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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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新生活。そして、次に備えて

ブオゴら猪人(ししじん)にとっては<苦い勝利>だったかもしれないものの、それ以外の、梟人(きょうじん)山猫人(ねこじん)兎人(とじん)鼠人(そじん)達にとってはまったく犠牲者を出さずにゴヘノヘを退けたことで、大変なお祭り騒ぎになりました。


しかし、山羊人(やぎじん)達にとっても素直に喜べないものだったみたいですね。


集落の男達の多くが勝手に協力したことで(おさ)の面目が丸潰れになったわけですから。


こちらも当分の間、ぎくしゃくしそうです。


といった感じで、物語的な<カタルシス>という点では非常にお粗末な結果ではあったものの、現実というのは、所詮、こういうものです。


私達自身、軍人として戦場に出た時も、生きて帰れた喜び以上に、何とも言えない虚無感があったことを覚えています。




なお、あのゴヘノヘがその後どうなったのかは、確認できていません。


ただ、十分に<餌>を得られなかった上にあれだけのダメージを負ったのですから、命を落とした可能性もあるでしょう。


その面でも苦い……


それでも、犠牲が最小限に抑えられたことについては、喜ぶべきでしょうね……








それから一ヶ月ばかり。


私達はゴヘノヘを追い払った<英雄>としてそれぞれの集落に招かれ連日歓待を受けました。ラレアトやメイミィ達からも大変な感謝を受けて、ようやく少し心が晴れました。


そして、お祭り騒ぎも完全に治まり、日常が戻ってきます。


けれど、今回の一件の前と後では大きく違ったことが。


トームが、自身の山羊人(やぎじん)としての集落を抜け、ノーラや赤ん坊と一緒に暮らすことになったのです。


しかも、赤ん坊も、ちゃんとトームに懐いてくれて。


なので、<家>としては手狭になってしまったことで、もう一軒、トーム達のための家を増築することに。


それには、あの時、準備を手伝ってくれた山羊人(やぎじん)の男達が再び協力してくれました。


「トームヘノ、タムケダ」


ということで。


山羊人(やぎじん)達の集落での軋轢は、結束を破ったトームの追放という形で決着がついたそうです。


ただそれも、なにもなく有耶無耶にすることはできないという<大人の事情>的な体裁の問題でしかなく、だからこうしてトーム達の家の建設に男達が協力してくれることになったわけですが。


こうして、トームとノーラと赤ん坊<レータ>との新生活も始まります。




さらにその後、


次のゴヘノヘの襲来に備えて、今度は山羊人(やぎじん)達が中心になって<新兵器>の開発が行われました。実際には、今回の襲来に対しても使えればと考えて急遽設計を行い、準備だけは進めてたんですが、結局は間に合わなくて出番なしという結果に。


それは、全高八メートル。全長は七十メートルにも及ぶ、ゴヘノヘの姿を模した、


<対ゴヘノヘ用決戦兵器>


でした。


いわゆる<破城槌>と呼ばれる攻城兵器を基にゴヘノヘを意識した意匠を施し、<バリスタ>と呼ばれる大型弩砲をヒントにした杭を射出する仕掛けを二門装備。さらには<大型杭打機構>(パイルバンカーとかとも呼ばれてますね)を備え、それを十分に離れたところから操作してゴヘノヘに必殺の一撃を与えるためのものです。


本体部分については全長は十メートルほどなのですが、そこから<御神輿>の担ぎ棒のような棒を長く延ばした先に掴まって本体を押したり、ロープで繋いだ武装を操作するわけです。


果たしてこれが実際に役に立つかどうかは次の襲来を待つしかありませんが、それを作り完成させた時には、皆、とても楽しそうだったのでした。










第一部、了




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