2つの記憶
物心ついた時から施設にいた。
私には両親がいない。
いないと言うよりは、会ったことがないだけなのかもしれない。
私は血が繋がった家族と言うものが分からなかった。でも、施設での暮らしは楽しかった。
気の合う子も多かったし、施設の人は私を大切に育ててくれた。
だから両親がいない環境下でも幸せだった。
そして、私には2つの記憶がある。
1つはかなり幼い頃、この施設に初めて連れられて来た時の記憶。
一緒に来てくれてたその人の顔は覚えていないが、隣にいるととても安心した。また会えると思っていたけれど、その人がそれ以降施設に来てくれることはなかった。
そしてもう1つ。もっと大きくなったときのことだろうか、少し記憶がはっきりしている。
今とは違う仲間がいて、その人たちとよく笑いあっていた。
そして、それを遠くから優しく見守ってくれていた人がいた。その場所はどこだったか分からないが、とても広い場所で外の景色が綺麗だった。その記憶に出てくる2人は両親か、誰なのかは分からない。だけど、その2つの記憶を思い出す度に温さと懐かしさでいっぱいになる。
でも、それと同時にどこか胸が締め付けられるような切なさを感じる。
私はいつか必ず、その2つの記憶が私にとって何かを確かめるため、そこへ行きたい。
そして、その人達が誰なのか知りたい。
もしも会うことが出来たなら、聞きたいことがある。どうして、私を施設に預けたのか。
その理由と意図が知りたい 。
そして、もう1つ。
その人は今でも私のことを愛してくれているのだろうか。




