあああい! ぴゅううううううーん!」
パタパタと駆け足でその場を逃げてしまったの。
そんなこんなで、
私は通っている人間高校まで逃げてきたわ。
息をぜえぜえと切る私の様子に
クラスメイトが不思議そうに尋ねてきたわ。
「どうしたの? そんな汗だくで」
「じ、じつは遅刻しそうだから走ってたら
魔族高校の人とぶつかっちゃって」
「ええええ!? あの不良校で有名な魔族高校の
連中と!? 大丈夫!? 因縁つけられなかった!?」
「う、うん・・・すぐ逃げてきたから」
「それならいいけど・・・いい。あの高校に
関わっちゃダメよ。みんな性格最悪で
世が世なら退治とかされちゃうような連中だから」
「そ、そうだね・・・」
するとここで私の肩を誰かがポンと叩いたの。
「やあ、何の話をしているの?」
「あああ! アナタは人間高校でナンバー1との
呼び声が高いやたらハンサムな人!」
クラスメイトが驚きに声を上げる。
だが私はただ目を丸くするだけだ。
この人間高校でナンバー1との
呼び声が高いやたらハンサムな人は
私の幼馴染なの。
「えっと、ただの世間話。大したことじゃないよ」
幼馴染にそう返すと、
幼馴染は「そう?」とニコリと笑った。
「顔色が悪かったから心配したんだけど、
何もないならよかったよ。
もしボクが力になれることがあったら
遠慮なく相談してね」
そう話して去っていく幼馴染。
その背中を見つめていたクラスメイトが、
目をハートの形にしてこう言うの。
「あのハンサムな人。ぜったいアンタに
気があるのよ。付き合っちゃいなよ」
そうクラスメイトの言われるも
恋愛にニブチンな私は苦笑いしたわ。
瞬く間に放課後になったわ。
朝のことを反省して、
今度は不良校の人とぶつかったりしないよう
私は歩いて帰宅していたの。
するとその時――
「あれ? あの人は・・・」
朝にぶつかった魔族高校の生徒を
偶然見つけたの。
何をしているのかと見ていると――
なんとその魔族の生徒は優しい顔で
捨て犬に話し掛けていたの。
「お前も独りか・・・ふ、俺もそうさ。
だが今日から俺たちは兄弟だ。さあ家に帰ろう」
何だかよく分からないことを呟いて
魔族が捨て犬を拾って帰ったわ。
もちろん最初は犬に話し掛けるなんて、
クスリでもやってるのかなって思ったわ。
だけど思いがけないその光景を見て――
私は不思議と胸が高鳴るのを感じたわ。
そしてそこから一分ほど歩いたところで――
「ばあさん。その荷物重いだろ。
俺が持ってやるよ」
魔族が歩道橋を登ろうとしていた老婆の
荷物を持ってあげていたの。
そしてまた一分ほど歩いたところで――
「おらガキども。俺が交通整理をしている間に
横断歩道を渡りやがれ」
魔族が黄色い旗を振りながら
学校帰りの子供たちに横断歩道を渡らせていたの。
そしてまた一分ほど歩いたところで――
「あぶねえ! ぐわっ!」
魔族が車に轢かれそうになっていた
子供を捨て身で守っていたの。
そしてまた一分ほど歩いたところで――
「考え直せ! 命を粗末にすんじゃねえ!」
魔族が雑居ビルから飛び降り自殺を
しようとしている女性を必死で説得していたの。
立て続けに目撃した
魔族の思いがけない一面に――
「どうして・・・胸が苦しい」
私は困惑したわ。
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そんなこんなで一か月後。
幼馴染と魔族の決闘が決まったわ。
「彼女はボクのものだ!
魔族なんかに渡すものか!」
「いいや、彼女は俺のものだ!
貴様のようなモヤシに彼女は守れん!」
「止めて! 二人とも!
私のために争わないで!」
ことの経緯とかそんなものは忘れてしまったが、
聖剣と魔剣を手にした二人の争いに
私は悲痛に叫んだわ。
だけど二人に私の声なんか届かない。
そこまで私のことを愛しているのね。
二人が急接近して刃を切り結び始めたわ。
「くそ! 負けるものか! 彼女は渡さない!」
「それはこちらのセリフだ! 俺は必ず勝つ!」
「あああ・・・何という悲劇なの!
私が可愛いばかりに! 私がモテモテなばかりに!
こんなことならバレンタインのチョコを二人に渡すとき
『本命なんかじゃないんだから! ギリなんだからね!』
とか言わなければ良かったわ」
後悔するも後の祭り。
私を取り合う二人の争いは
次第に激しさを増していく。
それはすなわち私に対する愛も
激しさを増していくということ。
二人の強大な力の衝突に
突風が吹き荒れて大気が震える。
振動した地面がひび割れて、
地中から焼けた溶岩が噴き出す。
草木は枯れ落ち
青い空は闇色に染められていく。
となり街のラーメン大好き小池さんの
眼鏡がラーメンの湯気で曇り、
見ず知らずのバレリーナのトゥシューズに
画鋲が溢れんばかりに入れられる。
カバを逆さにしてバカ。
バカを逆さにしてカバ。
「死ねえええええええええ!」
「くたばれえええええええ!」
二人の争いもクライマックス。
私は思い出のためにと一眼レフカメラを構えつつ――
「もう――止めてええええええ!」
そう涙ながらに叫んで――
カメラのシャッターを押した。
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「こらぁあああ! いつまで寝ているのよ! このバカ娘!」
「いっけない! ママごめんねえええええ!」
ベッドから飛び起きた私は、
プンプンと怒るママにテヘペロを決めた。
これを機に恋愛小説も書いてみようかな?
・・・無理?
ブックマークと評価一件につき、10+2話書いてみたいと思います。
もう少し延長させてやろうという方、
よければブックマークと評価をいただけるとありがたいです。
ブックマークつけるか迷ったときはつけてみましょう。




