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とある夢オチというネタバレ

挿絵(By みてみん)

※「とある暗殺協会とツインテールの暗殺者」登場キャラ

「あべしぃいいい!」


腹が内部から破裂して、

魔族が眼前に倒れる。


魔族から噴き出した血が

地面に広がる。


その血だまりを無骨な靴で踏みつけ、

俺は淡々と魔族に言う。


「お前の敗因はたった一つ。

たった一つのシンプルな答えだ」


眼光を鋭く尖らせて、

俺は言葉の続きを言う。


「それは――お前がグーで、

俺がパーを出したことだ」


「ぐ・・・こ・・・こんな・・・

俺が・・・人間ごときに・・・

ジャンケンで敗北など・・・がくっ」


息絶えた魔族を冷たい風が撫でた。



======================



この世界においての強さとは、

剣や魔法などという軟弱なものではない。


強さとは――ジャンケンだ。


この世界ではジャンケンで勝利することが、

戦闘者の生死をも左右する。


ただの一瞬。ほんの一勝負にて

強者と弱者が明確に決まるのだ。


なんと緊張感があり――

なんと心躍ることだろうか。


そんなジャンケンに魅せられた俺は、

十年もの厳しい特訓を重ねることで

最強のジャンケンプレイヤーとなった。


もはや相手が人間であろうと魔族であろうと

ジャンケンで土を舐めることなどありはしない。


そのはずだった――


========================



「お前が最強のジャンケンプレイヤー。

『旋風のシシオドシ』か?」


巨大な斧を右手に握り込んだ魔族が

そう重々しい口調で尋ねてきた。


俺は「いかにも」と頷いてニヤリと笑う。


「殺気がプンプンと臭ってくるぜ。

どうやら俺とやるつもりのようだな」


「この世界で最強のジャンケンプレイヤーは

この俺――『怒涛のアゲハチョウ』様だ」


「『怒涛のアゲハチョウ』だと?

ほう・・・聞いた名だな。だが俺を差し置いて

最強のジャンケンプレイヤーとは片腹痛い」


「心配するな。その腹の痛みはすぐに消える。

貴様が俺に敗北し――死んでしまうからだ」


俺と魔族は同時に右拳を引いて――


「ジャンケン――」


戦闘を開始した。


掛け声から手を出すまでの一瞬。


その一秒にも満たない刹那の間で、

俺は戦略を組み立てる。



恐れるに足らない相手だ。

奴は右手に斧を握り込んでいる。

つまりグー以外の手は出せないはず。


(パーを出せば俺の勝――)


そう考えたところで――

背中に悪寒が走った。


魔族が一度引いた右手を大きく突き出す。

そしてそれと同時に――


握り込んでいた斧を投げつけてきた。


俺は咄嗟に身を低くして

投擲された斧を躱す。


頭を掠めた斧が、

背後の木の幹をへし折った。


音を立てて横倒しになる大木。

それに冷や汗を掻きつつ――


俺は笑みを浮かべる。


「やってくれるな・・・」


「それはこちらのセリフよ」


魔族が凶暴な眼光を光らせて、

鋭い牙を剥いてそう笑った。


魔族の右手の形はチョキ。

そして俺もまたチョキを出した。


つまり最初の勝負は――あいこだ。


「斧を握り込んだ俺はグーしか出せない。

そのように安易に考えてパーを出すような弱者は、

俺のチョキで身を引き裂いてきたのだがな・・・

どうして俺がグーを出さないと分かった?」


「ふ・・・さてな。俺の心にいる

勝利の女神さまのお導きかな?」


俺のこの回答に、

魔族の笑みがさらに歪んだ。


因みに斧を投げつけたことに関しては

俺も魔族も気になどしていない。


この世界ではジャンケンが全て。

斧が投げられたことなどどうでもいいのだ。


魔族がクツクツと肩を揺らしながら言葉を続ける。


「俺の手を読んでいたのならグーを出せば良かったものを・・・」


「それもまた読まれているかも知れんだろ?

先の戦いにおいてもっとも安全な手は、

最初のフェイントであるグーに負ける手。

つまりチョキだ」


「ふっふっふ・・・いいぞ。思っていた以上の獲物だ。

どうやら貴様は全力で戦う相手に相応しいようだ」


魔族がギラリと赤い瞳を輝かせ――

全身を醜悪な怪物に変形させた。


「これが俺の真の姿だ! この姿になった俺は

戦闘力が何十倍にも増大する!」


「な・・・何十倍だと!?」


「驚いたようだな! だが安心しろ!

ジャンケンとは何の関係もない変身だ!」


「やってくれるぜ! ならば――俺も容赦しない」


俺は服と下着を全て脱ぎ捨てた。

地面に落ちた服がずんと地面にめり込む。


「な――この服はまさか!?」


「そうだ! 何百キロもの重さがある服で、

俺は自分の戦闘力を抑え込んだいたのさ!

だが安心しろ! 俺もまた服を脱いだところで

ジャンケンには何の関係もない!

ついでに下着は脱ぐ必要さえない!」


「ふ・・・予想以上に楽しいジャンケンになりそうだ」


「いくぞ! 魔族!」


俺は空中に飛びあがった。

魔族もまた当然、空中に飛び上がる。


空中を縦横に飛び回りながら

互いに呼吸を探り合う。


二人の放つ気配に大気は怯え、

強風が吹き荒れて稲光が光る。


大地はチークダンスを踊り、

時空が歪んで前衛的アートを描き出す。


世界中の魔族の身長が一センチ縮み、

世界中の人間の体重が一キロ増えた。


隣町の赤ん坊が泣くのを止め、

その代わりに禿げたオッサンが泣き始める。


カラスがカーカー

カエルがゲコゲコ


――機は熟した。


空中を意味もなく飛び回っていた俺と魔族は、

その距離を急速に詰めて――



「ジャァアアアアアアアアアアン――

ケェエエエエエエエエエエエエン――」


二人同時に右手を突き出す。


「ポォオオオオオン!」


その時――


世界が白い輝きに包み込まれた。





=========================


「こらぁあああ! いつまで寝ているのよ! このバカ息子!」


「いっけねえ! 母ちゃんごめんよぉおおお!」


ベッドから飛び起きた俺は、

プンプンと怒る母さんにテヘペロを決めた。



真面目に考えてますよ?


ブックマークと評価一件につき、10+2話書いてみたいと思います。

もう少し延長させてやろうという方、

よければブックマークと評価をいただけるとありがたいです。


ブックマークつけるか迷ったときはつけてみましょう。

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