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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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普通の人

一般的な一民間企業であれば、感情を抑え切れず、自分の価値観を一方的に相手に押し付け、職場の空気を悪くするようなタイプの人でも<普通の人>として採用することもあるでしょうが、軍人で、かつ惑星探査チームともなれば、そのような人は雇われません。昔はどうだったにせよ、今では、


『場を乱すような人間を採用するくらいならロボットを使う方がマシ』


ですから。


特に<メイトギア>と呼称される、人間に似せて作られ、家事や介護や介助といった、繊細な対応を求められる日常の作業を担当するロボットであれば、無駄に諍いを起こすようなタイプの人間よりよほど有用だということですし。


なにしろ、ある程度以上の高度なロボットに搭載されたものを含むAIの多くが、すでに人間以上の能力を有しているのです。


AIにできないのは、


『自我を持つ』


ことと、


『感情を持つ』


ことだけだとさえ言われています。


もっとも、その両方は今でも、時折、試行され、私達の惑星探査チームにも、擬似的に感情を再現されたメイトギアが配備されていました。


ですが、人間は感情を持つがゆえに、時に他人を犠牲にしてでも自身の命を優先しようとすることもあるものの、ロボットは決して、人間を犠牲にして自分が助かろうなどとはしません。


なぜなら、いくら擬似的に感情を再現されていてもそれは決して<本物の感情>ではなく、そして<自我>を持たないので、自分を犠牲にして人間を助けることに何の躊躇も持たないのです。そしてそれは、<自我>を持ち自らを唯一無二の存在と感じる人間には基本的に真似のできないことですから。


稀に<自己犠牲>に喜びを見出している人間もいますが、それさえ、


『自分を犠牲にすることで自分が満たされる』


という感情のなせる業であり、対してAIは、そんな理由で自らを犠牲にはしません。どこまで行っても<道具としての役目>に基づいて人間を守るだけです。そこに<喜び>もないんです。


一応、表面的には、


『人を守ることが私達の喜びです』


的なことを口にする場合はあっても、それすら、


『ほとんど人間と変わらない姿をした存在が自らを犠牲にして守ってくれる』


ことに対して人間が過度に精神的負担を覚えないようにするための<演出>に過ぎないんです。


そもそも、AIは自らのすべてをバックアップという形で保存することができ、機体や<メインフレームと呼ばれる人工頭脳>が破壊されても、そのバックアップを基にすべてを復元できるので、元より<死>を持ちません。


どんなに壊れても復元が可能で、なにより死なないのですから、AIに制御されたロボットが自らの破壊も厭わずに人間を守ったとしても、それは実際には決して<自己犠牲>などではないのでしょう。



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