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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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力比べ

ゴッ!!


という嫌な音をさせながら激しく頭をぶつけ合ったというのに、伍長もブオゴもお互いまったく怯むことがありません。猪人(ししじん)の頭突きは、普通の人間が受ければ、よくて脳震盪を起こし昏倒。最悪、頭蓋骨骨折および脳挫傷で死に至るでしょう。


それに対抗できるのですから、もうこの時点で伍長の異常さが分かるというものですね。


単に筋力がゴリラ並みというだけでなく、肉体の強度がすでに人間の範疇を超えているんです。


そうして伍長とブオゴは、店の前で力比べを始めました。互いに両手を組み合わせて、地面を踏みしめ、メキメキと空気が音を立てそうなほど渾身の力で押し合います。


ですが、まったくの互角。どちらもびくともしません。


しかし、生物である以上は呼吸をしなければいけません。そして呼吸をしようとすれば、その分、力が分散します。


と、ブオゴが息を吐こうとした瞬間、


「シュッ!!」


伍長の体が宙に浮き、小さく丸まり、そこからバネが弾けるように両足をブオゴの胸板に叩きつけながら体を伸ばしました。


ドロップキックというあれですね。


それにより弾かれるように双方の体が離れ、バランスを崩したブオゴが体勢を立て直そうとしているところに、地面にうつ伏せに着地したのと同時にそのまま再び体を跳ね上げた伍長が、鋭く回転し、右足をブオゴに打ち付けました。


ローリングソバットですか。


勝負に拘りつつこれですから、彼はただ戦うことを楽しみたいだけだというのが分かります。


徒手空拳で敵を倒したいならもっと効率を重視すべきです。頭突きや力比べなど愚か者のすることです。


その点、ブオゴの方は、<技>と呼べるものを持たないので、実に効率的ですね。


ローリングソバットごときでは立て直しを止められず、逆に伍長の右足を捉えて振り回しました。


体が空中にあった状態で足を掴まれてしまったので、今度は伍長がバランスを崩します。


しかし伍長はすかさず右足を掴まれたまま左足を跳ね上げ、ブオゴの側頭部を狙ったのです。


その左の蹴りは綺麗にブオゴの右側頭部を捉え、ガツンと頭が弾けます。


けれど、人間とは比べ物にならない頑健さを持つ猪人(ししじん)には有効打にならず、ぶうん!とばかりに投げ飛ばされました。


とは言え、伍長も空中で体勢を整えて四つん這いで地面に着地、そのままブオゴに飛び掛ります。


でも、その瞬間、空中にあった伍長の体がくるりと回転し、同時に、迎え撃とうと身構えたブオゴの体もバランスを崩し、頭を下にして背中からブオゴにぶつかった伍長と共に、地面に転がってしまいました。


「少佐!」


そう。少佐でした。少佐が二人の体を同時にバランスを失わせ、衝突させたのです。


「いい加減にしないか。店の前で。他のお客に迷惑だろう?」


呆れたように二人に向けて発した少佐の言葉で、私もようやく、他のお客が怯えたように見ているのに気付いたのでした。



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