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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第五章: 具体例: Φ-Meta System
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対抗判定と戦闘

 「“Basics” の値の決め方と判定方法」の◆Φ-1.1から◆Φ-1.5で Basics の値などの決め方の例を提示し、◆Φ-2.1から◆Φ-2.7で成功/失敗の判定方法の例を示しました。また「Basics」の◆Φ-1.6では Basics そのものの決め方について追加の例を示しました。

 これらで判定の成功/失敗はどうにか設定できると思いますし、成功/失敗だけでかまわない場合も多々あります。加えて◆Φ-2.1から◆Φ-2.7では成功の程度も設定できるとしました。これでだいたいはどうにかなるのですが、戦闘に限らずPC/NPC間での判定で、どちらがどれくらいの程度で成功したのかが必要になる場合もあります。ここでは、その決め方を提示します。そのような判定は対抗判定などのように呼ばれますが、戦闘は対抗判定の一種であるとして扱います。


◆Φ-10.1

 対抗判定において、行動をしかける側を “Offence” と呼び、行動を受けるあるいは対抗する側を “Defence” と呼ぶ。


◆Φ-10.2.1

 その場面で複数の “Offence”、 “Diffence” がいる場合の行動順序は、それらの行動の素早さに該当する Basics の値の順番に行なう。


◆Φ-10.2.2

 あるいは、行動の素早さに該当する Basics に、行動の素早さに間する判定の成功の程度の値を加えた値の大きい順に行なう。


◆Φ-10.2.3

 あるいは、行動の素早さに該当する Basics の値が一番大きいPC/NPCあるいはその他から、その場において時計周りに行なう。


◆Φ-10.2.4

 あるいは、行動の素早さに該当する Basics の値に、行動の素早さに関する判定の成功の程度の値を加えた値が大きいPC/NPCから、その場において時計周りに行なう。


◆Φ-10.2.5

 あるいは、行動の素早さに該当する Basics の値が一番大きいPC/NPCあるいはその他から、プレイヤー/GMの着席順で時計周りに行なう。


◆Φ-10.2.6

 あるいは、行動の素早さに該当する Basics の値に、行動の素早さに関する判定の成功の程度の値を加えた値が大きいPC/NPCから、プレイヤー/GMの着席順で時計周りに行なう。


◆Φ-10.2.7

 ◆Φ-10.2.1から◆Φ-10.2.6において、 “Defence” は、その対抗の行為のみについては◆Φ-10.2.1から◆Φ-10.2.6にかかわらず行なえる。


◆Φ-10.2.8

 PC/NPCが行動の素早さに関するスキルやアイテムを持っている場合、 Basics にそれらのエフェクトの数値を加えて扱かう。


◆Φ-11.1

 対抗において双方の判定の成功/失敗は関係なく、成功の程度の大きい側が成功したとする。その程度は成功の程度の差とする。


◆Φ-11.2

 対抗において双方の判定の成功/失敗は意味を持ち、両方が成功した場合には成功の程度の大きい側が成功したとする。その程度は成功の程度の差とする。片方が成功した場合には、成功した側の成功の程度がそのままその成功の程度となる。両方とも失敗した場合には、 “Offence” も “Defence” も失敗したものとする。この場合、 “Defence” が成功した場合になにかのエフェクトが無いならば、 “Defence” のみが成功した場合と実質的に同じである。


 ◆Φ-11.2 での双方失敗というのは、ちょっと間抜けな場合もありますが、採用しているTRPGも少なくはありません。


  * * * *


 対抗判定を最後に持って来たのは、広くは◆Φ-10.2.8あたりを含めて、ちょっと説明が面倒になるからです。◆Φ-10.2.8だけだと、 Basics の基本は◆Φ-1.1を基本にしているのである程度構わないのですが (実際にはそうもいかなかったりではありますが)、ちょっと範囲を広げるとそうも言っていられないので。


 何が問題なのかを◆Φ-1.1、◆Φ-2.1、◆Φ-2.2を例に示します。


◆Φ-1.1 (再掲)

    2d10    “Basics”などの値   %

         2     2       1

      3, 4     3       5

      5, 6     4       9

   7, 8, 9     5      21

  10,11,12     6      28

  13,14,15     7      21

     16,17     8       9

     18,19     9       5

        20    10       1


◆Φ-2.1 (再掲)

 1d10 を振って、 “Basics” などの値以下や、より小さい値を出せば成功という場合を「下方ロール」と言います。

 この場合、 “Basics” などの値と、出た目の差によって、成功の程度を決めるのが普通です。


◆Φ-2.2 (再掲)

 1d10 を振ってた結果と “Basics” などの値を足した値を基に成功/失敗を判定する場合を「上方ロール」と言います。

 この場合、合計の値によって成功の程度が別に定められているのが普通です。


 Basics のみで ◆Φ-2.1 の判定をしたとします。1d10の出目は1〜10ですので、◆Φ-1.1 と比べると成功の程度は 10 (◆Φ-1.1) - 10 (◆Φ-2.1) = 0 から、 10 (◆Φ-1.1) - 1 (◆Φ-2.1) = 9 となります。

 これに対して ◆Φ-2.2 の判定をしたとします。すると、 2 (◆Φ-1.1) + 1 (◆Φ-2.2) = 3 から、 10 (◆Φ-1.1) + 10 (◆Φ-2.2) = 20 となります。

 Basics の値だとかいわゆる目標値の設定によって実際には様々になりますが、とりあえずの範囲として見るとこのようになります。

 で、なにが問題なのかと言うと、片や成功の程度が 0 〜 9 なのに対して、片や 3〜20 であるという点です。小さい方はとりあえずそれほど問題ではないとしても、大きい方を見れば、その差は11とか、◆Φ-2.2 は ◆Φ-2.1 の倍以上 (9 * 2 = 18) であるということです。


  * * * *


◆Φ-12.1.1

 ここで、PC/NPCの状態を示すものの一つとして、HPがあるとします。


◆Φ-12.1.2

 HPは数値とし、0になったらそのPC/NPCは死亡とする


◆Φ-12.1.3

 HPは次のような段階とする。

  - Terrible: Near Death

  - Poor: Incapacitated

  - Average: Damaged

  - Good: Hurt

  - Great: Health


 このあたり、 “F” から始まる資料ではこのようになっています。 “E” から始まる資料ではこのような段階制ではないので、このようなものはないようです。


  - Undamaged

  - Just a Scratch

  - Hurt

  - Very Hurt

  - Incapacitated

  - Near Death

  - Dead


 ここでは ◆Φ-12.1.2 の方で説明した方がいいでしょう。 ◆Φ-2.1 の判定方法の場合、 Basics のみでの判定であれば最大で 9 ポイントのダメージとなります。それに対して ◆Φ-2.2 の場合、最大で 20 ポイントのダメージとなります。

 なにが問題なのかわかっていただけたでしょうか? HP の最大値あるいは総量にせよ、スキルなどのエフェクトの値にせよ、判定方法によって変える必要があるということです。

 ただ、3つの Scaling を導入しているため、具体的な値を Scaling に対応して変えなくてもかまわないのはすこしばかり HP を決めるなどの処理は楽になっていますが。

 加えて、PC/NPCが死に易いのかそうでないのかという世界観も反映させる必要があります。

 というわけで、HPをいくつにするとか、 ◆Φ-12.1.3 の段階がどれくらいのもので変化するのかという具体的な話はできません。


◆Φ-12.2.1

 HPの総量は、 Basics による判定においてありえる最大の成功の程度の 2倍をTRPG作成時の初期値とし、世界観の反映やテストプレイを通して妥当なものに設定する。


◆Φ-12.2.2

 ◆Φ-12.1.3 のように段階とする場合、どの程度のエフェクトで1段階のダメージとするかは、Basics による判定においてありえる最大の成功の程度の 1/4をTRPG作成時の初期値とし、世界観の反映やテストプレイを通して妥当なものに設定する。判定自体が段階的な場合、成功の程度1段階あるいは2段階ごとにその状態1段階変化させることを初期値とし、世界観の反映やテストプレイを通して妥当なものに設定する。


  * * * *


 判定方法によって、HPをどう設定するかが影響を受けるという点はいいかと思います。

 同時にスキルやアイテムの判定時の修正 (これもエフェクトの一種ですが) やエフェクトも、同じように影響を受けることもわかるかと思います。

 ◆Φ-2.2 のような場合にはそれらを細かく設定できるかもしれませんが、基本的にはこれくらいという基準が◆Φ-2.1と◆Φ-2.2、そしてそれ以外ではそれぞれ異なってきます。

 ただまぁ、最低はこれだけという値はどうしても決まってきます。


◆Φ-12.3.1

 スキルやアイテムの各種エフェクトの程度は、スキルやアイテムのエフェクトを基準として設定する。


◆Φ-12.3.2

 スキルやアイテムの各種エフェクトの最低値の絶対値は 1 とする。つまり実際の値は 1 あるいは -1 である。


◆Φ-12.3.3

 スキルやアイテムの各種エフェクト、世界観、判定方法、テストプレイを通して、それぞれ妥当なものにする。


◆Φ-12.3.4

 スキルやアイテムの各種エフェクトの最大値は、判定方法ごとの最大の成功の程度とする。ただし、例外が充分にありえる。


  * * * *


 判定方法を唯一に決めていないため、このあたりもこうと決めるのは難しくなっています。この点申し分けないとは思いますが、そういう方法を取ったからということでご簡便を。


 ともかく、あとはαバージョン初期のテストプレイで、ある程度これらの値を安定させてください。αバージョン初期では、これらの値が大きく変動するかもしれません。しかし、αバージョン後期、あるいはβバージョンに入ったら、あまり大きくは変動させないのが理想です。というのもここで書いたように、判定方法、スキルおよびアイテムのエフェクト、PC/NPCの状態を示すものはそれぞれ関連しています。ですので、1つを変更すると他にも影響が出てくるためです。


  * * * *


 とまぁ、今のところ思いついて書けるのはこれくらいだと思います。書き漏らしがいろいろあるとは思います。なにか指摘していただければ、そこを埋めることはできると思うので、感想や指摘をいただければ追加し対応いたします。

 これで再度一旦完結とします。読んでいただきありがとうございました。


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