夢か現実か 生きてるのかそうでないのか
鈴木健一はブラック企業に勤めるサラリーマン。
毎日深夜まで残業の日々。3日に1回は家に帰れる。
帰れない日は朝まで徹夜で会社で仕事。
もう身体も心も限界。仕事を辞めてどこか遠いところにでも行こうかなと
思い始めたある日のこと。。
さっきまで眠かったのに。。身体はもうボロボロで眠いし明日も仕事だから早く眠りたいのに。。何故だか眠れない。。
今日も12時まで残業して家に帰ってきたのは深夜1時。遅い晩御飯のコンビニ弁当とカップラーメンを食べたり風呂入ったりして布団に入ったのは2時。
明日はというかもう今日か。仕事だから5時半には起きなきゃいけないのに眠れん。
いつもなら布団に入った瞬間には夢の中なのに。。疲れすぎると逆に眠気が無くなるてやつか?あー頭いてー、熱っぽいー。
仕方ないのでスマホを手に取りいつもはあまり観ない動画サイトview tube を観始めたが視界がぐわんぐわんとし、目眩がしてきたので、停止ボタンを押し目を閉じた。
あぁ仕事行きたくない。。辞めたい。。ツライ。。マジ死にそうだ。。2日ぶりに寝れる。。あー。眠気が。。
このまま、眠、れそう。。
するとスーッと頭痛もなくなり力が抜けていく感じがし、意識が、なくなった、、
「・・・し」
「・・もし」
ん?だれかが呼んでる?
「もし。。あなたが鈴木健一君?」
横たわっている俺の顔を覗き込むように
綺麗な女の人がそう聞いてきた。
「はい。そうですけど。。」
その時俺はなんとなく夢の中にいるなという感覚があった。
なんかこう特有のふわふわ?した感覚。
見渡すとそこはだだっ広い草原。どこか懐かしい気持ちにする綺麗な夕焼けだ。草原は一面、淡いオレンジに染まってる。そこに俺とこの綺麗な女性が2人っきり。気持ち良い風が吹いている。しかし世界に2人っきりしかいないようなそんな寂しい静けさ。
「突然なんですけど転生しませんか?」
は?
何を言って。。
「申し遅れました。私、転生アドバイザー兼、案内人兼、転生管理者のエリーナと申します。」
兼、おおっ!と思いながら差し出された名刺を、立ち上がり、受け取る。
「天界も人手不足でして。。1人が色んな役職を持つなんて珍しくないんですよ。ふふっ。まぁそんなことより!ある異世界のバランスが崩れかかっていまして、、恥ずかしながら私達だけでは手に負えない事になってしまい、是非鈴木様にお力添えをお願いしたく、、」
天界?人手不足?異世界?私達てことは他にもいるのか?というかここどこ?あれ?でもこれ夢か。。などといろんな考えが頭を巡った。多分この時五秒はフリーズしていただろう。
辺りはシーンとなり何故か俺は早く返事をしなきゃと沈黙を壊すように
「え。えーと。だ、だけどなんで、お、じゃなくて私が?」
俺と言いかけたが何となく礼儀正しくというか大人っぽくしなければという気持ちがはしり、私と言い直した。てかなんで俺こんなあたふたしてるんだ?てかあれ?これ夢だよな?あれ?でもなんかこう夢じゃないような、なんか意識はっきりしてきた!
「お亡くなりになった方皆さんにお声掛けしてるんですよ。」
ほおー。じゃあ俺だけじゃないんだ。。
。。。。。。。。。。。。
。。へ?。。。
「どうしました?」
「死んだていいました?」
「はい。」
「まじ?」
「まじです。」
「夢すよね?」
「マジです。。」
「なんで??」
「あれ?生前の記憶ありません?」
「いや、ありませんてか、布団に入って寝ただけな気がするんですけど。え?つか夢ですよね?!」
「あぁー。なるほど。あれ?ちょっと待ってくださいね。」
シュウゥゥ。。
エリーナさんの前に直径1メートルのブラックホールみたいのが現れ、エリーナさんはその中に右手をぶち込む。その中から分厚く茶色い広辞苑みたいな本を取り出した。
エリーナさんはその広辞苑みたいのをパラパラとめくり出した。
夢じゃないの?ほっぺたをちぎったり叩いてみる。
ギュー!。。パン!。。。い!痛くない!じゃあこれはゆ
「あ。鈴木さん今、仮の肉体を受肉して頂いてるんで痛みとか感じないはずですよ?神経通ってないんで!」
え?!そうなの?そうゆうものなの?!
でも確かに。。意識はっきりしてきたし、夢の感覚はもう、全くない。。いやでも!死んではないだろ?!寝てただけじゃん俺!
「えーと鈴木さん、鈴木さん。。あ、あった。」
「えーと死因死因っと。あれ?無いな。。まだ更新してないのかな」
本なのに更新とかあるんだ。。
「あれ!?生きてる!?」
ほらやっぱり!
「しまっ!マズイ!」
ん?マズイ?
(いやでもまぁ死んだ事に)ボソッ
え?今めっちゃ物騒なことが聞こえたような
「す、鈴木さん?死因はあれですね。心不全ですね。」
「いや心不全って原因不明の死体にとりあえずつける死因でしょ。ちゃんとした死因では無いでしょ」
「けっこう細かい事を気にするんですね。」
「細かくはないでしょ」
「そうでしょうか。」
「そうでしょうよ。自分の死とかかなりのビッグニュースですよ?」
「すいません。。実は死んだような顔をしてたので魂を天界まで引っ張り上げちゃったんですよね。」
だれが死んだような顔だ。てそんなことより!引っ張りあげたて、じゃあこいつが犯人?!
「本当は肉体から魂が抜けたら勝手に天界に来てくれるんですが。。なにぶん忙しくて。。パパッと仕事を済ませたくて。」
「ほう。それで?」
「引っこ抜いちゃいました!」
「大根か。ておい貴様が犯人か。」
「いやでも鈴木さんも鈴木さんですよ!普通なら引っこ抜こうとしたって引っこ抜けないですもん!でも生気がないから簡単に引っこ抜けちゃったんですよ!というか本当に過労死寸前ですよ!この体力値!」
エリーナは広辞苑?の1ページの体力残高と書かれた箇所を指差しながら言った。そこには格闘ゲームの体力ゲージみたいなグラフがあり、赤いゲージがうっすら、本当にうっすらとあった。
あ。これHP1とかそんぐらいだこれ。そっか〜じゃあ仕方ないな。てことはないだろ!
「いやでも!だから俺が悪いと?!」
「いえ。。私が悪いです。。」
「ですよね!。。まぁ。。ここんとこ仕事が忙しすぎてボロボロで本当に死ぬ一歩手前って感じではあったけど。まさか本当に死ぬとは。。いや殺されるとは。。」
「まあ、とりあえず転生しませんか?」
「いやなんでよ!?そんなに転生させたいんですか?」
「ごめんなさい!早くしないと上司が来て死んでもない鈴木さんを連れてきちゃったってバレたら怒られちゃうんです〜」
エリーナは涙ぐみながら言った。
ええ〜。。何それ。。知らんし。。
「ばんべぇ〜、どりあえず転生しませんがぁ〜?」
めっちゃ泣いてる。。
「あの。元の世界に戻してはくれないんですか?」
エリーナはチーンと鼻をかみ
「できますが。。今すぐはごめんなさい。出来ないんです。そうするには色々と根回しやら何やら必要で。。正規の手続きが出来ないし。。」
根回して。明らかにアウトローな手法で手続きしようとしてやがる。。
「でも良いんですか?」
エリーナは少し不思議そうに尋ねてきた。
「え。なにがですか?」
「だって鈴木さん元の世界に未練もないし転生をできるなら、したいはずですよ?」
「へ?」
いやいやいや何を言ってるんだこの人は。人なのかは知らんが。会ったばかりのくせに見透かしたような事を言って。
「あ。気を悪くしたらごめんなさい。でも、そのはずなんですよ。私の魂を引っこ抜く術って相手が生きてた場合嫌がったら引っこ抜けないんですよ。それどころが相手が天界に連れてってほしいとか、どこか違う所に連れてってほしいとかその人が願って初めて成功する術なんです。」
エリーナのその言葉を聞いて、驚きつつも納得できる自分がいた。
「そう、なんですか。。」
「なので、とりあえず転生しませんか?」
「ちょっと待て今考えてる。」
「むーっ。」
えぇーまじか。いやでもたしかにもう死ぬ寸前のボロボロで、どこか遠い世界に逃げたいなぁなんて思ってはいたけど。。
異世界て。
転生て。
いやでも明日から仕事行かなくていいのか〜。それに異世界かー。ちょっと楽しそうだなって思っちゃう自分がいるなー。魔法とか使えるのかな?
「あの、異世界て魔法とかあるんですか?」
「あ!はい!あります!火を出したり空を飛べたり、鈴木さんのいた世界のアニメやゲームに出てくる様な魔法はたぶん一通りありますよ。」
おお〜。1度空を飛んでみたかったんだよな〜。
「そうですか。あ。あと異世界のバランスが崩れて手に負えないて言ってましたよね?あれってどうゆう意味です?」
「鈴木さんに行っていだたきたい異世界には魔王がいまして、でその魔王が強すぎて困ってるんですよ。。このままじゃ天界にまで戦争を仕掛けてきそうな勢いなので、鈴木さんにあんちくしょーを倒していただきたいのです!」
魔王を倒すか。まぁありがちな展開だな。
「と、言う事で!この異世界に転生していただける人を募集しているんですよ!どうです!?しかも今なら特殊能力やらパラメーター優遇させていただきます!どんな種族でも!」
「へぇ。つまり、かなり強い状態で転生出来るんだ?」
「そうです!超強くしちゃいます!記憶もそのまま!しかも本当はピクシー達に頼むんですが、特別に私がたまにお助けします!その。。引っこ抜いちゃったお詫びに。。」
「おぉーマジですか。ありがとうございます。」
なるほど。強くてニューゲームな感じか。しかもこの子も助けてくれる。かなり有利だよな。
「もし異世界に行くの断ったらどうなります?」
異世界に行きたいという気持ちは9割がた固まってたが一応聞いてみた。
「えーと、鈴木さんの場合、もとの世界に戻ってもらうことになりますかね。」
まぁそりゃそうか。
もともとこいつのせいで死んだんだし。
だが…またあんな生活に戻るぐらいなら…!!
「じゃあよろしくお願いします!異世界に行きます!」
「ありがとうございます!じゃあささっと転生しますね!先輩来ちゃうとマズイんで!ほほいのほいっと!」
すると俺の足元に魔方陣みたいのが現れ光り始めた。
あぁこのまま転生するのか。スーッと身体が軽くなっていく気がする。
光が俺の身体を包んでいく。
あれ?そういや。アイツ
「と、言う事で!この異世界に転生していただける人を募集しているんですよ!どうです!?しかも今なら特殊能力やらパラメーター優遇させていただきます!どんな種族でも!」
「どんな種族でも!」
どんな種族でも!
どんな種族でも。。。
ん?ちょっと待てまさか。
「あれ?俺って人間に転生できるんですよね?エリーナさん?ははっ」
「ふふーんふーん♪」
「あれ?ちょっと聞いてます?エリーナさん?」
「ルールールールー♪」
「いや急に鼻唄歌い始めるなし!聞こえてますよね?こっちむいて!?」
「臨!兵!闘!者!皆!陣!烈!在!前!!」
「いやいや!そんなん絶対唱えないでしょ!なんで九字切り!?なんか印結んでるけど!そんで印結ぶの上手いな!」
「なんです?!うるさいですね?!」
「いやうるさくはないだろ!!」
「大丈夫ですよ!人間に転生できますよ!」
(失敗しなければ)ボソッ
「いやちょっと待て!聞こえたぞ!失敗しなければって!!」
すると俺の身体がどんどん光の小さな粒になり
俺の身体は消えていき始めた。。
「てめー!このやろ!虫とかに転生したら化けて出てきてやるからな!!」
ああっ頼む人間に転生できますように!
せめて人型でありますように。。。
そしておれの身体は
完全に、消えた。。
「ふぅ。。」
「お疲れ〜エリーナ」
「あ。リンちゃん!お疲れ!」
「アイツ騒がしかったな〜。いやでも、ククッ。冗談が過ぎるでしょ〜ちゃんと100パー人間に転生することできるのに。すごい焦ってたじゃんアイツ。ハハハッ!」
笑いながらリンちゃんはそう言った。
「ふふっ。ちょっとからかいたくなっちゃって。久しぶりに会えたからさ!」
「あー確かにアイツ元気そうだったな。」
「うん。。」
果たして鈴木健一は
無事人間に転生できたのか!?
そして謎の美女エリーナの正体とは?