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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第二章: 仕様分析
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仕様分析2

 では、まずPCあるいはNPCについて考えてみましょう。このあたりは、後でまた戻ってくることになるかと思います。ともかく、要求分析によって、「スキル」などなどと書かれているものがあるはずです。その内には、 "Primary" と書かれているものがあるはずです。


 ここでまず問題があります。判定を可能にするには —— GMに一任の場合を除いて ——、なにかしら基準になるものが必要です。そして、 "Primary" とあるものは、「あらゆるキャラクターが、あるいはほぼあらゆるキャラクターが持ち得るもの」のはずです。それは何なのでしょうか? 単純な言い方をするなら、「そのシステムに能力値は存在するのか?」と言ってもいいでしょう。


 存在するのであれば、その "Primary" がそれに該当するのか、それともしないのかを考える必要があります。おそらくではありますが、そのまま能力値に該当するものはないだろうと思います。というのも、要求分析のもとになったのは小説、あるいはもしかしたら設定であり、そこに現われている「キャラクターにできること」が書かれているはずだからです。能力値が存在するのであれば、それら "Primary" の基礎になにがあるのかを考える必要があります。あるいは、どのようなものの組合わせで、 "Primary" を構成できるのかを考えてみる必要があります。なお、そこから得られる能力値群のみによって "Primary" を再現できるとは限りません。能力値は存在するものの、それに「スキル」などとして加えることで "Primary" が再現できる場合もすくなくないでしょう。


 あるいは、能力値は存在しないという場合もあるでしょう。この場合、 "Priamry" となっているエンティティの数が少なければ、それを「基礎スキル」などとして、どのPC/NPCも持っているものとすることもできるかもしれません。逆に "Primary" となっているエンティティの数が多ければ、その中から選別する必要があるかもしれません。


 ここで「多い」、「少ない」と言っていますが、これについては何個くらいという基準を設定ることは難しいかと思います。多ければ多いで、それがそのシステムの特徴になるかもしれないからです。それでもなにか基準をということであれば、なにもないわけではありません。キャラクター・シートという制限があるためです。単純には、それらをキャラクター・シートに印刷済みの状態で、さらに他の事柄を記述できる余裕を残せるかどうかということです。これはもちろん、どれくらいの大きさのキャラクター・シートを許容できるかという判断にもよります。それでも現実的に「これ以上は無理だろう」という制限はあるかと思います。もっとも、この基準も今ではタブレットの使用などにより曖昧になっていますが。


 また、 "Primary" となっているエンティティのみが "Primary" として存在できるとは限らないかもしれません。それをシステムの制作者が許すかどうかという条件は付きますが。これは、 "Secondary"、"Primary Special"、"Secondary Special" についても同じです。これを突き詰めると —— 別の面もあるのですが ——、「記述型システム」に到達します。システム制作者、あるいはGMによって世界観が提示され、そこにあってもおかしくないそれらエンティティをプレイヤーが創作し、説明を付け、自身のPC/NPCはそれがどの程度できるのかを記述するようなものです。


 能力値についてはこのようにすこし面倒なのですが、それ以外のものであれば "Primary"、 "Secondary"、"Primary Special"、"Secondary Special" は、およそ「要求分析4」に例示したようなものとなるでしょう。


 ところで、"Primary"、 "Secondary"、"Primary Special"、"Secondary Special"を眺めると、あるエンティティが別のエンティティの一部であるとか、含まれるとか、あるエンティティの特殊な例であるという場合もあるかと思います。あるいは、そのようにできるという場合もあるかと思います。このあたりは "Skill Web"、 "Skill Tree"、"技能木" などのように階層構造を導入することを検討してみてもいいでしょう。


 次は、エフェクトの強さです。「要求分析5」では、Terrible, Poor, Average, Good, Greatの5段階にしていました。まぁ、このあたりは WoC のもの (あるいは今は別のところだったかも) に合わせておいた方がいいのでしょうが、どちらかというと小説家になろうの規約関係ですこし面倒かもしれないのでこれで通します。


 「要求分析5」では、このように書いていました。

   Average: 普通にありえる効果 or 普通だと思える条件やコスト

つまり、効果と、条件やコストを同列にしていたわけです。一応、「どちらであるかを決め」とは書いておきましたが。ここに違和感を持っていた人がいるかもしれません。ここで同列にしていたのは単純な理由で、「普通にできることがもたらすのは普通の結果だろう」という仮定です。

 さて、ここからが別の問題です。「5段階でいいのか?」そして「その段階をどう表わすのか?」という問題です。このあたりはあまり細かくしてもしかたがないとか、ダイスを使うとして何面ダイスを使うのかという問題とも関わります。また、その分布はどうなのかという問題とも関わります。

 ここでは、キャラクターをどう表わすかだけを考えることとして、それらはまた後のこととしましょう。

 そして、ここではTerrible, Poor, Average, Good, Greatの5段階の割り当てが妥当であるかをもう一度見直してみましょう。とくに、おそらくは能力値や基礎スキルに関連して、 "Primary" が見直されているかもしれません。その結果が、"Primary"、 "Secondary"、"Primary Special"、"Secondary Special"に、そしてそれらのTerrible, Poor, Average, Good, Greatに影響を与えているかもしれません。ですので、そこを見直し、確認し、必要なら修正しておきましょう。


 おっと、あと一つだけ。PCなどの状態を表わすものが存在するかどうかを決めましょう。これはたんに「生きている/死んでいる」だけかもしれません。もしかしたら死ぬことはないのかもしれませんし、最初から死んでいるかもしれません。あるいは、よくあるHPかもしれません。あるいは何段階かだけの程度なのかもしれません。これを細かくしようとすれば、体の部位 (どういう形状であれ、またどういう細かさであれ) ごとに、そのような状態を用意することもできます。どういう程度にせよ部位にせよでそれを表現するのがいいのか、考えてみましょう。


 次回は、Itemなどについて、同様の検討をします。


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