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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第一章: 要求分析
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要求分析1

 ほかの場所だと、「世界観をどう構築するか」という話が必要だったりしますが、小説家になろうだとその部分は必要ないかなと思いますので、飛ばします。もし必要という意見が寄せられたら、あとで書きます。


 では、まずやることはなんでしょうか。それは要求分析です。持っている世界観でなにができ、なにが起こるかを全部書き出します。まぁ本当に全部というのは無理なんですが。たとえば、「右手人差し指の第一関節を0.1°内側に曲げる」というような感じで書き出しても、たぶん意味はありませんし。

 そこで、「アクション—リアクション」の組が存在するかどうかを基準にして書き出します。なお、この「アクション」は、「誰か」が「意図を持って」行なう行為に限りません。たとえば、偶然植木鉢が上から落ちて来るというのも「アクション」に含めます。というのも、その結果としてPCやNPCや道路などなどに当たり、ダメージという「リアクション」が発生するかもしれません。あるいは誰かが「笑った」として、それにつられて他の人も「笑った」という場合も該当します。

 この「アクション—リアクション」の主体や対象になるものを、「エンティティ」 (Entity, 実体) と呼びます。今の段階では、エンティティは「名前」と「エフェクト」 (Effect, 効果) を書き出します。エフェクトには「ダメージ」もあるでしょうし、「見える」というようなものもあるでしょう。また、エンティティは「アクション」について書くだけでなく、「リアクション」もまたエンティティとして書きましょう。エンティティについては、地震が多発している世界であれば、「地震」もエンティティに入るでしょう。世界によっては、もしかしたら「高気圧」や「低気圧」も入ったりするかもしれません。

 なおこの段階においては、一つの名前を持つエンティティとして複数のエフェクトがある場合も、あるいは同じエフェクトを持つ複数のエンティティがある場合も、すべてばらして書き出してください。ただし、今の段階においては、書き出したものの形式としては、「「複数の名前を持つエンティティ」も、「複数のエフェクトを持つエンティティ」も存在しないようにし、それぞれ別個に書き出しましょう。そのあたりは要求分析2か3で考えます。

 この際に言えることですが、エフェクトの記載には、エフェクトの主体 (「誰々が」あるいは「何々が」) は書きません。これは、そのエンティティの「名前」が当然該当するはずだからです。また、エフェクトを与える手段 (方法、“Entity”、「これこれによって」など) も、この段階では書きません。同様にエフェクトのターゲット (対象, “Target”, 「誰々に対して」や「何々に対して」) も書きません。この段階での要求分析では、手段もターゲットも明記する必要がないためです。

 すでに書いた小説からエンティティを書き出す場合、小説そのものにさまざまな「アクション—リアクション」が書かれていると思いますので、すくなくとも小説に書かれている「アクション—リアクション」はすべて書き出しましょう。小説が書かれていない場合でも、ここの作業をやったほうがいいのですが、書かれた小説という具体的なものが存在しない分、面倒にはなります。

 汎用システムの場合はどうでしょうか。すでに小説が書かれている場合、同じ処理をそれぞれの小説について行ないます。小説がかかれていない場合、上記と同じように面倒になりますが、面倒さの桁が上がるくらいに面倒になります。書かれた小説がなく、かつ汎用システムを作りたいという場合、それなりのやりかたはあるのですが、とりあえずここではおいておきます。一応、この連載に目を通していただくと、その際に必要なメタ分析もできるようになると思います。

 もちろん、これでも膨大な数のエンティティを書き出すことになります。ですが、そこは頑張ってください。TRPGを作るのに慣れていれば別ですが、そうでないならこの段階でのエンティティの書き出しはともかく頑張ってください。

 なお、この時点でのエンティティには、名前とエフェクトしかありませんが、このエフェクトという項目自体、要求分析が進むにつれて別のものになります。名前が変わるのは、「エンティティ」という名称そのものも同じです。「名前」はたぶん今後も変わらないかもしれません。

 一応、あとのことも考えて、エンティティの書式を決めておきます。


   《ENTITY

    《名前: Entityの名前》

    《エフェクト: Entityの効果》

   》


という、形式にします。今の段階だと、「ENTITY: Entityの名前: Entityの効果」というように、一行に書いてもかまいません。あとになっても一行にしておいてもかまいません。ただ、連載の形式としては上のように書くのを基本とします。このように書くことに決めたからといって、上の書式でも一行に書く場合でも、“ENTITY”という記載は外さないでください。上にも書きましたが、“ENTITY”と書いている場所に書かれる名称自体が変わるかもしれないためです。

 なお、この段階では、あるいはあとでも、表計算ソフトの利用をお勧めます。というのもエンティティの並べかえを行なうためです。表計算では、“ENTITY”、“Entityの名前”、“Entityの効果”をそれぞれ一行の中のセルとして書いてください。

 上に書いた手段とターゲットですが、できれば表計算ソフトの一行の4つめのセルに手段を、5つめのセルにターゲットを書いてください。4つめとなる手段が空欄になるとしても、ターゲットを書くセルを4つめのセルに詰めるということはしないでください。

 手段とターゲットの記載を認める場合の、この連載での書式は次のようになります:


   《ENTITY

    《名前: このEntityの名前》

    《エフェクト: このEntityの効果》

    《エンティティ: このEntityの効果 (エフェクト) をもたらす

            Entityの名前》

    《ターゲット: このEntityの効果 (エフェクト) の対象となる

           Entityの名前》

   》


 というあたりを細かく説明するよりも、例を挙げた方がいいかもしれません。


 ENTITY : キャラクターA : 打撃 : 素手 : 他のエンティティ

 ENTITY : キャラクターB : 銃撃 : 銃 : 他のエンティティ

 ENTITY : キャラクターC : 見える : 目 : 実体がある他のエンティティ

 ENTITY : キャラクターD : 治療 : ファースト・エイド.キット : 自身

 ENTITY : 銃 : 銃撃 : 自身 : 他のエンティティ

 ENTITY : ファースト・エイド・キット : 治療 : 自身 : 生物であるエンティティ


 というような感じで、ともかく全部書き出してみてください。この各要素は、ある程度類型を最初に用意した方がいいのですが、それはある程度世界設定とシステムがイメージできている場合にした方が安全です。イメージできていない段階だと、全書き換えになるかもしれませんので。どっちにしろ、あとでは類型化していきますが、それはこれを全部書き出してからにしましょう。


 なお、表計算ソフトでのエンティティの並べかえの際には、行単位での並びかえを行なうことに注意してください。行単位でない並べかえをしてしまうとエンティティとしての名前とエフェクトがばらけてしまい、意味不明なものになってしまいますので。


 とりあえず、こういうENTITYの書き方でしばらく話を進めますが、後で大きく変えるかもしれません。というのも、エンティティ間の関係を分析する場合、すこし手を加えた方がいいかもしれないからです。そのあたりのネタはありますが、こっちの書き方でやっていけるところまではこっちの書き方でやっていきます。


ここまでが削除前サービス版でした。


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