表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
52/404

食いたいもんが

メイミィを集落まで送り届け、<よろずや>に戻った私は、お風呂に入って寛ぎました。


今日は大変でしたが、こういう日もありますね。


それに、実際に獣蟲(じゅうちゅう)に対処した少佐と、まあ、伍長の方が大変だったでしょうから。


……伍長は楽しめただけかもしれませんが……


お風呂から上がって服を着ると、


「さ~て、風呂、風呂~」


獣蟲(じゅうちゅう)の処理を終えた伍長がそう言って裏口から入ってきました。


「お疲れ様です」


「おう!」


機嫌よさそうに応えた彼が風呂場に入っていくのを見送った後、部屋に様子を見に行くと、ノーラと赤ちゃんは眠っていました。


なお、ノーラの赤ちゃんの名前については、トームに決めてもらうということで決まっています。


ノーラはそこまで考えてないでしょうし。


「お疲れ様」


店に隣接してるリビングに来ると、少佐が食事の用意をしながら迎えてくれました。


「いえ、私は全然大丈夫です。少佐こそ、ご無事で何よりです」


少佐なら大丈夫とは思いつつも、それが本音ですね。


そんな私に、少佐は、


「ありがとう」


とても穏やかな笑顔を向けてくれます。少佐のその笑顔があれば私は、自分が人間でなくなったとしても生きていけます。


「ユキは後でいいそうだから、先に食事にしよう」


「はい…♡」


相堂(しょうどう)伍長というお邪魔虫はいても、実質、ほとんど少佐との夫婦生活のような今の暮らしは私にとっては本当にかけがえのないものですし。


人間は、どこにいてもどんな状況でも幸せを掴むことができるんだと実感しますね。


「後片付けは私が」


「ああ、ありがとう」


食事の後、私と少佐の分の片付けを済ませると、そこに伍長がお風呂から上がってきて、自分の分の食事の用意をささっと済ませ、ガツガツと貪り始めました。


彼は、自分のことは自分でするタイプなので、まだ私も耐えられているというのもあります。これが、時代錯誤的な、


『家事は女の仕事だ!』


的なことを言う人だったらそれこそ一緒にさえいられなかったでしょう。


ただ、彼の食事は、


『腹さえ膨れりゃいい』


というそれなので、良く言えばワイルド、悪く言えば出鱈目な感じですね。


まあ、本人がそれでいいのならいいのですが。


しかも、獣蟲(じゅうちゅう)を解体していた時に、傷むのが早くて保存食にもできない部分を、彼は、串に通して火で炙って、その場で食べてしまっているようです。


食中毒などの危険もあるのでやめるようには何度も言ってきたのですが、聞いてくれません。


「食いたいもんが目の前にあって、他に食うヤツもいないってのに食えないんじゃ、生きてたってしょうがねえだろうが!」


本当にしょうがない人です。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ