要求分析2
さて、エンティティを表計算ソフトに書き出したとしましょう。表計算ソフトの威力がここで生きてきます。
3つめのカラムをキーにして、エンティティを並べ替えてみましょう。「要求分析1」の最後の方で挙げた例だと、「打撃」とか「治療」とかが書かれていたカラムです。そうやって並べ替えると、エンティティのエフェクトをもたらすエンティティ (「キャラクターA」など) の集りがまとまって見えます。
そういう集りが見えると、「このあたり、ひとまとめにできないか?」という思い付きが浮かんでくるかと思います。もちろん、それが目的で並べ替えてもらったわけですが。ただ、この時点では、それはメモしておくに留めておいてください。その代わり (?)、エンティティとして抜けているものがあるかもしれません。それに気付いた場合には、書き加えましょう。
次に「エンティティの名前」のカラムをキーにして並べ替えてみてください。今度は、あるエンティティになにができるかの一覧が見えるかと思います。ここでも、「このあたり、ひとまとめにできないか?」という思い付きが浮かんでくるかと思います。ですが、こちらでもやはりメモしておくに留めておいてください。その代わり、やはりエンティティとして抜けているものがあるかもしれません。それに気付いた場合には、書き加えましょう。
他のカラムをキーにして並べ替えてみるのもいいと思いますが、この2つのカラムでの並べ替えは必ず行なってください。
さて、並べ替えの際にメモを取っておいてもらったわけですが、これをデータに反映させましょう。ただ、たとえば「打撃」という内容を「ダメージ」と書き換えてしまうのは待ってください。もしかしたら「打撃」と「切る」の区別はなく、ただ「ダメージ」としてしまうかもしれませんが、「打撃」と「切る (切られる)」では、異なるダメージ処理を行なうかもしれません。
そこで、「打撃」の場合であれば3カラムめになりますが、そのカラムの左側にカラムを挿入してもらい、そこに「ダメージ」と書いてもらうのもいいかもしれませんし、カラムの挿入はなしで「打撃」を「ダメージ,打撃」のように書き換えてもらうのもいいかもしれません。このように追加されるのは、およそ書かれていたエンティティなどを抽象的にしたものになると思います。
なお抽象化ですが、「普通こうだろう」という考えは捨てて下さい。それが絶対にいけないというわけではないのですが、自分の小説のTRPG化もあるかもと考えた場合、ここでどのように抽象化するかによって、小説の世界観の持ち味をどう生かすかが見えてくるかもしれません。表計算ソフトの画面から得られる事柄に沿って抽象化をしてください、あるいはそれに沿って抽象化をしないままでください。
このような並べ替えと、ENTITYの追加や修正、さらにカラムの追加か内容の書き換えを何度も繰り返してください。この作業はこの段階で終るとは限りませんが、ともかく抽象化も含めて「全部書き出した」と思えるまで繰り返してください。