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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
57/404

要救助者

あれほどの雷雨であったにも拘らず相堂(しょうどう)伍長はリビングに寝転がって熟睡していました。


なのに、


「!?」


突然、飛び上がるように体を起こしたかと思うと、店を飛び出していってしまったのです。


獣蟲(じゅうちゅう)!?」


伍長のその反応に、私はまずそれが頭をよぎりました。


「私が行く! ビアンカはバックアップを!」


「バックアップ、了解!!」


少佐の指示を受けて、私は救急キットの準備をし、少佐を見送り、店の裏の倉庫を兼ねた救急救命室の確認をした上で、ノーラと赤ん坊を守るために待機します。


状況は気になるもののノーラと赤ん坊を放っておくわけにもいきませんし、伍長と少佐がいれば大丈夫でしょう。


なお、先ほど<救急救命室>とは言いましたが、人間社会ほどの救急対応ができるわけでもなく、当然、設備と言えるものもないので、実際には、様々な薬草などから作ったいくつかの薬品と代用綿を用いて作ったガーゼと、簡易のベッドがあるだけの、野戦病院よりも頼りないものですが。


それでも現時点では可能な限りの準備がされている場所であるのも事実です。


そうして十分ほどが経過し、


「ビアンカ! 要救助者だ! 救急対応!」


店の外から少佐の声が届き、私は改めて救急救命室へと赴き、受け入れ準備を整えます。


『誰か負傷したのでしょうか…?』


少佐の声はいつものそれでしたので彼が負傷したのではないと直感しました。おそらく伍長でもないでしょう。


となれば、獣人達の誰かが巻き込まれた感じでしょうか。


そんなことを思いながら裏の扉を開けた私の目に飛び込んできたのは、伍長の背に負われた<何か>の姿でした。


「え…?」


一瞬、私の脳内で映像が上手く処理できず、混乱します。


けれど数瞬の間をおいて、それが<透明な体を持った誰か>だということが察せられたのです。


<透明な体>ということでまず頭によぎったのは私達と同じコーネリアス号のメンバーでしたが、それでは頭の中で像が結びつきません。


明らかに人間の姿をしていないのです。


人間のようにも見えながら、人間とは異なるもの。


それに気付いた瞬間、ようやくはっきりと認識できました。


獣人です。透明な獣人が、伍長に背負われていたのです。


それだけでも十分に驚きではありますが、しかしその<透明な獣人>は、更なる驚きを私に、いえ、私達にもたらしました。


伍長の背からベッドに下ろされた姿を見た私は、


「クラレス!?」


声を上げてしまいました。


でも、違います。違うのです。クラレスに見えつつも、それは間違いなくクラレスではないものだったのでした。



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