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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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試金石

多くを生かすために一部を切り捨てなければいけないという事態は、確かにあるでしょう。


しかし、それはあくまで<最後の手段>。軽々しくその選択はできないのです。


惑星探査チームのメンバーの選別の際にも、それは最重要なポイントとして重視されています。


万が一の際にも安易に仲間を切り捨てるような考え方をするような人は選ばれません。そのためにロボットを配備してあるのですから。


<犠牲>の順序は、装備品→ロボット→人間です。


それで対処できない事態はまずないはずでした。


にも拘らずあの<謎の存在>の襲撃の際にはその前提がまったく役に立たなかったですが。


『一部を犠牲にして多くを生かす』


ということすら通用しませんでしたし。


いずれにせよ、私達には、


<生贄>


的な発想は基本的にないということです。


『ロボットを生贄にしてる!』


と言われればそうかもしれませんが、人間のための道具として生み出されたロボットを救うために人間が犠牲になったのではそれこそ本末転倒でしょう。ましてやロボットは、たとえボディが破壊されてもバックアップのデータがあれば復元できますし。


もっとも、今はそのロボット達もいないので、より難しい判断が求められますね。




ともあれ、ノーラの件は今後の私達の対応についての試金石になるでしょう。


獣人達が完全に切り捨てるという判断をするのであれば口出しはできなくても、彼ら自身に『救いたい』『支えたい』という気持ちがあるのなら、私達も可能な限り協力します。


この辺りも、私達の世界では、遺伝子疾患でさえ治療できるようになってきていましたので、それが原因の<発達障害>自体が過去のものになりつつありましたが。


そういう難しい対応も求められつつも、私達の日常はおおむね平穏でした。


「ユキ! ショウブ!!」


伍長が仮眠を取っていたところ、店の前でそう叫んだのがいました。


ブオゴでした。


「!?」


瞬間、弾かれたように伍長が起きてきて、


「おるうああああっ!!」


弾丸のごとくすっ飛んでいって、顔面に膝蹴りを食らわします。


けれどそんなことでブオゴは怯みません。


伍長が着地する前に巨大なハンマーのような拳で迎撃。伍長の体が一回転しました。


「けえっ!」


ブオゴの拳の一撃を食らいながらも伍長は彼の腕に自身の手足を絡ませ、間接を極めようとします。


なのにブオゴは片腕一本で伍長の体を支えたのです。


「ごおおっ!!」


しかもそのまま伍長を地面に叩きつけようと。


普通の人間なら命にも関わるそれも、伍長は楽しんでいました。


私の目には彼が笑ってるのがはっきりと見えたのです。嬉しそうに。楽しそうに。


まったく、本当に困った人ですね。



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