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2人だけのプレイリスト

作者: 禅謝
掲載日:2025/11/15

2人だけのプレイリスト。


人気歌手の少女と、ただの高校生の僕の話。


「ねえ、私たち2人のプレイリストを作ろうよ!」

「えぇ」


病院の個室。

その子は、笑顔で言ってくる。

「いいじゃん、病院じゃ歌えなくて退屈なんだよ。ね、恋人みたいにプレイリスト作ろ、このアプリで!」

スマホの画面を見せてくる。

音楽のアプリランキング1位、僕は知らないけど、きっと有名なアプリだ。

「病人命令」

「わかったよ」

本当は、恋人みたいで気が進まないけど。


僕は、ただの高校3年生。

そして、この女子は、高校生じゃなく、歌手として生きている。

人気歌手だけど、今は病院に入院している。

幼なじみなんだけどね、一応。だから、この子のアドレスに僕の番号が載っていたんだけど。


「プレイリストか…」

「暇潰し暇潰し♪」




―数日後。


「できたね、プレイリスト」

「いや、できてないって」

「?」

「私の歌は要らないっ。

ので、消去」

プレイリストから、この子の曲が全て消される。

なんか、この世からいなくなったみたいだ。と、不謹慎なことを思ってしまう。

「もー、私の歌を載せてどうするの? 聴いて練習するんだから、私のことはよくわかってるよ」

「あ、ああ、ごめん」


プレイリストを共用することができるアプリ。

だから、ランキング1位なのだろうか?


じっ、と女子は彼女のスマホを見る。

「どうしたの?」

「調べた感が凄い」

「うっ」

「ちゃんと聴いた?」

「1回だけ」

「君の好きな歌を載せて、今から。

ので、消去と」

「僕の歌全部消えちゃった!」

「病人命令! 早く載せて、はーやーく」

「えー」


まあ、いっか。

どうせ、退院したら会えなくなるんだし。

元気すぎて病人て思えない。




『期待の歌手、でありましたが』


葬式、彼女が契約していた会社の社長が、淡々と述べる。

それが、背景。

背景でしかない。


中心は、悲しみ。

死ぬとは思っていなかったから。


病院に入る前から、もう長くないことは、わかっていたらしい。

本人にも。

もしかしたら、気付くことができたかもしれない。過去は取り返せないけど。


なんで死んだのかなあ、人気歌手だったのに。




『2人だけのプレイリスト』


葬式があった日から、何日か経つ。

でも、僕はいつも、それを聴いている。

朝、起きたとき。

昼、教室でご飯を食べるとき。

夕方、電車に乗ってるとき。

夜、風呂からあがり寝る前。


今頃、天国で大好きだった歌を笑顔で歌っているだろう。

生きているうちに、僕は聴いて練習をする。

天国で一緒に歌うために。

読んで頂き、ありがとうございました。


天国で仲良く歌えますように。

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