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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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大きなヒント

<クラレスの顔をした、猿人(えんじん)らしき、透明な体を持つ存在>


を前に、私達は様々思考を巡らせました。


激しい雷雨、しかも明らかにそう遠くない場所に落雷があったと思しき状況の後に現れたそれは、確実にあの、<透明な不定形の存在>を想起させます。


そして、私と少佐が現れた時にも、直前に、雨量こそはそれほどでもないものの激しい雷が鳴っていたそうです。


雷、そして透明な体。


こんなことが他にそうそうあるとも思えません。


「これはやはり、あの正体不明の存在が関係していると見るべきなんだろうね」


少佐の言葉に、私も、


「はい、現時点では断定はできなくても、蓋然性は高いと私も思います」


応え、相堂(しょうどう)伍長さえも、


「まあ、俺もそう思うぜ。何しろコイツも俺達と同じ匂いがするからな」


と。


伍長の場合は、嗅覚も優れているので余計にそう感じるのでしょう。


こういう時には頼りになります。


「一部、クラレスの容姿を持ちつつまったく別の生物の特徴も併せ持つ……


ここの獣人達の秘密についてのヒントが提示されたと考えてもいいかもしれない」


「……」


「……」


少佐がおっしゃったことに、私も伍長も異を唱えることはありませんでした。その必要を感じませんでした。


いずれにせよ、この、


<クラレスに似た誰か>


が意識を取り戻せば、また分かることがあるかもしれません。私達と同じように記憶も再現されているのか? もしそうでなかったとしても、


『必ずしも記憶まで再現されるわけではない』


という事実が判明するわけですから、それはそれで重要な手掛かりになるでしょう。


なにしろ、ここの獣人達の祖先が、この<クラレスに似た誰か>と同じように、<人間の特徴>と<獣の特徴>を併せ持った形であの<正体不明の透明な存在>が変化して生じたとして、コーネリアス号のメンバー、いえ、それ以外の人間であっても、<記憶>まで再現されていたのであれば、何らかの形でその痕跡は残るでしょう。


にも拘らず、ここにはそれらしいものはまったく見当たりません。


つまり、


『獣人達の祖先がこのような形で現れつつ記憶までは再現されなかったことで、その痕跡が残されることがなかった』


とも推測されるわけです。


いずれにせよ、あの<正体不明の透明な存在>が変化して獣人達の祖先になったのであれば、彼らのように生物として非常に不自然な形質を得るに至った理由も説明がついてしまうでしょう。


ただ、同時に、この<クラレスに似た誰か>にクラレスとしての記憶があったとすれば、彼女はまた大変な苦難を背負うことになってしまいます。


それは、彼女にとってはとても辛いことでしょうね……



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