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第八章：裏切りと秘密

カフェ中心に見たい方は一気に

第五十三章：交差する道、カフェにて

までスキップしてくださいませ。

魔王とか勇者のことが気になる方はそのまま読んでも大丈夫ですが、バトル展開が続きます。

のんびり見るならスキップ推奨です！

（後で気になってからこの辺り見てもらうのでも大丈夫です！）

俺が振り返ると、そこにはいつもと変わらない穏やかな微笑みを浮かべたアルセインの姿があった。だが、彼の背後に立つ影――それは明らかに普通ではなかった。

漆黒の鎧を纏った巨大な男たちが、まるで護衛のようにアルセインを囲むように立っている。そしてその中心にいるのは、まるで闇そのものを凝縮したかのような巨大な獣。四本の目が爛々と輝き、足元の草がその存在だけで枯れていく。

「な、なんだ……その化け物は……！」

俺は驚きのあまり、思わず後ずさった。

「これかい？」

アルセインは軽く肩をすくめ、獣に触れる。その仕草はあまりにも自然で、まるでその恐ろしい存在がただのペットであるかのようだった。

「彼は“ナイトメア・ハウンド”。禁断の果実であるルナグレープから生まれる魔力を糧に育つ生物だよ。」

「ルナグレープ……から？」

俺の頭の中で何かが繋がる。ルナグレープには強大な魔力が宿るとされていた。それを扱うことのリスクについて、魔王や謎のローブの女性が警告していたことを思い出す。

「アルセインさん……あなた、一体何を考えてるんですか。」

俺は声を震わせながら問いかける。

すると、アルセインの笑顔が少しずつ崩れ、冷たい眼差しに変わった。

「君には期待していたんだよ、店主。ルナグレープを使った料理で、その潜在力をどこまで引き出せるかをね。」

アルセインは一歩前に出ると、続けた。

「だが、君はその可能性をまだ十分に活かしきれていない。ルナグレープの本当の力――それを理解しているのか？」

「……力？」

俺は困惑しながら聞き返す。

「そうだ。ルナグレープはただの果実じゃない。それは“世界を支配する鍵”だ。」

彼の言葉に息を呑む。世界を支配する鍵――そんな大それた話が、この小さな果実に隠されていたなんて。

「だが、君はその力を料理で無駄遣いしているに過ぎない。だから私は、君の店を支援すると言ったんだよ。君の腕と知識を、もっと大きな計画に利用するためにね。」

「利用……だと？」

俺は彼の言葉に苛立ちを覚える。

「そうとも。だが、君が私の提案を断るなら――力ずくでその果実を頂くだけだ。」

突然、ナイトメア・ハウンドが低く唸り声を上げた。その声だけで空気が震える。俺は思わず後退りしたが、足がすくんで動けない。

「やめてください……！そんなことをして、一体何が――」

俺の言葉を遮るように、背後からもう一つの声が響いた。

「やれやれ、また厄介なことに巻き込まれたな。」

振り返ると、漆黒のローブを纏った魔王が立っていた。彼の背後には勇者の姿もある。

「魔王……勇者……！」

「貴族風情が、異世界を支配しようなどと面白い冗談だ。」

魔王は冷たい笑みを浮かべ、アルセインに向かって歩み寄る。

「ここは俺の馴染みの店だ。勝手に騒ぎを起こすのは許さんぞ。」

「私も同感。店主さんのカフェに手を出すなんて、許せない！」

勇者が剣を抜き、アルセインを睨みつける。

アルセインはため息をつきながら肩をすくめた。

「仕方ない。では、君たち全員を排除するまでだ。」

その瞬間、ナイトメア・ハウンドが咆哮を上げ、魔王と勇者、そして俺を巻き込む激しい戦闘が始まったのだった――。