戦術
まずは少佐と伍長が猪人達を伴って下見に出ます。
伍長ももちろん当時のことを思い出しながら検証しますが、やはり証言は多い方が情報のすりあわせができますから。
そして、当時の戦術の問題点の洗い出し。
それによって浮かび上がったものについては、実際に戦った猪人達には伝えません。彼らは懸命に戦いましたし、そもそも彼らの戦術と私達のそれはまったく別のものです。元より身体能力も違うので、戦術が違ってくるのはむしろ当然ではないでしょうか。
こうして収集した情報と猪人達の戦術を持ち帰った少佐と伍長と共に、今度は私も一緒に第一段階としてペーパープランを練ります。
「基本的に脚を狙うのは、間違っちゃいないと思う。だが、いかんせん火力が足りない。石槍と棍棒と投石じゃ、薄皮を一枚一枚削っていくようなもんだ」
伍長が経験者としての正直な意見。
「そうだな。誰でもそう思うくらいに基本的な問題点だと思う。ただ、ここで得られる武器と、猪人達の戦い方からすれば当然の選択だろうな。
彼らは<罠>などを使うのは望まないんだろう?」
少佐の指摘に、
「ああ、そうだな。俺も落とし穴とかを考えたんだが、あいつらの頭の中には欠片もその発想がねえ。あいつらが望んでるのは、正面切ってぶつかってぶちのめすってことだけだ。
まあ俺もその方が好きだけどな」
伍長がそう返します。その彼の背中を、ノーラの赤ん坊が昇ります。けれど彼は邪険にするでもなく好きにさせておきながら、同時に頭の中は戦術を練っていました。
だから私も、
「とは言え、私達では彼らの戦い方を真似たところで逆に足手まといになるでしょう。伍長だけは彼らについていけるでしょうが。
それに、梟人も監視役としては協力してくれているといっても、実質的に猪人だけに任せているというのも戦術としては弱いと想います」
と意見を述べました。
そんな私に視線を向けて、少佐は言います。
「その通りだ。猪人達には猪人達なりの戦い方があるのは理解できるものの、我々までただそれに合わせるというのは好ましくないと思う。彼らのやり方は尊重しつつも、私達は私達なりの戦術で彼らを援護するべきだな」
こうして、今度は私と少佐のチームで再度現場を回ります。私も実際に現場を確認しつつ具体的な戦術を練るために。
そこで、森の中に<獣道>を何度も利用しているうちに自然と道路になったかのような道があり、ゴヘノヘにとっても通りやすいのか、毎回そこを通るのだそうです。
少佐はそこに膝をついて、地面に触れます。
何を考えているか。私にも分かったのでした。




