四百五十三日
自分の父親が惨敗したような言い方をされたと察したブオゴが抗議し、それを受けて相堂伍長が、
『やんのかこのガキ!!』
と凄んだ時、少佐が毅然とした態度で、
「いい加減にしないか、伍長! 君は彼らに対して恩義があるのだろう? 今の君の態度はいくらなんでも礼を失している……!」
叱責しました。
「!」
決して大声ではないけれど有無を言わさぬ圧力のあるそれに、伍長だけでなくブオゴまで動きを止めてしまいます。
こうして私達は、改めて伍長の説明を聞くことができたのです。
伍長と一緒に哨戒に当っていてここに<転送>されたメンバーのジェドが、ここに来て一年と経たずに肺炎を患って亡くなったこと。
ブオゴ達は、ここで暮らす<人類>であるということ。
そして、
「ここは、コーネリアス号が不時着した惑星でも、その後に俺達がいた場所でもない。一年の周期が違うんだ……」
と。
そうです。コーネリアス号が不時着した惑星は、推測される公転周期が七百日あまり。そして次に私達がいた場所の一年の周期が約三百八十日。
けれど、ここのそれは、四百五十三日。一日の時間さえ違う、完全に<別の惑星>だということです。
もっとも、先ほどまで私と少佐がいた場所は、<シミュレーション>の中と推測されているので、<惑星>というのは必ずしも適切ではないですね。
ただ、地球でもなく、コーネリアス号が不時着した惑星でもなく、さらに、今の私達がいるこの地でさえないというのは間違いないでしょう。
そして……
「ジェドが肺炎で亡くなったということは、私達のこの体は、ただのデータではない? 少なくとも、<死>は確実に訪れる体ということか……」
少佐が呟きます。それを受けて伍長も、
「ああ…前のおかしな場所と違って、ここはたぶん本当の<現実>だ……」
さらに、伍長が言います。
「ついでに言うと、俺達のこの体は、コーネリアス号を襲ったあの<怪物>の体が基になってる」
「―――――!?」
これにはさすがに私も少佐も言葉を失いました。
確かに、<透明>ということで連想しなかったわけでもなかったですけど、正直、まさかそのものだとまでは思わなかったのです。
伍長は続けます。
「ここにも例の怪物が生息しててよ、どうやらそれが落雷とかの強い刺激を受けると、何かの生き物に変化するらしい。
で、それには俺達<人間>…つか、<コーネリアス号のメンバー>も含まれるってことみたいだな……」
伍長の話に、正直、私は混乱していました。
本当に、意味不明なことばかりでしたから……




