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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
35/404

アカマ

『ユキ』


獣人が口にしたその<単語>と思しきもののイントネーションが、私達の記憶に合致しました。


『ユキマサ……? 相堂(しょうどう)伍長……!?』


なぜか相堂(しょうどう)伍長のことが思い出されてしまいます。


すると少佐が、


「ユキマサ? ユキマサ、アカマカ?」


と返しました。


<獣人>のイントネーションを真似て。


瞬間、獣人の様子がはっきりと変わるのが分かったんです。


「ユキマサ! ユキ! ユキ! アカマ! アカマ!!」


もうここまで来ると勘のいい人なら察してしまうでしょう。この獣人が、


『ユキ、ユキ、仲間、仲間』


と話していることを。


発音はあやふやですが、間違いなく日本語が基になっていると察せられる言葉。そして<ユキマサ>という名前に対する反応。


間違いありません。相堂(しょうどう)伍長のことを知っている……!




それから私達は、近くの茂みで植物の葉っぱを使ってまた簡単な服を作り、獣人の案内で彼らの集落へと向かいました。


すると、集落に着いた途端、


久利生(くりう)! ビアンカ! お前達も来たのか!!」


相堂(しょうどう)伍長でした。


ファンデーション代わりに顔や腕に泥を塗り、毛皮をまとい、まるで、資料などでよく見る<原人>のような姿となった。


そして、私達を案内してくれた<獣人>は、猪人(ししじん)のブオゴだったのです。


でも、驚きはそれだけではありませんでした。


相堂(しょうどう)伍長が言うのです。


「しかし、まさか二十年も経ってからお前らが来るとか、思わなかったぜ」


と。


「二十年!?」


私は思わず声を上げてしまいました。伍長はそんな私には視線も向けることなく続けます。


「そうだ。二十年だ。俺もお前らと同じく透明な体であの川に現れてよ。


しばらくはジェドと一緒にサバイバルしてたんだが、そこでこのブオゴの親父らと出会って喧嘩になってな。ボッコボコにぶちのめして言うこと聞かせてやったんだ!」


伍長が大袈裟な身振り手振りを交えて自慢げに口にすると、


「チアウ! アッタ、ボルゴ! ボルゴ!!」


ブオゴが立ち上がり声を上げました。明らかに抗議のそれだというのが分かります。


<ボルゴ>というのはブオゴの父親で、この集落のリーダーだったとのこと。ブオゴは、自分の父親のことを誇りに思っていて、それが伍長に手も足も出せずに負けたみたいな言い方をされたことを察したらしくて、それで猛抗議したということですね。


すると伍長は、


「あ”!? やんのかこのガキ!!」


と、ブオゴに対して凄んだのでした。


まったく……これじゃただのチンピラです……



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