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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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備えるのは当然

トームと赤ん坊のことについて、


『今はどんなこと考えてる場合じゃないだろ!?』


と言う人もいるかもしれません。ですが、私達はゴヘノヘさえ撃退すればそれでいいわけじゃありません。その後も生きていかなければならないんです。


それに、例年のことを考えれば、決して絶滅するわけでもない。生き延びる者の方が圧倒的に多いんです。


これが、


『ほとんど生き延びる可能性はない』


というような話であれば、生き延びてから考えればいいということにもなるでしょうが、実際にはそうではありません。あくまで狙いはゴヘノヘを撃破し犠牲者を出さないということです。生き延びることが前提なんです。


この日はさすがにトームも疲れていたので、食事の後はすぐに眠ってしまいました。


ですが、それでいいんです。


『そこに当たり前のようにいること』


が、第一段階ですから。そうしてそこにいるのが当たり前になって赤ん坊が警戒しなくなってからが第二段階です。


となると、ゴヘノヘの一件が終わってからようやくという感じでしょうね。


先は長いです。慌ててはいけません。




翌朝、朝食を終え、伍長と入れ替わりでトームが作業に戻りました。


さすがの伍長も疲れた様子で、食事を終えると風呂にも入らずに寝てしまいまいます。『汚いなあ』とは思いますが、前線に出ればシャワーすら浴びられないのは普通なので、気にしません。


私と少佐は、交代で、作業の指揮を取ります。クレアとノーラと赤ん坊だけにしておくわけにもいきませんし、私達にも休憩が必要ですから。


そして準備の方はというと、想定していた以上に順調でした。


特に、梟人(きょうじん)山猫人(ねこじん)の連携はすでに完成の域に達しています。やはり野生に近い感覚を持つからか、元々の感性が臨戦態勢なのでしょう。


ただ、その一方で、哨戒に出たチームの方は、ゴヘノヘの姿はおろか気配すら捉えられずにいました。


従来通りであればすでに<世界の果て>を超えて、森がざわついた空気になるところが、平穏そのものなのだそうです。


「予言が外れたということなのかな?」


私の言葉に、伍長は、


「さあな。ただ、バンゴの<まじない>は、病気に対しちゃただの気休めだが、外敵の襲来に関しちゃあいつらが持つ感覚が基になってるはずだ。それが危険を伝えてるなら、備えるのは当然だ」


と言い切りました。彼もオカルトは信じないタイプでありつつ、その一方で、獣人達が私達地球人とは違う感覚を備えていることは、現実のものとして受け入れているのでした。



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