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桜が舞い散る4月の何でもない日。
今日、君は姿を消した_______。
「おはよう~。」
クラスメイトが次々と登校する時間。
私はせっせと机に向かって宿題をしていた。
「おはよう、愛美。」
前から友だちの茉莉が話しかけてきた。
「愛美がこの時間に学校に来てるの珍しいじゃん。」
私はいつも時間ギリギリに学校に登校するし、なんなら遅刻常習犯である。
「学校に宿題忘れっちゃって~。今必死に片づけてるところ。」
「あー。なるほど。それなら私の見せてあげようか?」
「まじで!茉莉様感謝いたします!」
はいっと言って渡してくれた宿題を受け取った。
それを写していると、前の席の静夜が登校してきた。
「おはよう。」
声をかけると静夜もおはようとあいさつを交わしてくれた。
それを見ていた茉莉が小声で、
「よく大森君と話せるよね。」
と耳打ちしてきた。
「幼馴染だからね。てか、普通に話せばいいじゃん、茉莉も。」
「無理だよ。なんていうかさ、話しかけないでオーラが出てるっていうかさ。
この学校で普通に話せるの愛美くらいでしょ。」
「まぁ~、確かにそうかもだけど。仏頂面なだけで皆とそう変わらないんだけどね。」
茉莉とこそこそと話しながら前の席の静夜を見る。
とうの本人は涼しい顔で読書をしていた。
「それに顔が整いすぎてて近寄りがたいし。私たちとは別次元の生き物みたいだよね。」