表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/214

#04 待ち時間でお喋り



「居たっ!リー姉っ!昨日話聞こうと思ったらすぐ帰っちまうし…ちょっとこっち来て話聞かせてっ!」


「…………あっ……………」


 やってきたのはルーエラ…リオの妹でした。

 そういやゆっくり話も出来てなかったよな、身内なのに。

 ルーエラが問答無用でリオの腕を引っ張っていこうとして、リオが俺の方を見た。


「いいよリオ、まだ時間あるみたいだし、ルーエラにもちゃんと話してあげな」


「………(コクっ……分、かった……。……あり、がとう…マスター………」


 そのままルーエラに酒場の方まで連行されていったリオ。

 どれくらい時間あるか分からないけど、ルーエラが聞きたいことくらいは話せるといいな。

 …リオの話し方だと結構時間掛かるんだよね…俺達が話聞いた時もそれなりに時間掛かったし。


 リオがルーエラに連行されてちょっとしたらラナが更新作業から戻って来た。


「はいっ、終わったよっみんなっ」


 更新の終わった皆のギルドカードをカウンター上に置いた後、自分のギルドカードを見てニコニコしてるラナ…そんなに嬉しいのか……。


「ありがと、ラナ。…ん、パーティー名とリーダーも変わっとるし、ラナの名前もちゃんと入っとるな」


「リオのやつは俺が預かっておくか」


「うふふ…これでナオトさんといつでも一緒……」


「この短期間で倍になったな…。これ、近い内に最大人数までいくんじゃねーの?」


「あとぉ二人ぃだねぇ〜。うん〜すぐぅ埋まりそうだぁねぇ〜、ふふっ」


「ま、ナオトだからねー。それはそれでいいんじゃない?楽しくなって」


「待て待て、これ以上増えるとか俺がいろいろパンクしちまうって……」


 そうは言っても称号のせいで何となく俺もそうなるんじゃないかと思ってたり…。

 獣人と竜人、あと幼女には気を付けないとマズいよな…極力接触は避けたいところだけど、まぁ無理だろうな……冒険していろんなところ行くんなら、それなりの出会いはあるだろうし。


「ま、増えたって別に何か問題あるワケじゃねーし、気にすることねーか」


「いやいや、そこは気にしようって。ただでさえみんなに囲まれて目立ってるってのに…。この街だから今は大丈夫なんだろうけど、他の所行ったらどうなるか……」


「別に何も変わらへんやろ。何かあったって今のウチらならどうにでも出来そうやし」


「そうだぁねぇ〜。それにぃ〜、ナオちゃんがぁ居てぇくれるからぁ〜ねぇ〜」


「だな。ま、むやみやたらに増やされんのはちと勘弁だけど、ナオトだしなぁ…そこはしゃーねぇか」


 人を何とかホイホイみたいに言わないで欲しいんだけど…しかもそれでしょうがないとか、どう思ってるんだよ皆……。


「それをしょうがないで済ますってとこに激しく違和感が…。何でみんなそんなに寛容なの?」


「寛容て…別に普通やん、なぁ?」


「そうね、特に変な所は無いんじゃないかな?」


「あーみんな、ナオトは漂流者なんだからまだこっちの世界の価値観?感覚?に慣れてないんだと思うよー」


「そうだよぉねぇ〜、こっちのぉ当たり前ぇがぁ〜ナオちゃんにはぁ〜まだぁ分からないぃかもぉねぇ〜」


「おいナオト、これだけは覚えとけよ。アタイら獣人はな、気に入ったやつにはとことん付いてく質なんだよ。それが強ぇやつなら尚更な。んで、自分が気に入ったやつなんだから、自分らと同じように気に入るやつがいてもおかしくねぇし、寄ってくるやつがいるのは当たり前って思ってっから気になんねーってだけの話だよ」


 この世界の獣人ってそういう性質なんだ…その、気に入る基準が激しく知りたいとこだけど。

 っていうか気にならないのか…それが寛容だと思うんだけどな…。


 しかし強いなんて漂流者だったら誰でもそうだろうし、こっちの世界の冒険者でも高ランクだったらそれなりの強さだと思うんだけどな…ホント何基準なんだろ?


「まぁ、概ねアーネの言う通りやけど、強いからってのはアーネだけやな」


「そこはぁ〜それぞれぇ違うかなぁ〜」


「そうね…わたしも特にナオトさんが強いからってだけで決めたわけじゃないし…」


 あ、気に入る基準はそれぞれ違うのね。

 そりゃそうか、獣人みんな同じ基準だったらハーレムだらけだろうしな…。

 けど、それならますます分かんない…俺を気に入った点が複数あるってことなんだろうけど、強さ以外は見当つかないや…。


「じゃあラナは何で決めたのさ?」


「えっ?っと、それは…ここじゃちょっと……」


「あーそれも次のメンバー会議の議題だな」


「ん?それ「も」?他にも何かあるのー?」


 えっと…議題ってことは、俺には教えてくれないってことですね…結構知りたいんですけど、ホント気になってるんで。

 ってかアーネはまた余計な事を…リズはこう見えて鋭いんだから拾うに決まってるだろう。


「ちょっ、アーネ!もう余計なこと言わんといてぇなっ!」


「…シータ……。何かあったのね……」


「え、あっ!いやいや何もあらへんよっ!うん、何もっ!」


「そんな態度とったらバレバレよ?シータちゃん。で?何があったのかなー?」


「あぁ、コイツな、夢の中でナオトとヤッちまったらしいぜー?」


「…?そういう夢を見たってこと?別に変じゃないと思うけど?」


 …個人で見る夢ならそうでしょうね、どんな夢を見るのも本人だけですから。

 しかもそういうのは本人が言わない限りバレるわけがないもので。


「それがねぇ〜、シーちゃんとぉナオちゃん〜まとめてぇサキュバスのぉお食事にぃ〜されちゃったぁみたいぃなんだよぉねぇ〜」


「えっ!?サキュバスって…あの、夢の中で精気を食べるっていう…?」


「そうそれ。今日朝一で会ってきたぜ。ファルシェナっつって、情報開示局の受付嬢してるやつだよ」


「あぁ…そういう……。ナルホドねー。で、それが?」



「「「「えっ?」」」」



「え?って…。だって、ヤッちゃったって言っても所詮夢の中なんでしょ?そんなの現実に勝てるわけないじゃない。ナオトだって現実の方がいいに決まってるでしょ?」



 ……やっぱり思った通りだった。


 確かに夢の中だからやりたい放題ってなれるのかもしれないけど、所詮は夢、そんな夢の中でなんて考えるよりも現実でそうなる方法を考えた方がいいって…リズなら言いそうってファルと話してた時思ったんだけど、ホントにその通りだった。


 だからリズの方がヤバいと思ったんだよな…。


 もし現実でシータがあんな風になってたらと思うと…いや、まぁあれは夢の中だったからこそあんな風になったんだろうけど、それでももし現実にそうなってたとしたら…夢の中と同じことになると思う、いや、思うじゃないな、同じことになる、と断言してもいいくらいだ。


 だってそれくらい可愛かったんだよ…あんなの夢の中だろうが現実だろうが我慢なんか出来るわけないって、俺には。


「……夢の中だからってのもあるんだよ…。現実の方がいいとかじゃなくて」


「ふーん…。ま、シータちゃんがどんな風にしてそうなっちゃったのかは参考になりそうだから、話は聞こうかなー?」


「リズ、それ聞いて現実で実践なんてするなよっ!」


「参考にって言ったでしょ?シータちゃんにはシータちゃんの、ワタシにはワタシのやり方ってのがあるんだから、同じことなんてしないよっ」


「ちょっ、何でもうウチが話す事前提になっとるんっ!?」


「そりゃアタイらが聞きたいからに決まってんじゃねーか」


「リズちゃんとぉ同じでぇ〜参考にぃなるかなぁ〜ってぇ〜」


「……シータ………嫌って言わせないからね……」


「うぅ……だって、恥ずいもんは恥ずいんや……」


「ワタシ達だけなんだから気にすることないでしょ?メンバー同士、情報は共有すべきってねっ」



「「「うんうん(〜)」」」



「そ、そんなぁ……」


 どうやっても回避は不可能らしい…俺のせいでホントすまんシータ……。



 こんな感じで受付カウンター前だったけどみんなでダベってたら、そこそこ時間が経ってたらしくブリュナ様がギルドにやってきた。

 隣にはゲインダルさんもいる、護衛ってとこだろうな。


 結局ずっと立ちっぱなしで話してたよ…座って待ってようかと思ってたのに。

 冒険者はほとんど居ないから受付塞いでても何の問題も無かったし…。


 ブリュナ様もすぐ受付カウンター前にいる俺達を見つけたらしく、ゲインダルさんと二人で真っ直ぐこっちに来てくれた。



「おはようごさいます、皆さん。お待たせしました」


「おはようございます、ブリュナ様。早速これから行きますか?」


「ええ、そうですね。もう領民達も揃っている頃でしょうし。馬車を用意してありますからそれで向かいましょう」


 おっと、馬車で移動とか流石は貴族様。

 でもいいのかな?俺達まで一緒で…。


「えっと、いいんですか?その、俺達ただの冒険者なんですけど…」


「勿論構いませんよ。それとギルドからも数名来てもらうことは出来ますか?物が物なので一緒に見て頂きたいと」


「あ、はい。ではマスターに伺ってきます。少々お待ちください」


 と、ラナとリズは一緒にフィルさんの所へ。

 もう出発するならリオを呼ばないとな、誰かにお願いしようか。


「誰かリオ呼んできてもらっていい?もうすぐ出るよって」


「分かったぁ〜、私がぁ呼んでぇくるぅねぇ〜」


「ありがとうマール、よろしく」


 マールが快く引き受けてくれたのでリオの事はお任せした。

 時間的に多分全部は聞けなかったんじゃないかと思うけど、そこはまたの機会ってことで、ごめんルーエラ。


 フィルさんを呼びに行ったラナとリズが、フィルさんと一緒に戻って来た…のはいいんだけど、その後ろにショーを抱っこしたクリス女史も付いて来てた…。

 なんかもう見慣れちゃったな、これ…ショーには悪いけど。


「おはようございます、ブリュナ様。先日はお疲れ様でした」


「おはようございます、フィル。ええ、お互いさまですけどね」


「それで解体の件ですが、ギルドからも人を出して欲しい、と」


「ええ、やはりあの大きさですからね…解体作業の進め方など、何か気付いた点や気になる事があれば意見を、と思いまして」


「なるほど、分かりました。では、サブマスのショーを出します。お願いしてもいいか?ショー」


「うん、分かった…けど、クリス…ブリュナ様の前なんだけど……」


「ええ、分かってますけど。それが何か?」


「………いえ、何でもないです……はぁ………」


「そうそう、フィル、私も行きますので」


「え、あぁ…分かった、ではショーと二人で頼むよ…」


「あ、あの、マスター、わたし達もいいですか…?」


「ふむ…今日は冒険者も少ないからな。分かった、許可しよう」


「あっ、ありがとうございますっ」


 どうやらラナとリズまで付いてくるらしい…結構な大所帯になったんじゃないか?これ…。

 全員は馬車に乗れないような。

 俺達は転移で行くか…フルメンバーで転移は初めてだなぁ……密着するのはもう無理だろうから普通にしてほしいところだけど。


「ブリュナ様、そこそこの人数になったので俺達は別で向かいますよ。移動手段はありますし」


「そうですか、分かりました。では外壁門前で待ち合わせということで」


「了解です」


 ということで、ブリュナ様とゲインダルさん、ショーとクリス女史が馬車で向かったのを見送った後、俺達は転移して行くことに。


 少ないとはいってもそこそこ人はいるし、目立たない所から行こうかな…受付カウンター奥の裏口を出てから転移すればいいか。


 リオを呼びに行ったマールもリオと一緒に戻って来たし、俺達も早速向かうとしよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ