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ラウンド2

 ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎ ✖︎





「これなーんだ? 」

「……何だも何も私の下着ですよっ‼︎ 返してください‼︎ 」

「まあまあ、硬いことは言わないでください。ふむふむ……大人っぽい下着を着けてると踏んでましたけど、案外子供っぽ「言わないでぇぇぇぇ‼︎ 」

「ポ、ポーシャ落ち着け‼︎ それは流石に…」

「何見てるんですか‼︎ 向こう向いててください‼︎ 」





 ギラつく眼光に危険を感じ、慌てて目を逸らす。




「お、お兄さん……み、見ましたよね? チラッと見ましたよね? 」

「み、見るって何を? 」

「わ、私の……アレですよアレ……」

「み、見てないです……」

「本当ですかぁ……? 」




 後ろからドスの効いたおどろおどろしい声が聞こえるが俺は頑なに首を横に振ることしか出来なかった。

 刹那的な時間にポーシャがミハルの服から取り出した物体が何か判断する時間は皆無に等しく、常人には先ず判断できない。




 恐る恐る振り返ると頰を紅潮させつつジト目で訝しむミハルに対して、俺は正面切って目を見返すことが出来ない。ポーシャに縄で縛られ動きを封じられているのに何故か目の敵にされているのは俺という状況。




「お兄さん? お兄さんの動体視力なら見えたんじゃないんですか? 嘘じゃないですよね? ね? 」





 み、見てない見てない。俺は何も見ていなかった。チラッと視界に入ったアレはきっと目の錯覚で可愛い刺繍が入ったブラなんかじゃない。




 ミハルの懐疑の目がジト目からハイライトが消えるまで進化……いや、退化しつつあるのを他所に俺はポーシャへと視線を移す。




「なあ、何を取ったのか知らないけどミハルに早く返してやれよ。ミハルだって一応年頃の女の子なんだぞ? 」

「これですか? これはあくまでも保険ですよ? 生贄が簡単に逃げられないよう工夫をするのは当然の処置ですから」

「生贄って……酷くないですか? 」

「こうしておけば、万が一にもレイがミハ……生贄を逃がそうとした時や生贄が逃げ出そうとした際に動きを止められますから」

「間違え方が酷すぎる……」

「下手に私の機嫌を損ねないようにしましょうねー」

「横暴だ……」




 それでは、と、再びお菓子が山程積まれているテーブルの上から、これまた長々しく作られたパッキーを一つ取り出してこちらに持ってくる。




 長さは先程の数倍はあり、何に使うのか考えるまでもなく背筋に冷や汗が走る。


 


「パッキーゲームをする上で大切な事はいかにギリギリまでお菓子を折らずに緊張感の中で食べ進められるか、そこに全てはあるのです」

「そ、そうですね……」

「だと言うのにレイは自分から、あろうことか自分から折るんですよ? 草食系男子なんですねー」

「そ、そうですね……」

「女の子とこんなこと出来る機会なんて人生の内でもそうそうあるものじゃないのに……勿体無い」

「別に嫌とかそういうんじゃないんだけどさ……」

「あー‼︎ エレナさんに言いつけてやりますからね‼︎ 」

「お前は一体どっちの味方なんだよ‼︎ 」

「ぶーぶー‼︎ 」




 酔ったポーシャにぶー垂れるミハル、なんだろう……今の二人の相手をするのがとても疲れるんだけど……助けて。




「なので、次からは先程のルールに加えて新ルールを設けようと思います。前回のルールは覚えてますよね? 」

「あ、ああ……確か自分から折った方は全裸で過ごすんだったな……」

「だから脱いでたんですかお兄さん……不潔」

「お前はちょっと黙ってろ‼︎ 話が余計にややこしくなるから‼︎ んで、新ルールってのは何? 」

「勝負をより盛り上げる為、レイが今度自分から負けた場合は……ミハ……ゴホン、生贄の服を脱がせます……それも大衆の面前で一枚ずつ丁寧に」

「「あぉぁぉぁぁぁん⁉︎ 」」

「それじゃゲームスタート♡ 」

「お、おいちょっと待てって…グムッ‼︎ 」

「ほふぁ〜はんはひゃははふぁって……」

「んー‼︎ んー‼︎ んんんぅんぅんぅぅぅ‼︎ 」




 は⁉︎ 俺が今度折ったらミハルも全裸⁉︎ 何が一体全体どうなってるんでしょうか⁉︎ 




 取り敢えず、お、落ち着け……落ち着くんだ……‼︎

 状況はかなり逼迫しているが先ずは落ち着かなければ‼︎




 俺とポーシャの距離は先程に比べて格段に余裕があり、多少の猶予が残されている。そして直ぐ下には縄で身動き出来ないミハルが一人此方を見つめている。




 具体的にどんな表情をしているのか分かり辛い顔で此方を見つめているのだが、如何せん伺ってる余裕はない。




 小さな声で「……ダメっ」「……でも」みたいな感じの言葉が断片的に聞こえてくるがそれも気にならない位にポーシャの唇は真っ直ぐ俺に向けて進んでくる。




 走馬灯の様にこの後どうなるかパターンを幾つか考えてみた。

 パターン①……俺が折った場合……俺は元から全裸だがミハルが全裸になり恨み辛みから俺は殺される。

 パターン②……俺が折らずにポーシャが折った場合……平和的に解決。ミハルも無事解放。

 パターン③……互いに折らなかった場合……マウストゥマウス。ミハルは無事解放。




 あれ? これって俺が自力じゃどうしようもなくないか? どう転んでもヤバイ気しかしない……‼︎




 パターン②以外はどちらの女の子をも悲しませる結果になる上、そのパターン②は自分の力でもどうにも出来ない神頼みならぬポーシャ本人頼み。




 あ、ぁぁぁぁぁぁあぁあ‼︎ お願いしますポーシャ様ぁぁぁぁぁぁあぁあ‼︎ 頼むから止まってくれぇぇぇぇぇぇぇ‼︎ 




 自分でどうにも出来なくなった事で思考回路が再びショート&自暴自棄でヤケになる。冷静さを失った俺と足元で激しく暴れるミハルを尻目にポーシャはスピードを緩めようともしなかった。


















 あ、これは終わった……。











 ヒュン……‼︎ 唇と唇が重なり合う寸前、風を切る物凄いスピードが耳元を駆け抜けて二人の間に割って入った。その物体はパッキーを容易く折砕くと近くの木々に突き刺さって動きを止める。




 驚きながら確認すると……それは食事用のナイフで鋭利な刃が炎の光を受けて煌めいていた。




 そして刺さっている反対側を確認すると……少しも笑っていない笑顔でエレナがフォークを逆さ握りして佇んでいた。




「レ〜イ? 集合♡ 」

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