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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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ここで幸せに

何度か、


『マリアとお話しながらマリアの手を通じてナヌヘを貰う』


ということを何度か繰り返すうちに、クレアの関心は完全にマリアに移っていました。


さらにマリアとお話を続けると、クレアがマリアを掴んだので、そのまま彼女に渡します。


するとクレアは、赤ん坊を抱くかのように大事そうに人形を自分の胸に抱き締めました。どうやら気に入ってくれたようですね。


「う~、あ~…」


愛おしそうにマリアの頭を撫でるクレアを見て、私も胸があたたかくなります。


クラレスの姿を持っていても、彼女は<クレア>です。クレアとしての生を受け、ここにいるのです。


それと同じく、私達も、ビアンカ・ラッセ、久利生遥偉(くりうとおい)相堂幸正(しょうどうゆきまさ)の記憶と人格を持っていても、同姓同名の別人として生きています。


私達は、それを受け入れたのです。


今の自分になってしまったことをどれほど嘆いても現実は変わりません。


人は、いえ、生きとし生けるものはすべて、その時点で与えられたものでもって生きていくしかないのですから。


ノーラも、ノーラの赤ん坊もそうです。


ならば、今の自分にできることをしましょう。




私がクレアの相手をしている間にも、何人かのお客が訪れましたが、そちらは伍長が応対してくれました。彼も最低限の接客くらいはできるんです。


そして私は、マリアを抱いたクレアが落ち着いているのを確認して、夕食の用意を始めました。そこに、


「僕も手伝おう」


休んでいた少佐が起きてきて、そうおっしゃってくれました。


「ありがとうございます♡」


こうして並んで食事の用意をしていると本当に夫婦のようですごく幸せな気分です。




それからクレアも一緒に四人で夕食(私とクレアにとってはそうですが、少佐にとっては朝食、伍長にとっては昼食ですね)を食べました。


クレアはまだ上手に食べられないので、私が食べさせてあげます。


ノーラは自分の部屋で食べて、赤ん坊は自分でおっぱいを飲んでいました。


部屋のドアは開け放っているので、その様子がよく見えます。


しかも赤ん坊は、おっぱいに掴まり体を預けている状態ではありますが、二本の足で立ち上がっていたのです。


<掴まり立ち>というやつですね。


となれば、近々、明日中くらいにも完全に立つことができるようになるかも。


ああ、成長してるんですね。


それを実感し、私はまた胸があたたかくなります。


幸せを実感するのです。


どんな時代でもどんな世の中でも、人間は生き、日々の暮らしを送り、そして幸せを感じてきたんでしょう。


だから私達もここで幸せになることはできるんです。



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