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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
98/404

非常に単純なもの

作戦そのものは、非常に単純なものです。


『ゴヘノヘを落とし穴に落とす』


言葉にすればそれだけのもの。


と言うのも、獣人達は基本的に<素人>。素人に訓練も行わずに複雑な作戦を実行させようとしても上手くいくはずがありません。


ですから作戦自体は単純に。その単純な作戦で最大の効果を得ることが<肝>になるということですね。


しかも、猪人(ししじん)達の<誇り>も尊重し、彼らの<戦いの場>については一切、手を加えていません。


もしその時点でゴヘノヘが逃走するならそれでよし。もし集落の方に向かおうとするのであれば、その時こそ<罠>が発動します。


猪人(ししじん)達とはそれで折り合ったのです。猪人(ししじん)以外の獣人達の集落を守るために、<罠>を仕掛けると。


他の獣人達が自らを守るためであれば、猪人(ししじん)のリーダーも、バンゴも、


「ワカッタ」


「仕方ない」


と承諾してくれました。


彼らは誇り高い種族ですが、自分達のやり方を他の獣人達に押し付けるようなことはしません。


私達地球人(厳密には私達はもう地球人ではないですが、価値観はまだ受け継いでますので)から見れば<原始人>のような彼らでも、その精神性そのものは決して野蛮なだけではありません。


彼らとて他者と折り合うことはできるんです。そんな彼らを私達は尊重したい。


すると、


「ゴォオアアアアアアアアーッッ!!」


雷鳴のような咆哮が、森を震わせます。


ゴヘノヘでした。


『まさか、これほどとは……』


正直、軍人であるはずの私でさえ、体が委縮し、心が折れそうになりました。


その咆哮を耳にした者の魂までも握り潰そうとするかのような<威力>。


もはやそれそのものが武器とさえ言えるでしょう。


地球にいた恐竜達もこうだったのでしょうか?


彼らに比べれば人間のなんたる非力なことか。咆哮一つで生物としての<格>の違いを思い知らされるかのような。


しかし、それでも、私達はただの<餌>ではありません。


どれほどの力の差があろうとも、私達も生きています。生きるために戦います。


その結果、たとえ負けて命を落とすことになろうとも、生きる努力もせずにただ諦めて自身の存在を投げ捨てるようなことだけはしたくない。


だから私達は戦うのです。


これは、<戦争>ではありません。あくまでも純粋な<生存競争>。ならば、何も引け目を感じる必要もない。己の全身全霊を賭けて足掻くまで。


最後の最後の瞬間まで、命が尽きるその時まで。


勝負です、ゴヘノヘ!!


あなたに比べれば非力で矮小な獣かもしれませんが、負けませんよ!!



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