朝食シーンで割とどうでもいい話をする事に意味など無い
鬱憤溜まって駄文が書けない時に唐突に投下される駄文、つーまーり駄文!!(駄文)
目が覚めた。時計を見れば現在六時半。グッドモーニング人類諸君おはよう、随分早いお目覚めですね? 俺はもう少し寝る事にするよ。人類に必要な最低睡眠時間は一日三時間らしいがもっと人間欲張っても良いと思うぜ。たとえ遅刻をしようがな。
そんなまったく下らんモノローグを脳内再生し、俺は二度寝を決め込む。と、唐突に部屋の扉が開く音がした。
「おっはよぅ我が愛しの拓郎〜? グッモーニン? バットモーニン? 私は貴方が居るだけでグッモーニーン〜ッ! エ〜ンドゥ〜?」
そう言って何者かが布団ごと俺にハグをしてきた。いや、声と行動だけで何者かは察せているのだが、改めて認識するとなると気恥ずかしさと思春期特有の反抗期的なアレで若干のウザい感は滲み出る。いや、実際割りとウザいのかもしれない。いや、ウザい。凄いウザい。
「ハァーイマイマザー、俺からすれば高校生の息子の部屋に無断で侵入し、そこそこ大きくなったこのボディに毎回ハグして定期的に愛を供給される朝はsubtle morningだぜ……」
「じゃあ愛を受け取るんじゃなく私に愛を供給すると思って後三時間……」
「あんまり状況変わらねぇし、起こしに来たんじゃなかったのかよ……」
溜め息を吐きながら身体を起こし、我が母、辻 琴音を自分から引き剥がす。
美人……とまではいかないがそこそこ整った顔立ち。長い髪を後ろで括り服装はどこで買ってきたのかエプロンドレス。然もご丁寧にフリッフリのフリル付きである。正直幾ら若く見えるからって引くぞ? いやもう俺の脳内が絶賛大ドン引き大会だぞ? 悪くないDNAと大量の愛と金と労力を注いでくれたのがわかっているこの現状でも引くぞ? マザーがそのエプロンドレス着始めてから一年と数ヶ月経つけどまだ若干の抵抗があるぞ?
「ご飯出来てるから早く降りてきてね?」
「へいへい。」
「着替え手伝う?」
「いいから先に降りて飯の用意でもしといてくださいなっ。」
シッシッ、と手をヒラヒラと振り、俺はマイマザ……母さんを部屋から追い出した。全く、親父が俺が三才の頃に単身赴任でシベリア送りになっちまったから(※なってません)、殆ど女手一つで俺を育ててくれたのに感謝はしているが、それとこれとは色々別物だと思う。
慣れた手付きでタンスから下着類、ハンガーラックから制服を取りそれらを着用する。
教科書類はほぼ全ての教科を半ば強引に黒いエナメルバッグに詰め込む。忘れ物なんざウンザリだからな……それに、時間割を覚えるのは大変面倒くさい。家で勉強なんざそうそうしないから置き勉(勉強道具を学校等に置いておく事)してやるのだ。
割とノリノリでエナメルバッグを肩に掛け、下の階へ降りようとするが、ふと机の上のシャーペンに目が行った。
あぶねー……忘れる所だった……いやまあ忘れても全然良いんだが、嫌がらせは思い立ったが吉日だしな。
シャーペンを手に取りポケットへと入れる。
と、その時部屋のドアが開いた。
「ねえねえ、まぁ〜だぁ〜?」
「その問いかけで『萌え』が発生するのは美少女か二次元だけで御座いますよ? お母様。」
「つまり私が美少女って事〜? や〜だ〜!!」
と、手を頬に当て赤面される母上。
うーん、なんだろう。朝からガムシロップをガブ飲みさせられてる気分。
冷めた目つきで暫く母を見やると、溜め息を吐きつつ下に行こうと提案する。辻家の朝の風景である。
*
生憎と俺は何処ぞのラノベ主人公君の様にメチャ料理上手な訳ではない。
そもそも、料理と呼べるものは小中の時の家庭科の授業レベルしか身についていないし(それだけ出来れば割と十分だと自分では思うが)、中学三年生からは『如何に自分が役割を他人に押し付けるか』という考えで生きてきたので長らくお台所様の前には立っていない。
親に食事を作ってもらえるという、誠に恵まれた環境に感謝である。
「頂きます。」
本来、感情を込めて言わねばならぬその言葉を現代の日本人の多くは只の『作業』として処理してしまっている。飯が食える事が『当たり前』なのだから。だからこそ、俺はこの言葉に気持ちを込めるのだ。
そんな中二病的モノローグを頭に浮かべつつ飯を貪る。
「どう? 今日はお味噌を変えてみたんだけど……」
そんな輝いた目で俺を見つめないでくれマイマザー。味噌汁ってのはこの黒い触手が蠢くジャイアンシ○ューの事かい? 傑作だな。
……なんて事はなく、食卓に並ぶのは白米、味噌汁、茹で卵付きサラダ、卵焼き、ベーコンエッグ、目玉焼き、スクランブルエッグというなんとも素朴な……って卵多いなっ!?
「……味噌はこの間のが一番好きだな、でもこれも美味しいわ。」
「そう、じゃあこのお味噌使い終わったらこの前と同じの買ってくるわね。」
うん。遠慮なき家族間の会話、何とも素晴らしきかな。これが『日常』で『平凡』で『普通』である。でもちょっと卵料理多くない? これ聞いていいやつ? いや、もう聞くわ。
「……今日何か卵多くない?」
「昨日特売日だったから……買いすぎちゃって……」
テヘッ、と下を出す母上。可愛くはない。
「母よ、収支的には……?」
「…………マイナス、かな。」
「いやダメじゃん。それ主婦が千十二番目にやってはいけない事(俺調べ)ですよ奥さん。」
「やったあ、意外と順位低い!」
いやグッじゃねえよ。
「はぁ……次からは気をつけてくれよ?」
「はぁーい……」
しょぼん……と、いった顔つきをするマザーを前に俺は溜め息を吐いた。
別段、我が母上は財布の紐が緩いという訳ではない。只ちょっと抜けている所があるだけなのだ。この注意するの今年に入って五回目だけどね! 大丈夫かこの人。
そんなこんなで流れていく朝に、俺は昨日のモヤモヤした感情などすっかり忘れていくのであった。
こんな母親は嫌だ選手権千三百五十七位ぐらいを目指していきます。