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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第五章: 具体例: Φ-Meta System
34/39

Scale

 “E” から始まるとか、 “F” から始まるとかと書いている資料について補足します。これらは、TRPGを遊ぶ人なら常識として知っている資料です。また、先に書いたとおり両方ともフリーで公開されています。「フリーで」とは言っても、 “E” の方はゲーム主体の出版社で作成および公開されているもので、 “F” の方は超有名な汎用システムに関わった人がフリーで公開し、後に記念版として出版された大著です。これらを知らないという方がもしいましたら連絡を下さい。個別にお教えします。


  * * * *


 「要求分析6」、「仕様分析9」、「仕様分析12」などにおいて “Scale” という話を書きました。そのあたりをもう一度考えるために、 “E” から始まる資料と、 “F” から始まる資料の方を見てみます。


 “E” から始まる資料の方は、ちょっと面倒になっています。

 まず、世界観のScaleです:

  - Grueling

  - Adventurous

  - Heroic

  - Immortal

  - Cosmic


 次に Attribute Scale です。基本的には名前のとおり能力値あたりのものです:

  - 0 None

  - 1-2 Subhuman

  - [略]

  - 8-12 Average Buman

  - 13-15 Good Human

  - [略]

  - 61-80 High Immortal

  - 81+ Cosmic


 3つめが ADVENTURING PROFESSION で、おおむねスキルの Scale です:

  - 0-4 Unskilled

  - [略] Amateur

  - [略] Expert

  - 15-19 Master

  - [略] Legendary


 Scale を使いながらも、とくに “Attribute Scale” では、あまり Scale を使ってないっぽい感じもあります。これはデータ公開用だとかデータ交換用という目的を考えると、あまり Scale でいろいろやるよりもバラしておいた方が扱い易いという理由によるのだろうと思います。


 では、 “F” から始まる資料ではどうでしょうか?:

  Characters and Charater Traits (能力値とスキル両方)

  - Superb

  - Great

  - Good

  - Fair

  - Mediocre

  - Poor

  - Terrible


 “F” から始まる資料の方にも、 “E” から始まる資料の世界観のScaleに相当するものがあった気がするのですが、すこしそれっぽい用語は出て来るものの、リストは見つかりませんでした。


  * * * *


 「仕様分析12」ではこういうものを用意し、「ワールド・スケール」と呼びました:

  - Sub-Human: 人間より劣るもの

  - Human: 人間なみ

  - Hero: 人間よりそれなりに強い

  - Superb: 人間よりかなり強い

  - Demi-God: 人間というより神に違い

  - God: 神


 ほかの「要求分析6」とかではこういうものを Scale として用意しました:

  - Terrible: -2

  - Poor: -1

  - Average: 0

  - Good: 1

  - Great: 2


 とくにそうしなければいけないという理由もありませんが、こうします。


◆Φ-9.1.1

 Φ Meta System の Scaling は次のものを基本とするが、これらの上下にさらに追加してかまわない。横にある数字はその場合に使える表記方法:

  - Terrible: -2

  - Poor: -1

  - Average: 0

  - Good: 1

  - Great: 2


◆Φ-9.1.2

 “Average” に対して “Good” は、その程度として “Average’ の1.5倍であることを基本とする。 “Good” に対しての “Great” も同様。小数ではなく、分数 (“3/2”) で扱ってもかまわない。


◆Φ-9.1.3

 “Average” に対して “Poor” は、その程度として “Average’ の0.67倍であることを基本とする。 “Poor” に対しての “Terrible” も同様。 “0.67” という数値は、 “1.5” の逆数です。ここでは “0.67” としましたが、好きな精度で計算してください。あるいは、小数ではなく、分数 (“2/3”) で扱ってもかまわない。


  * * * *


 まぁ、これを基本とします。

 「仕様分析12」では「ウサギTRPG」という例を挙げました。PC/NPCとして基本的にはウサギしか出てこないのであれば、いろいろとウサギ基準で “Average” を設定して構いませんし、それによる数値や段階そのものは、人間基準のものと同じになるかと思います。この「ウサギ基準」とか「人間基準」という Scaling を “Size Scaling” と呼ぶことにします。

 これだけでは “Size Scaling” の使用目的はわかりにくいかもしれません。では、ウサギと人間がいずれもPC/NPCとして現われる場合を考えてみます。そうした場合、人間は “Good” 相当とし、ウサギは “Terrible” 相当だとします。基本的にはそういう扱いでかまわない場合が多いですが、人間とウサギが追いかけっこをするような場合、ウサギの方が有利になるかもしれません。そのあたりをどう表現するかはとりあえず置いておくとして、おおまかな話を決めてしまいます。


◆Φ-9.2

 そして、それらの “Size Scaling” は基本的にはエフェクトの値や段階に影響するものとします。


 このようにする利点は、能力値やスキル、それらのエフェクト、判定方法などは、ウサギか人間かに関係なく設定できたり定義できるという点にあります。

 追いかけっこというような例については、適宜うまいこと設定してください。 “Size Scaling” が個別の能力値やスキルに対応するとかなんとかすれば一応できると思います。


  * * * *


 ところで、ウサギサイズのPC/NPCでも、人間サイズのPC/NPCでも、種族だとかなんとかで強さなどなどが違っているかもしれません。

 

◆Φ-9.3

 そこで、種族などによるエフェクトの値や段階に影響する Scale を、 “Racial Scaling” と呼びます。


◆Φ-9.4

 この場合、“Size Scaling” が “Good” の場合での “Racial Scaling” が “Average” である場合と、 “Size Scaling” が “Average” である場合での “Racial Scaling” が “Good” である場合とのエフェクトの値や段階は同じもになるとします。違いがより大きい場合や、 “Poor” などへの方向の場合も同様とする。


 これはおかしな話ではなく、 “Size Scaleing” に基いてエフェクトの値を1.5倍するか、 “Racial Scaling” に基づいてエフェクトの値を1.5倍するかという話で、どっちにせよエフェクトの値を 1.5倍するだけなので、当然そうなるという話です。


  * * * *


 ここまでは、◆Φ-9.4に書いたようなことが成り立つという条件や前提で話ができるのですが、あと一つについてはちょっとうまいことそうはいかなかったりします。

 “E” から始まる資料の方での世界観のScaleに相当するものです。これも次のもので書いてみます。 “Humans” などは、こう考えてみようという一例です:

◆Φ-9.5.1

  - Terrible: Gnomes あるいは Micros

  - Poor: Halflings あるいは Minis

  - Average: Humans

  - Good: Supers

  - Great: God, Demi-God


 記述を統一するためにこの書き方としますが、中身は “Size Scaling” および “Racial Scaling” とは異なります。

 これをあらためて “World Scaling” と呼びます。 “World Scaling” 自体は世界観そのもののある意味での規模であって、PC/NPCのエフェクトの結果そのものを現わすためのものではありません。もちろん、その規模によって当然PC/NPCのエフェクトの結果も影響を受けますが、そのことを目的としたものではないか、あるいは二義的なものです。

 “Average: Humans” は、普通に人間基準です。

 “Good: Supers” は、強力なスーパーパワーを持つPC/NPCの世界観です。

 “Great: Gods, Demi-Gods” は、多神教における神程度の影響をPC/NPCが及ぼすことができる世界観です。ここで、「多神教」と書いているのは、その場合はだいたいにおいて「全知全能ではない」からです。「全知全能」だとなんでもありになりますので、舞台装置としてはともかく、PC/NPCとして登場させるのは無理があるだろうからです。

 逆に、“Poor: Halflings あるいは Minis” は、人間よりも小型だとか及ぼせる影響が小さいPC/NPCによる世界観の場合です。

 “Terrible: Gnomes あるいは Micros” は、さらにPC/NPCによる影響が小さい世界観の場合です。

 なお、 “Halflings” と “Gnomes” は、それぞれの世界観において “Halfling” や “Gnomes” が主なPC/NPCであるというような意味はありません。あくまで “Scale” としての別名であるにすぎません。いい感じの名前を思いつかなかっただけです。


 なお、1つのTRPG内やセッション内で、複数の “World Scaling” が混在することはないか、稀であるとしましょう。

 とは言え、「神対人間」というような世界観もあるわけですので、そのような場合は思案のしどころです。ただし、それであっても “World Scaling” が混在するのではなく、どちらかのものとして扱かうようにしましょう。その際の基準は設けません。仮に設けるとしたら、PCは神なのか人間なのかということになるのでしょうが、PCは神の場合もあれば人間の場合もあるという例も考えられますので、なんとか選んで設定してください。


◆Φ-9.5.2

  1つのTRPG内あるいはセッションやキャンペーン内での “World  

  Scaling” の混在は避け、どれか1つであるとして構築するよう心がける。


 また、次の点に注意しましょう:

◆Φ-9.5.3

  ◆Φ-9.5.2における “Average” と “Good” の間には、1.5倍のような

  関係は存在しない。他の項目の間においても同様。


 ここでは、この◆Φ-9.5.3のように定義しておきます。スーパーパワーが、人間の力だとか能力の1.5倍だとか、スーパーパワーを1.5倍すると神になるというわけでもないでしょうから。


  * * * *


 というわけで、 “World Scaling”、 “Size Scaling”、 “Racial Scaling” を導入しました。多様なPC/NPCであったり、あるいはアイテム扱いになるようなものが登場する場合、これらを組み合わせて、能力値やスキル、それらのエフェクト、判定方法がうまい具合になるように試してみてください。


 次回は戦闘だとか対抗ロールについて書いて、連載を再度一応終りにします。


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