2人だけのプレイリスト
2人だけのプレイリスト。
人気歌手の少女と、ただの高校生の僕の話。
「ねえ、私たち2人のプレイリストを作ろうよ!」
「えぇ」
病院の個室。
その子は、笑顔で言ってくる。
「いいじゃん、病院じゃ歌えなくて退屈なんだよ。ね、恋人みたいにプレイリスト作ろ、このアプリで!」
スマホの画面を見せてくる。
音楽のアプリランキング1位、僕は知らないけど、きっと有名なアプリだ。
「病人命令」
「わかったよ」
本当は、恋人みたいで気が進まないけど。
僕は、ただの高校3年生。
そして、この女子は、高校生じゃなく、歌手として生きている。
人気歌手だけど、今は病院に入院している。
幼なじみなんだけどね、一応。だから、この子のアドレスに僕の番号が載っていたんだけど。
「プレイリストか…」
「暇潰し暇潰し♪」
―数日後。
「できたね、プレイリスト」
「いや、できてないって」
「?」
「私の歌は要らないっ。
ので、消去」
プレイリストから、この子の曲が全て消される。
なんか、この世からいなくなったみたいだ。と、不謹慎なことを思ってしまう。
「もー、私の歌を載せてどうするの? 聴いて練習するんだから、私のことはよくわかってるよ」
「あ、ああ、ごめん」
プレイリストを共用することができるアプリ。
だから、ランキング1位なのだろうか?
じっ、と女子は彼女のスマホを見る。
「どうしたの?」
「調べた感が凄い」
「うっ」
「ちゃんと聴いた?」
「1回だけ」
「君の好きな歌を載せて、今から。
ので、消去と」
「僕の歌全部消えちゃった!」
「病人命令! 早く載せて、はーやーく」
「えー」
まあ、いっか。
どうせ、退院したら会えなくなるんだし。
元気すぎて病人て思えない。
『期待の歌手、でありましたが』
葬式、彼女が契約していた会社の社長が、淡々と述べる。
それが、背景。
背景でしかない。
中心は、悲しみ。
死ぬとは思っていなかったから。
病院に入る前から、もう長くないことは、わかっていたらしい。
本人にも。
もしかしたら、気付くことができたかもしれない。過去は取り返せないけど。
なんで死んだのかなあ、人気歌手だったのに。
『2人だけのプレイリスト』
葬式があった日から、何日か経つ。
でも、僕はいつも、それを聴いている。
朝、起きたとき。
昼、教室でご飯を食べるとき。
夕方、電車に乗ってるとき。
夜、風呂からあがり寝る前。
今頃、天国で大好きだった歌を笑顔で歌っているだろう。
生きているうちに、僕は聴いて練習をする。
天国で一緒に歌うために。
読んで頂き、ありがとうございました。
天国で仲良く歌えますように。




