少しの勇気
少し、文中の補足を…
小さい私……幼いころの『私』
大きい私……大人になった『私』
もう一人の私……『私』と同い年の『私』
今回の短編は思いつきで書いてます(笑)
名前がないのは思いつかなかったってのもあるけど、自分が物語の主人公の気分を味わってほしいからです。
言い訳がましいですが…(笑)
『私』を連呼しすぎて少し見にくかったらごめんなさい。
静かだ。
部屋の中も、家の中も、街の中も全て…。
私は、一人で部屋の中で佇んでいた。
私は、あぁきっとこれは夢だな。と瞬時に理解した。
そして、私は部屋の扉に手をかけた。
扉を開けようと、何回かドアノブを回すが一向に開かない。
「また…また僕を困らせるの?」
私は、扉に向かって囁いた。
暫くまっても返事がない。
しびれを切らした私はその場に塞ぎ込んだ。
10心の中で数えて私は顔を上げる
するとさっきまでなかった1枚の紙がドアのところに張り付けられていた。
『君のいろんな表情が見たいな。』
私は、張り紙を勢いよく奪い取ると、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱へ投げ入れた。
すると、それを合図かのように突然部屋の中の物が消え、壁・床は白くなり、ドア・窓そして天井は消えてなくなった。
そして、部屋の隅に幼稚園ぐらいの年の私が小さな体を窮屈そうに丸め、泣いているのだ。
そして、私はその子に歩み寄り話しかけた。
「どうしたの?」
と。
小さな私は小さな声で
『私、生まれてきちゃ駄目だった子?いらない子なの?』
そう聞いてくるのだ。
「いらない子なんかじゃないよ。パパもママも愛してくれてるよ。」
すると、小さな私は小さな顔をゆっくり上げた。
涙や鼻水でぐしゃぐしゃの顔になりながら
『今のパパとママは私が大きくなったから私のこと好きなの…。私は嫌われてるの…パパもママも私を愛してくれないの。』
「そういう時は助けを求めなきゃ。」
『誰に?』
「優斗君とか暖人君に。」
『優斗君も暖人君も私のこと嫌いって言って石を投げてくるの。』
私は、さらに小さな私のそばにより手を握った。
「大丈夫だよ。私はそんなに嫌われてないよ。」
『本当?』
「うん。」
『嘘つき…。』
それだけ言うと小さな私は背景に溶けて消えた。
そして私より背の高い私が現れるのだ。
「また、来たの?」
『悪いの?小さい私には優しいのに酷いのね。』
「貴方は私じゃないもの。」
『私は私よ。貴女と同じ。』
「それは嘘。」
困ったように笑う大きな私は私から距離を取りながら言った。
『私はなんでこんなところにいるの?わかる?』
「そんなこと知らない。」
『そうでしょうね。でも、私は知ってる。この後も、この先も。』
「だから?」
『本当に悔いがあるなら今のうちに何とかなさい。』
「うるさいよ。」
『私が私へのアドバイスよ。』
それだけ言うと大きな私は小さな泣きじゃくっている私へと変わった。
『やっぱり、私は何処に行ってもいらない子だったよ。誰も愛してくれないの。』
「そんなことない。絶対に誰かが愛してくれる。」
『本当に信じてるの?』
「うん。」
『馬鹿だね。』
「うん。」
『私は、愛してもらえないのにもう一人の私は愛してもらえるの?そんなの不公平。』
「うん。」
いつの間にか小さな私は私と同じ大きさの私になっていた。
『私は、誰にも愛してもらえないのに。みんなが私のことを嫌うのに。』
「そんなことないよ。私が貴女を愛してあげる。」
『そんなでたらめ言わないで。私が私に愛されても嬉しくないもの。』
そう言うともう一人の私はしゃがみこんだ。
「私は私だけどさ、あなたを愛している一人でもあるってことは真実だから。」
『私は、私は…。自分が嫌い。』
「知ってる。」
『みんな嫌い。』
「それも知ってる。」
『みんなが私を嫌うから私はみんなのことが嫌い。』
「それは違うよ。」
そう言うなり、うずくまった私は顔を上げた。
「みんなが私を嫌うからじゃなくて、私がみんなを嫌うから、みんなも私を嫌いになっていくんだよ。」
『最低ね。自分でしといて…。』
「うん。悪いと思ってる。ごめん。」
『そう思うなら苦しんで。私はみんなに愛されたかったのに…。』
「うん。ごめん。」
『私は、貴女と違う。私は…私はこのままずっとみんなに嫌われて生きてくの。』
「…うん。」
私は、しゃがみこんでいる私のそばに座るとそっと肩を抱いた。
『私は…私は…。私は弱いの。』
「知ってる。貴女が人一倍弱くて、貴女が人一倍怖がっていることを。」
『……自分に言い聞かせてる馬鹿。それが今のあなた。』
「うん。知ってる。」
そう言うと、もう一人の私はまた小さな私に戻った。
『私…。みんなが好きなの…だけど私はみんなに嫌われてるんだ。』
「やりなおそう?」
『きっともうダメだよ。もうやり直しすらできないの』
小さな私は泣き始めた。
「できるよ。まだやり直せる。ごめんねって言いに行こう?」
『嫌だ。謝りたくない。私は悪くないの。』
「いつまでもそんなこと言ってたら愛してもらえないよ。」
『そんなの…知ってる。でも嫌。』
「そっか…。ねぇ、今私ね、前に進もうと思うんだ。」
『だから?』
「一緒に前に進んでみない?私と。」
『私は貴女なんだよ。だから貴女が進んだらついて行くしかないじゃない。』
「うん。そうだね。」
『もう、行くの?』
「そろそろ行こうかな。」
『嫌だ。やっぱり…まだ行きたくない。』
いつの間にか小さい私はもう一人の私へと…そして大きくなった私へと変化していった。
「決心がついたの。」
『本当にいいのね?後悔しない?』
「うん。」
『好きなように…すればいい。』
「ありがとう。」
私は大きい私に微笑みかけた。
すると、大きい私は煙のように消えてもう一人の私が現れた。
『…行きたくない。』
「でも、行かなきゃ。」
『みんなが私のことを愛してないって、好きじゃないって分かってて行かなきゃいけないの?』
「そうだよ。」
『私は行かない。』
「そんなことできないって知ってるくせに。」
『……パパもママも私のこと嫌ってるのわかってるのに…友達なんていないの知ってるくせに行かなきゃいけないの?』
「そうだよ。行かなきゃ迷惑かけちゃうもの。」
『迷惑…さんざん迷惑かけられたのに?』
「そうだよ。」
『ここにずっといてみんなを困らせようよ。』
「それは駄目って言ったでしょ。」
もう一人の私は黙り込んだ。
「ねぇ、聞いて?私は、確かに世界を見放した…。だけど、もう一回向き合う決心をしたんだ。だから今度こそ、失敗しないようについてきてほしいの。」
『そんなの我が儘…。』
「知ってる。」
『また失敗するかもしれないよ?』
「失敗しないよ。」
私はまっすぐもう一人の私を見つめた。
『みんなが敵でも?』
「うん。きっとわかってくれる日がくるよ。」
『楽観的だね。』
「昔と違うでしょ?」
『ううん。変わらない。』
「そう?」
『そう…。勇気が出ない。』
「初めはそうだよ。一緒に頑張ろう?」
私はそっと手を差し伸べながら言った。
『なんで…なんで変わったの?私たちと一緒にずっといよう?』
「ダメ。できないよ。」
『………。』
もう一人の私は手を払いのけ、溶けて消えていった。
「お願い。ここから抜け出そう?」
『…………。悔いは?』
後ろから声が聞こえたので振り向くと大きい私が立っていた。
「ないよ。ここにも…どこにも…。」
『私は、反対。出たくない。』
「未来を知ってるから?」
『違う…。』
「じゃあ、大丈夫。私は大丈夫だから。帰らせて。」
『わかった。私はついてく。』
「ありがと。」
大きい私と握手をすると、霧が目の前に広がり、草原が現れた。
握手していた手はドアノブへと変わっていた。
場所は草原なのになぜか扉があった。
どこからか声が聞こえた。
『その扉を開けたら帰れるよ。』
私はその声を信じてドアノブを回した。
扉を開く前に私は叫んだ。
「ありがとう。また、一緒に頑張ろう!どんなに辛いことがあったってどんなに嫌われてたってあきらめないで一緒に乗り越えよう!じゃあ、行ってくる!」
そう言って扉を開け一歩前に踏み出した。
目を覚ますと、病院のベッドの上だった。
お見舞いに来ていたのか、母親が部屋にいた。
私が起きたのを見るなり涙目になり抱き着かれた。
「あぁよかった。生きてたのね。意識が戻ってよかった。先生呼んでくるわね。」
そう言って母は、部屋を出って行った。
私はベッドの上で自分が何をしたのか思い出したのだった。
そう、私は絶望し、この世に残るという選択肢を捨て自殺しようと手首を切ったのだった。
しかし、私は、ギリギリのところで一命を取り留め病院に運び込まれていたのだった。
こうして、私の長い長い夢…自問自答は終わり、また、1から全てをやり直した。
今度は、絶望などせず、誰にも愛されない生活は終わり、希望に満ち溢れ、みんなに愛されるような生活を送ろうと心に誓ったのだった。
今でも、私は寝る前に鏡を見て自分自身に『大丈夫』と言い聞かせて寝るようにしている。
そして、病院で寝ている間に見た長い長い夢に出てきた私はもう、現れなかったのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ちょっと、沈んだ話になったけど、思いつきで此処まで書いてかなり短いですがかけて自己満足してます(笑)