NNNに栄光あれ!!
今回は茶々丸の存在を知る前の準備段階から飼い始めの頃までの話をしたいと思います。
さて、私「猫飼いたいな~。絶対飼うわ~」とか言いつつ何やかんやと理由をつけてずっと飼わずにおりました。
それが、どうして踏ん切りをつけたのかと言うと……。
猫の“ね”の字も言ってなかった知人が猫を飼いだしたからです。
いや、だってこの顔ですよ? 知人の家の猫ですけども、こんなの見たら飼いたくなるでしょ?
元々モフモフした物に弱く。ホームセンターのワゴンセールになってるモップにすら引き寄せられる特異体質の私ですから実物の猫の破壊力にあっさりと陥落してしまいました。
まぁ、その知人も旦那さんの実家で猫を飼いだしてから飼いたくなったと言ってましたから、NNNの手腕たるや恐るべし!!
そこから、引っ越しや猫を飼うためのお金を貯めつつ、一緒に住む物件を探しておりました。
物件を探して知った事は「ペット可」と「猫可」は違うということ。「ペット可」と言った場合、小型犬のみOKだったりするので話を進める前にきちんと確認をしなければいけないのだなと学習しました。
猫は爪とぎをしたりして家を傷める可能性が高いので条件が厳しくなるようです。
ネットで物件を探した後、問い合わせをし、いよいよ不動産屋へGO!
「ペットを飼える物件をお探しですね? 猫ちゃんは1匹ですか?」
「まだ飼っていません(キリッ」
「・・・え?」
いや、何でそんなに微妙な顔するかな? 確かに問い合わせに使ったLINEのアイコン猫ですけども、可愛いでしょ? 知人の家の猫ですけども。
基本、猫可っていう物件は築年数がとっても古く、内見したいくつかの物件も床が斜めだったりしてこれは住めないなという感想を持った物もありました。
決まったのは物件をネットで探し始めて半年経ってからでした。実はこの物件、探し始めた時に最初に良いなと思ったのですが、直ぐにホームページから削除されてしまったので誰かに借りられちゃったんだなと残念に思っていました。後で大家さんに伺ったらトイレと洗面所のリフォームをしていたとか。しかも最初の掲載時よりもお家賃が2千円安くなっていました!! 猫神様バンザイ!! NNNに栄光あれ!!
猫を飼うということで敷金は倍の2か月分かかりましたが、良い大家さんで内見した時に見たエアコンが古かったので「故障して猫に何かあったら困る」と言ったところ入居前に新品を入れてくれました。
物件を借りる時に不動産屋さんに提出する書類に『ペット飼育許可申請書』がありまして、写真付きで出さなければならない物だったのですが、入居の段階でまだ飼っていなくて、提出できなかったので当然尋ねられました。
「あの『ペット飼育許可申請書』が無いようなのですが?」
「まだ飼っていないので……。9月くらいになるかと思うんですけど……」
「??? (ハッ!) では、飼われたら提出してくださいね」
さすがプロ。微妙な顔から一呼吸で復帰した。
(変なお客さんいっぱい来るんだろうなぁ……可哀そうに)
なぜ9月かと言うと知人の家の猫がガソリンスタンドで拾われたのが前年の9月だったからです。
物件の契約が決まったので、そこから猫活を始めました。
ネットの里親募集に応募したり、保護猫の譲渡会に行ったり。
知人の家の猫に「妹か弟紹介して、あなたにそっくりな子が良いんだけどなぁ」と頼んだりしたわけです。
そしてこれがNNNエージェントの「ご依頼確かに承りました」の顔である。
「OK任せとけ!!」って顔してますよね!?
契約からおよそひと月後、7月アパートへの初めての荷物搬入をしていると大家の奥さんが来て、ゴミ捨て場とか色々教えてくれて、最後に尋ねられました。
「猫ちゃん連れて来るのよね?」
「まだ飼ってないんです。これからなんです」
「・・・」
トイプーを抱いた大家夫人にまたしても温い目を向けられたのでした。
でももう、この辺で慣れました。
なので、入居して1週間後に家具やベッド、消臭もできる空気清浄機や3段のキャットケージを宅配の人が運んで来た時も
「猫ちゃんいるんですか?」と割とワクワクぎみに訊かれた私は荷受表の束にサインしながら
「まだなんですよ~」と飼ってるけどまだここには連れて来ていないとも取れる詐欺師みたいなポーズを取り
「・・・そうなんですかぁ」と何故かしょんぼりする宅配のお兄さんにアクエリを渡して慰めるなど朝飯前になっていました。
この頃別の友人には六畳二間で片方が猫部屋とか飼う前に3段のキャットケージを買ったことをバカにされていたのですが、猫が来てから揃えるのでは遅いのじゃないでしょうか? そう思いません? ねー?
まぁ、確かに白物家電が到着するよりもキャットケージの到着の方が早かったですが、配送の関係なので仕方のない事ですよね。
知人からの連絡がLINEに来たのは2020年の7月26日の事でした。
「(ガソリン)スタンドに“また”猫きたってさ」
「どんなの?」
動画が送られてきたのですが、全くもって自分の理想とする猫とは正反対の猫でした。
私の理想としては色の薄いシャムっぽい柄の手足は短めの男の子が良かったのですが、その猫は濃い茶色で顔はサビっぽい……知人は「ベンガルっぽい」と言ってましたが何とも形容しがたい柄でした。
手足もとても長く性別は女の子でした。
動画の仔猫は、人懐っこそうに人の足に絡まって、時折お腹を見せたりして人を喜ばせていましたが、私は「あざといな。こいつ頭良さそう……いたずら凄そう。鳴き声変」と思っていました。
余りにも理想と違ったので、別の子を9月まで待つつもりでこの時は断りました。
他にもこのルートでは、これより3カ月前とひと月前に別の子で打診があったのですが、まだ引っ越しも済んでいない時期だったのと、初心者では難しいとても小さな子だったので断っていました。
それから三日後、再び新しい動画付きでそのこげ茶の子の打診がありました。
色、濃いしなぁ……。猫は育つともっと焦げるしなぁ……。と悩む事10時間で結局飼う事を決めました。
決め手は知人の「飼ったらうちの子が一番かわいいになるから」という言葉でした。
1話、2話を読んで下さった方は、何で黒猫なのに茶々丸と思った事でしょうが、この頃はカカオとかココア、ショコラ、鰹節といった名前の候補が上がるくらいには茶色だったのです。
名前も無事茶々丸に決まり、猫風邪が落ち着いてきた頃、保護主さんより知人が預かってくれました。
「いや~ 今回はNNN暗躍しなかったね~ お宅の猫の伝言届かなかったかな?」
「ううん、茶々丸ちゃん、うちの猫が拾われたのと同じガソリンスタンドの価格看板の下に隠れてたんだって」
ちょっと冷や汗が出ましたよ。
ピンポイント過ぎだろ? NNN……。なんて恐ろしい組織なんだ!!
安易に願ってはいけないと痛感しました。
知人の家を経由して我が家へ、そして私と茶々丸の同居生活が始まりました。