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どこにでもよくあるただの異世界物語  作者: スノーホーク
2.置き去りまでの王国編
10/23

雷帝

先ほどの俺が入ってきたバカでかい扉が開き、おそらく魔法を計測するであろう道具が運ばれてくる。

運ばれてきたのは、以外にも機械的な装置だった。


(異世界だと水晶みたいなもっとこうファンタジーチックな感じだと思ったんだけどこれもう完全に機械だな)


実はこの機械、王国が開発したものではなく魔素が発生したとされる100年前、ある老人が突然現れ持ってきたものらしく仕組み自体はわかっていないことも多いらしい。当初、訳のわからない老人が持ってきたものを使おうともちろん誰も思わなかったがある兵士が酔っぱらった勢いで使用した。


しかしそれが結果的にこの機会の有能性・信憑性を与え使用されるようになったそうだ。他の場所にもこの老人が現れこれと同じ機会を置いていった場所もあるらしい。また、数十年に一度、神の使いと名乗る者が機会のメンテンナスをするために訪れるらしい。


そのことからこの機会を持ってきたという老人は神様本人だったのではないかと今ではそう考えられているらしい。そういこうともあり丁重に扱うように釘を刺される。


手を置く場所があり、そこに手を置くことで魔力保有量と魔法の適性を測るということだった。ちなみにもっと細かなデータも取れるらしいが今は手短にことを進めるためこの2つを測定するらしい。


(老人ってことは俺の知ってるポンコツ女神とは違うようだな……それと神の使いってなに!?)


気にはなったがそんなことよりも気にすることが。これでチート能力がなくて見捨てられたらどうしよう……


可能性としては十分あり得ることである。小説なんかではここで能力のない奴が追放されて復讐するパターンだったり、モブだったらそこでゲームオーバーなんてパターンもなくはない。


それになんといっても記憶と引き換えと能力を得るという条件を満たしていないことが問題である。もしかしたら記憶の忘却なしに能力を得ているかもしれないがあのポンコツ女神のことだ。可能性としてはかなり低いだろう。


(あ、やっぱ詰んでるなこれ……)


「最初は抵抗があるかもしれませんが、少し測定させてもらうだけですので、副作用などがないことは今まで人々で検証済みです。もちろんそこには異世界の召喚者も例外なく含まれています。」


俺が機会での測定を躊躇っているので勝手にそう推測されてしまった。


(いや、確かにそっちの心配もあったけど…こっちはそれどころじゃないんだよ!)


周りの視線もあるので結局はやるしかない。もうどうにでもなれ!とやけくそで機械に手をのせる。


微かな光を発しながら体の中を何か駆け抜けていく感覚を覚える。そうして、測定結果が出てくる。



名前:鷹瀬 紅鷹


魔法属性:雷・ ・


魔力保有量:2000



結果を見た者たちが少しざわつく。


(えっ、なになに!やっぱりチートなかったの?俺、用済みで消されるの!?)


グロースアートがざわつきを収束させ口を開く。


「測定結果が出ました。紅鷹殿の魔法属性は雷、魔力保有量は2000とでました。」


(か、雷!?マジか、これはかなり嬉しい。何より雷が中二心をくすぐるカッコよさがある。それにしても2000って多いの?少ないの?)


「魔法属性の雷に関してはまあ……珍しいと思います。魔力保有量に関してはなんとも言えませんね。一般人の平均が100前後、我が王国の一般騎士の平均が10000ぐらいですのでなんとも…やけに中途半端としか……」


普通に考えれば極端な数値、それも女神から能力を得ていれば間違いなく高い数値をたたき出していただろう。しかし、俺の場合、類を見ないくらい特殊だろうからなあ。能力があるのかないのか俺自身もわかんないし。


(そんなことよりもこの場合、俺の扱いはどうなんの!?)


「うーん、これは戦力としてはどうなんだ…?」

「正直、戦力としては呼ばれた召喚者としてはいかがなものか…」


周りの騎士たちからも流石に不満が漏れ始める。グロースアートもどうするか悩んでいるのかなかなか口が開かない。


(やばい、雰囲気的に明らかにやばそうだぞ)


俺が心の中でおろおろとしていると


「皆様、お静かに。この結果からでは戦力としての真偽は出ないでしょう。ここは一度、訓練をするなり時間を空けて様子をみるなりしてからでも遅くはないのでは?何かのきっかけで大きな変化がみられるかもしれません。いかがでしょうか陛下?」


エーデルフィア様が騎士たちを静め国王に提案を持ちかける。


(エ、エーデルフィア様!なんともありがたいお言葉)


手を合わせ拝むようなポーズに目にはうるうると涙をためている俺を余所目に、ここで最初以外開かれることのなかった国王の口が開かれる。


「そうだな、エーデルフィアの言うことも一理あるかもしれん、まだ時間もあることだ、試してみてもいいだろう、期限はそうだな……1か月としその後もう一度測定し直せ。もしそれで戦力としての十分な結果がでなければその時は……」


(その時は…どうなるんだ!?)


「これまでの召喚者のように客人としてもてなすように」


(良かった〜、追放とかされなくてそれにしてもこれ客人としてもてなされたほうが絶対楽だろ。ちょっと興味を惹かれるけどそれじゃあ向こうと同じでつまんないから俺はしないけど、なにより魔法を使ってみたいし)


「では、そのように。訓練時の指導者としてはいかがいたしましょう。」

「私に任せてはいただけないでしょうか」


エーデルフィア様が俺の指導者として自身に白羽の矢を立てる。


「エーデルフィア自身が言い始めたことだ、よいだろう。分かってはいるだろうが通常の業務などにも支障が出ることがないように。」

「承知しております。」


エーデルフィア様が言い出したこととはいえ、本人が俺の指導に当たるということで騎士たちは怪訝な顔をする。女騎士に至っては今にも飛びかかってきそうだ。しかし、王が決定したことであるため、誰も口をはさむ者はいなかった。


グロースアートが少し険しい表情で口を開く。


「それと最後に、聞かれることがなかったのでお答えしておきます。紅鷹殿のもといた世界へと戻す方法はまだ、残念ながら見つかっておりません。先に謝罪申し上げます。しかし、ここでの暮らし…」

「そのことならあまり気にしてませんのでどうかお気になさらず」

「!そ、そうですか、ではここでの話は以上になります。」


俺が即答でこの世界に残る意志を示したため、周りの騎士たちも含め驚いた様子を見せる。


(まあ、普通というか大抵の人は帰りたいと思うし、帰らせろとか不満を漏らす人もいるだろうけど俺の場合は別だからな)


ということなのでようやくこの重苦しい場から退出しメイドさん連れられて元の客室に戻ってくる。


「はぁー疲れたー、というか国王様マジで威厳ありすぎだろ、それとエーデルフィア様にはマジで感謝だな」


先ほどの緊張のある場から離れてつい砕けた独り言が漏れる。


「流石にお疲れのようですね?紅鷹様」

「おお!ビックリしたァー」


椅子に座ってふんぞり返っているといつの間にか近づいていたアリッシェさんが顔を覗き込むように声をかけてきた。


(気配でも殺してきたのかってぐらい気づかなかった)


「それで、どうでしたか?魔法については?」

「ああ、え〜と属性が雷で魔力保有量が2000でした。」

「雷ですか!それはそれは…魔力保有量は正直ショボいですね、それにしても雷とは…」

「やっぱり、アリッシェさんも同じ反応なさるんですね。とういかショボいって辛辣な……」


魔力保有量のショボさはともかく、さっきも同じような反応を示した人たちが多かった。特に属性の雷に対しては過剰とも取れる反応を示していた。


「それはそうでしょうね。私はあまり詳しくは知らないのですが少し前に同じように雷属性を持った陛下のご令弟様がいらしたんですよ。そのお方、とても強いお方で二つ名で『雷帝』なんて呼ばれており王国最強、人によっては史上最強とまで言われておりました」


(おお〜すげぇ二つ名とかあるのか、カッコいいな ということはそんな化け物みたいに強い人と同じ属性だから期待されたということか?残念ながら期待されるほど強くないと思うんですけど…)


「しかし、そのお方がある日突然暴れて出して先代の陛下と現在の陛下つまり実の父親と兄を殺そうとしたらしく…先代はその時の傷が酷く今も寝たきりの状態です。そのためグラウザム様は若くして現国王となりました。陛下のご令弟とはいえ王国の国王を殺そうとしたことで死刑は免れませんでした。そのことがキッカケで人々の記憶にも雷の属性はあまり良い印象が残ってないんですよ。」


(お、おお…それは雷属性を素直に喜べないな……これは俺の印象をよくしておかないといけなさそうだぞ)


そんなこんなで休憩をしてアリッシェさんとお話をしながらコーヒーを飲んでいるところでコンコンと扉を叩く音と共にエーデルフィア様が入室する。


「紅鷹様、準備が整いましたのでさっそくではありますが訓練に参りたいと思います。準備はよろしいですか?」


いつもの柔らかい表情はなく真剣な眼差しで俺を見据えてくる。


「はい、大丈夫です。それと、先ほどの進言に加えこのように私のために時間を割いてくださりありがとうございます。陛下に直接進言していただいたことで周囲の反対意見も出せなかったようですし」

「いえ、私はただ紅鷹様がこの国に必要なお方だと思っただけですので、でもまあこれで紅鷹様の指導ができますし計画通りですっ!!」

「ハハ…、それはよかったですねえ」


エーデルフィア様は意外にもしたたかだったようだ。

最後の言葉はともかく俺に期待してくれるエーデルフィア様のためにも頑張ろうと思う。


「それでは、ついてきてくださいませ」


エーデルフィア様についていき、部屋を出る直前でアリッシェさんがそっと耳元で囁く。


「エーデルフィア姫殿下は他人にも自身にも厳しいお方。その指導はスパルタになること間違いないでしょう。何人か倒れる者もいたようですが私は紅鷹様を信じております」


ニコッとそれはそれは可愛い笑顔でえげつないことを教えてくれた。


「あれ?ちょっとお腹の調子がよくないみたいです。コーヒー飲みすぎたせいカナ、チョット、トイレに……」


先ほどの決意など、どこへやら姑息な手ではあるがともかくこれはやっぱり一度心の準備が必要だ。だってこの後厳しい訓練が待ってるんだろ?いやいや、いきなりとか無理だって。

しかし、エーデルフィア様はそんな俺を逃がさない。


「紅鷹様、大丈夫です、そんなこと気にならなくなりますので」


これまた、ニコッと笑顔でえげつないことをいってきたあぁぁぁぁ!

トイレへと逃げようとする俺を扉の外で待機していた騎士に捕まり、引きずられ連れていかれる。


「ああああー、お願いだから少し待ってぇぇー」


アリッシェさんが手を合わせている。チーンという音が聞こえそうだった。





一応、明日更新予定です(無理かもしれません)

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