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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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互いを尊重するためにこそ

獣人達の赤ん坊のお風呂は、基本的には温い水か、ほとんど水同然のぬるま湯を使います。沸かしたお湯に入浴する習慣がそもそもないからです。


また、寒さには強いものの暑さにはやや弱い傾向があるらしく、特に赤ん坊の場合はお湯の温度が高いと湯あたりしてしまうようですね。


そういうことも含めて、基本的には獣人達の都合に私達が合わせます。


元より私達はここでは<余所者>ですからね。


もちろん、私達自身も<人間>として最低限のラインは守りますが。


私達と獣人達とは<別の種族>であるという事実は、互いを尊重するためにこそ認めないといけません。


ちなみに、ノーラの赤ん坊は男の子でした。


「うーお! うーお!」


生まれて三日目でもう<喃語(なんご)>も発するのですね。


生まれてきた時は呼吸がなくて蘇生措置を要したというのに、蚊の鳴くような声で泣いてたというのに、今ではこの元気のよさ。実に頼もしいです。


人間の子供は成長に時間が掛かることもあって育児の負担が大きくなる傾向がありますが、これは同時に、人間の作り上げた<社会>がそれを可能にしているという面もあるといわれています。それだけの余裕があるということです。


しかしここにはまだそれだけの余裕はありません。子供もなるべく早く成長し自分の身は自分で守れるようにならなければいけないという現実もあるということ。


とは言え、私達の庇護下に来たのであれば、やはり守りたいと思ってしまうのも事実。


だから、少なくとも私達の庇護を離れ仲間の下に帰っていくまではと思います。


ただ、私個人としては、それに加えて、


『私も早く少佐の赤ちゃんが欲しいな……』


と思ってしまうのもありますが。




少佐は、僅か数年間ではありますが、医師としての実務経験もあり、それゆえ、人体についても少なくない知見がありました。その少佐の見立てでは、私達の体は、


『透明である』


ということ以外に、人体との差異はまったく見受けられないとのこと。


おそらくあの<透明で不定形の存在>自身が持つ何らかの能力によって透明に見えているだけで、肉体を構成している物質は完全に人間のそれであるという結論しか出せないそうです。


高度な検査機器を用いれば何らかの有意な違いも検出できるのかもしれませんが、少なくとも少佐の医師としての見識の範囲では私達の肉体は人間のそれなのです。


現に、生理現象さえ以前とまったく変わらずにあります。


そう、私には月経さえあるんです。


と言っても、経血さえ透明なので、最初は何とも言えない違和感がありました。


無色透明でありながら、感触も臭いもそのままという。


本当に奇妙な体です。


だけど、おそらく<妊娠>も可能と推測されています。



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