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少将

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 日が自分達の頭上高く昇りきった頃合いに、それは見えてきた。

 立ち並ぶテントは迷彩色から薄茶系が殆どで、平野全てをそれらのテント達が埋め尽くしていた。




「お疲れ様でした。ここが目的地です」

「ひょえ〜、これだけあると迫力がありますねー」

「サンゲンヤ駐屯地は現在第六旅団が駐屯中で、第七独立戦闘部隊は友軍扱いで御厄介になっています。規模で言えば……二千人程でしょうか」

「に、二千……」




 言葉が詰まり、その規模の大きさに度肝を抜かれる。ここにいる人達の一人ひとりが戦闘員並びに構成員なのか。

 




「ですが、本営に比べればこれでもまだまだ小さい方です。本営は都市一つ丸ごと軍が駐屯してますし」

「都市一つ⁉︎ 要塞じゃないか‼︎ 」

「それだけ我々には力があり求められているという事ですね。我々無くして平穏な生活はあり得ませんから」




 自信に満ちた言葉。自分達の仕事に誇りを持ち堂々たる様が輝いて見える。




「兎に角、先ずはここの責任者であるタカハラ少将にご挨拶しましょう。私達の部隊へはその後ご案内しますね」

「「「宜しくお願いします」」」




 カプリオとマサムネがいた事で駐屯地には簡単に入る事ができ、念の為にと来賓用のカードまで手渡された。無くすと出る際の手続きが面倒になると念を押されたので無くさないようしっかりと首から下げておく。




「んじゃ、俺様は用事があるから」

「……ふぅ、また”アレ”ですか? 懲りないですね」

「大丈夫‼︎ 今度は良い作戦を思い付いたんだ‼︎ 」

「どーせ無駄の徒労に終わりますけど、精々頑張ってください。無鉄砲な馬鹿は置いておいて私達は行きましょう」

「見とけよ! 今日こそ絶対にやってみせるからな‼︎ 報告、楽しみにしてろよ! うらぁぁぁぁぁ‼︎ 」




 何やら意気込むマサムネは他に用事があるらしく、豪快に手を振りながら俺達とは反対側に駆け抜けていった。ニヤニヤを抑えきれずに気持ち悪かったが、それだけ楽しみにしていた事があるのだろうか。




「なあ、マサムネは何をしに行ったんだ? 何やら作戦とか言ってたけど……? 」

「その内分かりますよ、……まあ、恒例行事と言いますか毎度の事なんですけど」

「恒例行事? アイツが何かするの? 」

「……恐らく飛びますね」

「飛ぶの⁉︎ 」

「取り敢えず、今は馬鹿の事は置いときましょう。着きましたよ、この中にタカハラ少将はいます」







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 一際大きなテントの入口を潜ると、長方形の机を囲んで複数の男性が話し合っていた。一番奥で他の意見を纏めている少し年老いた人がタカハラ少将か。

 髪に黒さが殆ど残っていない人物で、見た目も話す口調もとても温厚そのもの。




 テントの中に入ってきた俺達を見ると最初は少し怪訝な顔を浮かべていたが、カプリオの顔を見るとその疑惑の目は優しい目へと移り変わり安堵の表情になっていった。




「やあやあ、これこれはシドさんの娘さんじゃないか! 名前は確か……そう! チノちゃんだったかな? 」

「お久しぶりですタカハラ少将」

「大きくなったねー! この前あった時は入隊直後の頃だったからかれこれ数年振りだ! うん、すっかり女の子らしくなっちゃって! それにその軍服姿も板に付いてきているよ」

「ありがとうございます。タカハラ少将は少し白髪が増えましたね」

「いやいや、歳は食ったがまだまだ若い者には負けてられんよ! なに、今日は何の用で来たのかな? 後ろの方々が関係していそうだが……知り合いかい? 」




 他の新政府軍の人達も見慣れぬ集団に懐疑心を隠せていないようで、話し声がピタリと止まって全員がこちらに視線を投げかけている。

 タカハラ少将は値踏みでもするみたいな冷ややかな眼差しでこちらを一瞥だけして、またカプリオに向けて温和な表情に戻る。




「その事でお願いしたい事があるのですが、少しお時間を宜しいでしょうか? 」

「ふむ、本来なら軍議を詰めている最中なので時間は裂けぬと言いたいところだが……シドさんの娘さんの頼みとあっては無下にも出来ないな……。君達! 少しの間だけ抜けてくるが、その間に例の件を煮詰めておいてくれるか」

「了解いたしました! 」




 即答である。まさか、こんなに快く応じてくれるとは思っていなくて正直驚いている。和かにカプリオと歓談しているのだが、普通は階級とかで区切りがあるんじゃないのか?




 だがしかし、この二人にはそんな堅苦しさは無く、カプリオは形式的に敬語を使っているが、主にタカハラ少将が柔和な態度を取っていることで特に臆せずリラックスして見えた。




 テントから出るとカプリオに向けてタカハラ少将は口を開く。




「それで、私に用とはなんだね? 」

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