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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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知的好奇心を満たすために

『自分の思い通りにならない相手であっても、全否定はしない』


と自分に言い聞かせていても、常に必ずそのようにできるほど人間は完璧な生き物ではありません。私が相堂(しょうどう)伍長に対して感情的になってしまうのもこれです。


特に彼が少佐に対して反抗的な態度を取った時などは、


『なんですか、その態度は!?』


と、つい思ってしまうんですよね。


ですが、自分がそんな風に完璧でいられないという事実が、自分以外の他人に対しても完璧を求めるのはおかしいという根拠にもなるんです。


ノーラやクレアが、私達と同じことができなくても、それはむしろ当然のこと。彼女達にはそれができない<理由>があるのですから。


一方、そうやって他人が配慮されることを妬んで攻撃的になる人もこの世にはいますが、そういう人も惑星探査チームには選抜されません。


なので、私達が獣人達やノーラやクレアと良好な関係を築くために努力するのは、むしろ普通のことなのです。その努力ができない人が惑星探査チームに選ばれることの方がむしろ異様と言えるでしょうね。


チーム内の人間関係を良好に保つことすら困難でしょうし、ましてや、異星の知的生命体との接近遭遇なんて任せられないでしょう。


感情的な人に。


無論それは、相手がたとえ敵対行動を取っていてもその<善性>を根拠なく信じて友好的であろうとするというのとも違います。


これはこれで、


『相手の善性を信じたい!』


という自身の感情に囚われた行為ですから。


相手が敵対行動を取るのであれば、まず、自分達の安全を確保することが優先されます。


ここで、自分の知的好奇心を満たすためにリスクを無視した行動を取るような人も、当然、採用されません。


調査というのは、自分達が無事に帰還してそのデータを持ち帰ってこそ意味があるのです。それを理解できないような人もまた、人間社会に対するリスクとして認識されますね。


場合によっては監視対象にさえなるでしょう。


人間の日常生活に深く入り込んでいる<メイトギア>は、そういう形でも役に立っています。仕えた人間が反社会的な行動を取っていたり、社会に対してリスクとなる可能性の高い行動を取っていたら、それについて<カウンセリング>という形で関係機関と情報を共有することもあります。


これにより、ある研究者が人間にとって非常に危険なウイルスを自身の個人的な研究のために管理施設から持ち出そうとしたのが未然に防がれたという事件もありましたね。


管理施設内での研究ではできない実験をしたいという身勝手な欲求が動機でした。その研究者自身は、


「私の実験こそが人類の発展に貢献する!!」


などと、自身の正当性を主張していたそうですが。



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