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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
34/404

テーマパーク

『誰だ!?』


と声を掛けられた私と少佐が視線を向けた先にいたのは―――――


『猪…? 人間……? え?』


一瞬、人間が猪の頭と毛皮を被っているのかと思いました。


しかし、


「デレラ! オアエラ!」


再び<それ>が声を発した時、ちゃんと<猪の頭の口>が動いたのです。しかも、表情も険しくなるのが分かりました。


作り物じゃない、生身の顔……?


ただ、<ロボット>の可能性も捨てきれません。私達の世界では、見た目には生身の人間や動物としか思えないロボットだって作ることができます。もっとも、普段はそこまでする必要もないので、人間に似せて作られたロボットもよく見れば作り物だと分かるようには作られますが。


完全に人間と見分けがつかないようなのは、一部の特殊な用途のロボットだけです。<医療用>の。


それをわざわざこんな<獣人>的に作るとか、<テーマパーク>か何かですか?


でも、その<獣人>が手にしている槍らしきものは、とてもフェイクには見えませんでした。


もっとも、石器の刃に木の棒を括りつけただけのものでしたので、使い手がよほどの技量を持っているのでもない限り恐れるに足りません。


とは言え、私も少佐も全裸で何一つ武器を持っていませんので侮ることはできません。


できませんが、別に銃やナイフだけが<武器>ではないですね。少佐にかかればただの木の葉でさえ立派な武器になります。足元の石も投擲武器として十分な大きさでしたし。


ですが、少佐は、


「敵対の意志はない。武器は持っていない」


と声を上げつつ、両手を上げました。透明な体には何も隠せません。加えて全裸です。私も少佐に倣い両手を上げて全てを晒しました。正直言って恥ずかしかったですが、今は仕方ありません。


少佐は、相手の力量を見極められないうちはなるべく衝突を回避しようと考えているのでしょう。


これが、相手が確実に人間であれば、身体能力は概ね推定できます。それが石器の槍を手にしている程度とあれば、無力化するのは難しくありません。


ただ、今、私達の目の前にいるのは<獣人>としか表現しようのない外見を持った<何か>。身体能力も何もかもが推測すらままならない慮外の存在です。迂闊に攻撃を仕掛けても、生身の人間ではどうすることもできないほどの力の差があれば、そこでお終いです。だから今はまず相手を見極めるのが優先されるべき。


ということですね。


相手の力量も分からないうちから、


『相手の強さとかなんざ、やりあってみりゃ分かる!!』


とか言って突っかかっていくのは相堂(しょうどう)伍長くらいのものです。


そして獣人はさらに訊いてきます。


「ユキ、オ、アカマカ?」


「……え…?」


瞬間、私の耳には、<ユキ>という発音がひどく印象的に聞こえたのでした。



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