序章:異世界でカフェ?
異世界に転生した俺は戦闘スキルを一切持たない代わりに「おいしい料理を作る才能」を手に入れる。平和なスローライフを求め、ひっそりとカフェを開くつもりが、客として現れたのは魔王と勇者だった!カフェが世界を巻き込む大舞台に発展していく。
目が覚めたとき、俺は真っ白な空間にいた。
天井も床もない。ただただ続く白。ここがどこなのかさえ分からないが、俺の頭の中はただひとつの考えで埋め尽くされていた。
「……過労死、か?」
ブラック企業で働き詰めだった俺の記憶は、オフィスの机に突っ伏したところで途切れている。まさか本当に死ぬとは思わなかった。しかも、死後の世界がこんな殺風景な場所だなんて、もう少しファンタジー的なものを期待していたのに。
「お待たせしましたー!」
そんな俺の思考をぶった切るように、空間に現れたのは、全身が眩しく光る謎の存在だった。人型をしているが顔はぼやけていて分からない。手に持っているタブレットだけがやけに現実味を帯びているのが妙に気になる。
「貴方、地球での寿命がちょっとズレちゃいましてね。転生枠が余ってるので、異世界行きの手続き、進めますねー。」
「いやいやいや待て待て待て、ちょっと待て!」
事態が急すぎてツッコミが追いつかない。寿命がズレた?転生枠?異世界行き?聞き捨てならない単語が多すぎるんだが。
「そんなに心配しなくて大丈夫ですよー。特典も選べますし、職業も選択式ですから!あ、ただし、ガチャで決まるんですけどね。」
「特典って……え、ガチャ?」
訳が分からないまま目の前にスロットが出現した。回してみろと言わんばかりに光っている。抵抗する術もないので、とりあえずレバーを引いてみた。
カランカランカラン!
……ピタ。
《おめでとうございます!転生特典:料理の才能!職業:カフェオーナー》
「……は?」
期待していた魔王討伐とかチートスキルとかではなく、なんと「料理の才能」と「カフェオーナー」という平和的すぎる組み合わせが出てきた。
「これ、戦闘とかできるんですか?」
半ば諦めつつ質問すると、光る存在は笑顔のような雰囲気でこう答えた。
「戦闘?全然できませんよ!むしろ争いを避けて、癒しを提供するタイプの転生ですね~。最近、異世界でも平和志向が求められてるんです!」
納得いかないまま、俺はそのまま光に包まれ、気づけば異世界の小さな村の広場に転がっていた。そして手元には「異世界カフェ開業マニュアル」という分厚い本が。
「カフェ……俺がカフェオーナー……?」
なんでこうなったのか分からないまま、俺の異世界での人生がスタートしたのだった。
そして、この異世界で魔王と勇者が俺のカフェにやって来るという、ありえない物語の幕が上がる……。
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書き溜めていた物語なのですが興味もっていただけていたら反応あるとすごくはげみになります。お願いします。