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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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残留物

一連の動きをつぶさに観察した後、少佐と伍長は、あの<透明で不定形な謎の存在>がいた辺りまで戻りました。もちろん、あれがもう近くにはいないことを確認した上でです。


そして、あれが吸収あるいは同化せずに排出していった木の葉などを拾おうとしたのですが、元々落ちていたものと排出されたものの区別がまったく付かなかったとのこと。


本当なら汚物塗れになっているはずなのに、その痕跡すら見ただけでは確認できなかったと。


「一通りその場に落ちていたものを拾い集めてみたものの、臭いすら残っていなかった。表面に着いた微細なものさえ吸収あるいは同化したようだ」


少佐がそう言いながら、裏庭の地面に広げた木の葉は、確かにどう見てもただの落ち葉にしか見えず、とても汚物に紛れていたようには思えません。


肉眼では捉えきれない微小な残留物があるかどうかは、顕微鏡などを用いることでしか確認はできないものの、ただ、<臭い>が残っていない時点でおそらくそれすらなくなっていると推測できますね。


肉眼では汚れているように見えなくても残留物があれば<臭い>という形で何かが付着していることは推察されますし。


「俺の鼻でも臭いは分からねえ。となりゃそれこそ電子顕微鏡でも使わなきゃ見えねえだろうな。何か残ってても」


伍長までそう言うのですからその通りなのでしょう。


また、あれがいた場所にも通った場所にも、何一つ痕跡が残っていないことを確認したそうです。


粘液を分泌している生物であれば、それが通った後には必ず何かが残ります。なのに何も見つけられなかった。


それが事実です。




その後も、獣人達が汚物処理のためにあれのところに行く時に同行し、観察を続けました。


ある時は激しい雷雨の際に雷が川に落ちるのも目撃しましたが、この時は特に何も起こらなかったという話です。


となると、落雷があれば必ずあれが変化するわけでもなく、かなり偶発的に起こることなのだと推測できますね。


さらに運よく、あれが分裂し増えるところも確認できたそうです。


つまりあれは、分裂により数を増やすということ。


しかしそれ自体も頻繁に行われるわけではないらしく、無闇に数が増えることもないというのは獣人達の証言からも明らかでした。


あれが大増殖して危機に陥ったというようなこともなかったそうですし。


もちろんそれだけで、


『決して大繁殖することはない』


と判断することはできませんが、少なくとも獣人達にとっての数世代の範囲ではそういうことは起こらないようですね。



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