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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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生きるための戦い

ゴヘノヘから私を救うためだったとはいえ、スクリームを浴びせる形になってしまったことで、


「すまない! 回復はできそうか!?」


伍長と入れ替わるように少佐が駆け付けてくれました。


「はい! 三十秒で回復してみせます!」


私ははっきりと応えました。


そんな私の目を見てどの程度まっとうに思考ができているのかを測り、


「分かった! しかし無理はするなよ!」


私の言葉に嘘がないことを確認した少佐は、再びゴヘノヘに向かいます。


私も焦れるような気分はあったものの、少佐のおっしゃる通り、無理はせず、確実に回復を図ります。ここで無理をして不十分な状態で復帰しても、逆に危険を招いてしまう可能性がありますから、それだけはできません。


職業軍人として。


頭の中でこれまでの戦況を整理することで自身の頭が正常に機能しているかを確認。同時に手指を動かし問題なく作動するかを確認。問題ないことを確かめた後、足に力を入れて機能の確認。最後に体を起こして立ち上がって、眩暈等が生じないかを確認。


「よし! オールクリア!」


声を出すことで自身の認識を確定させ、私は<投槍器(アトラトル)>と槍を手に、再び挑みます。


総力戦を。


梟人(きょうじん)達と山猫人(ねこじん)達は、安全な距離を保ちながらも敢えてゴヘノヘの視界の中を走り回り、時には立ち止まって挑発し、攪乱してくれます。


その隙をついて、ブオゴが先頭を切って戦いを挑んだ猪人(ししじん)達と伍長が、槍や杭や棍棒を手に攻撃。


猪人(ししじん)達と伍長が近すぎることと、狙いが逸れた槍が梟人(きょうじん)達や山猫人(ねこじん)達に当たってはいけないので頻繁には放てないものの、私と少佐が、投槍で援護します。


まさに<怪獣>としか表現ができないゴヘノヘに、私達は僅かな武器と自らの肉体のみで戦いを挑んでいるのです。


本来なら、こんなこと、決してしません。前衛はロボットに任せ、人間は基本的に後方で指示を出すだけ。


それがかつての私達の戦い方。


なのに今はこれなのですから、本当に、<狂気の沙汰>ですね。


でも……


でも、これこそが、


<生きるための戦い>


それは、私達にとってだけではありません。ゴヘノヘにとってもそうなのです。彼とて、おそらく本来の生息域では十分に餌が確保できないことで<世界の果て>を超えて危険を冒してまでもこちらに来て、生きるための戦いを行っているのでしょう。


ですが、私達とて、ただ黙って食料になるわけにはいきません。


結果がそうだとしても、生き延びるための努力はするべきなのでしょう。


<スクリーム!>


三度目の、音響攻撃。


今度は、伍長が狙われたのです。


その隙をついてのスクリーム。


「うおおおおおおおおおっっ!!」


私と同じようにスクリームに巻き込まれてダメージはあったはずなのに、伍長は、僅かに動きを止めたゴヘノヘの顎に、全身の力を込めて杭を突き上げたのでした。



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