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#03 黒惹華



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー






 情報開示局を後にした俺達は、そのまま真っ直ぐ冒険者ギルドへ向かった。


 領主様の所へお邪魔する前に、亀を片付けなきゃってことで、一先ずギルドにやってきたわけだ。

 ブリュナ様が領民達に声掛けてみるって言ってたけど、大丈夫だったんだろうか?まぁ、その辺もギルドに行って聞けば何か分かるだろう。


 ギルドに着いた俺達はそのまま中に入って、とりあえず受付に…別にクエスト受けるわけじゃないんだけど、まぁラナとリズが居るわけだし、会わないっていう選択肢は無いわけで。


 昨日の今日だからか、冒険者は普段より大分少なく、あっさり受付カウンターまで並ばず辿り着いた。



「あっ!ナオトさんっ、みんな!おはようっ」


「おはようラナ、朝から元気だな」


「そうですか?これがわたしの普通ですよっ、えへへっ」


 そうかなぁ、初めて会った時より元気に…っていうか、嬉しそうな感じが強いような。

 やっぱり…メンバーの一員になれたから…ってこと?


「ウソつけラナ、お前いっつもそんな感じじゃねーだろ。もっと受付嬢っぽかったわ」


「なぁラナ、ホンマにウチらと来るん…?」


「もちろん、そのつもりだよっ。今、後釜引き受けてくれそうな人に打診中なんだよねっ」


「えっと、さ。思ったんだけど、ラナが戻って来るんなら、俺もういら「ないわけねーだろがっ!」…あ、はい……」


「何言ってるんですか?ナオトさん。ナオトさんがいるからわたし戻るんですけど、冒険者に」


「そ、そうですね……」


 パーティー構成とかもう全然関係無かった…。

 本当にもう俺中心なんですね…未だに信じられない、この奇跡のような状況。


「そか、もう決めたんやな。ほんならラナも入れてパーティー情報更新してくれへんか?」


 そう言ってシータがギルドカードを出したから、それを皮切りに全員カードを受付カウンターに出した。


「あっ、そうだね!わたしも入れて…って、そうだランク差……」


「あー、そうだよ、ラナ組めねーじゃんか」


「そこは大丈夫よっ、このちっちゃいけど頼れるリズお姉さんに任せなさいって!」


 カウンター奥からリズもやってきて、メンバー勢揃いした。

 ヤバいなぁ俺…信じられないとかいいつつ、皆に囲まれてるとめちゃくちゃ顔緩みそうになる…やっぱ皆可愛すぎなんだって、ホント。

 なんでこんな可愛い娘達が俺に集まったんだ…?

 世界七不思議の一つって言ってもいいと思うんだけど。


「おはようリズ、今日もちっちゃくて可愛…ゲフンゲフンっ」


「なによー、そこまで言ったんならちゃんと最後まで言いなさいよー、もう…。でも、ありがとっ!にししっ」


 あーもースルッと口滑ったよ…ちっちゃい子見ると愛でたくなってどうしようもない…ニパッとした笑顔がまた最高にいい。

 誓ってロリコンではない、そこ間違えないようにっ。

 

「おはよぉ〜、リズちゃん〜。それでぇ大丈夫ってぇ何がぁ〜?」


「おはよっマールちゃん。もちろんラナのパーティー加入についてだよっ」


「え、何したん?」


「別に大したことじゃないよ?今回のナオトへの報酬、ラナをパーティーに入れること、にしといただけー」



「「「え…」」」



「ちょ、リズ、お前何勝手に決めてんだよ…」


「そ、そうや…ナオへの報酬やろ…?」


「あー、まぁよくよく考えたら特にこれと言って欲しいものもないし、それでいいんじゃないか?」


 そもそも今回の件は元々報酬目当てでやったわけじゃないし、くれるってこと自体おまけしてもらってる感じだし、だったらリズの言ってくれた報酬で十分なんじゃないかな?割と無茶言ってると思うし。


「ふっふーん、ナオトならそう言うと思ってたからねーっ。どうだみんな、参ったかー、にひっ」


「くっそ…その身体でドヤ顔されるとか…なんかすっげー敗北感が半端ねぇ……」


「ま、まぁ、ウチも?ナオならそう言うと思っとったし?ええんちゃうか?」


「後でぇ〜取ってぇ付けたぁ感がぁ〜半端ないぃねぇ〜、シーちゃん?ふふっ」


「そっ、そんなことあらへんやろっ!」


「あの、ナオトさん、いいんですか…?本当に報酬がそれで…」


「ん?あぁ、いいんじゃないか?っていうかそれしか無いと思うぞ?ラナも一緒に来るんなら」


 本当ならラナだけでクエスト熟してランク上げなきゃいけないところを無理言って免除してもらうようなもんなんだから、報酬としてはホント十分だろうし。

 今一番必要なものが貰えるってことで、それ一択だよな。


「ってことでもう話は付けてあるから、自分のランク更新してパーティー組んじゃいなさいよ、ラナ」


「リズちゃん〜お仕事ぉ早いぃねぇ〜っ」 


「ま、ねー。だってナオトのためだもん、これくらいはしないと、ねっ。にししっ」


「リズ…やっぱ良い娘だな……ちっちゃいけど」


「でしょ?だからもっと、いっぱい可愛がってくれても…いいのよ?にひっ」


 …受付カウンター挟んでなかったら抱っこしてよしよししてるとこだった…危ない危ない。

 見た目幼女だからこそ一番油断出来ない相手なんじゃないか、リズは…。

 俺単純だからソッコーで流されるぞ、これ……。


「リズ、ありがとねっ。じゃあ早速…って、そういえばパーティー情報の更新ってどうするの?」


「あ、うん、リーダーをナオに変更して、パーティー名変えたいんよ」


「あ、なるほど、そういうことねっ。パーティー名は何にする?」


「えっとな…ナオのハー「却下却下っ!!」…え、なして?」


「めっちゃモロじゃねーかっ!そんな喧伝するような名前は俺がイヤだっての!」


「あー、んじゃ、ナオトと「だから俺の名前を入れるなってのっ!!」…んだよ、分かりやすくていーじゃねーか」


 分かりやすくなくていいっ!俺の名前なんか入れたら、俺が皆連れてるの自慢してるヤツみたいになるじゃねーかっ!普通に無難なやつでいいんだっての!


「えっとぉ…じゃぁあ〜、ご主人様と「名前外しただけで変わってないからなそれっ!!」…えぇ〜……」


「………マスター、と従「リオはそのまま静かにしてようなっ?なっ?」………むぅ……分かっ、た…………」


「もっとこう、普通にありそうなパーティー名でいいんだって…。何でこう俺達の関係を全面に出すような感じにするんだよ……」


「まぁ、みんなの考えも分からなくはないけどねー」


「…は?何で?」


「んー、ほら、パーティー名でそうしとけば一目瞭然でしょ?変な奴等がちょっかい出してくる事も無くなるって思ってるんじゃない?」


 あー…そういう考えもあるのか…。

 確かに姫達やリオレベルだとそういうこともある、っていうかあったんだろうとは思うけど…それでも俺が耐えられないわ、そんなパーティー名付けて冒険するとか。


「まぁ、そういう考えもあるのは分かったけど…でも、俺がちょっと耐えられないから、直接的なのは勘弁してほしい…」


「しょーがないなぁー。じゃあ、闇に集いし獣、なんてどう?」


「闇って俺の事かよ…しかも獣って、確かに姫達は獣人だけどリオもいるんだし…。あとそれ、イメージ悪くないか?何か悪巧みしてる集団みたいな……」


 それか、闇に潜んで獲物を狙ってる魔物みたいな、そんなイメージが…。

 何ていうか、みんなネーミングセンスどうしちゃったの?まぁ、俺も人の事は言えないんですが…闇黒魔法とか魔刀剣術とか、厨二病全開だしな…。


「えっと、黒惹華…黒に惹かれる華、なんてどうですか…?って、自分たちのこと華なんて言っちゃってますけど……」



「「「「「「………」」」」」」



「あ…やっぱり今のは無しで…あはは……」



「…まぁ、ウチらを華なんてちょっと気ぃ引けるけど、ええんちゃうか…?」


「あぁ、何かしっくりきたわ…」


「私もぉ…いいんじゃないかなぁってぇ……」


「………マスター……黒い、し…………」


「うん、ワタシもいいと思うよ?ナオトは?」


「俺に惹かれるってところはちょっと照れるけど、みんな可愛い綺麗な華だしな…俺的にも結構気に入った………って、どうした…?」


 何か皆急にモジモジしだしたり、頬かいて明後日の方向向いたり、頬を手で押さえて照れた感じになったり…約一名微動だにしてないけど、若干顔に赤みがさしてたり。


「…まったく、ナオトってばさらっとそういう事言うんだから……」


「え?何が?」


「わ、わたし達のこと、か、可愛い綺麗な華って……」


「いや、本当にそう思ってるし…。周りからもそう見えてると思うけど…?」



「「「「「「……///」」」」」」



 俺としては事実を言ったまでなんだけど。

 え、やめてよそんな照れるの…俺がタラシみたいに見えるじゃないか…。


「ほ、ほらっ、みんな納得する名前も付いたことだし、これで更新頼むよ、ラナっ」


「…あ、はっ、はいっ!じゃ、じゃあこれで更新してきますねっ!」


 ぽーっとしてたラナを無理矢理行かせた…何か俺も時間差で恥ずくなってきたんだけど。

 そんな、皆を誑し込むつもりで言ったわけじゃなくてだね、素直に思ってること口に出しただけなんだよ…俺なんかがカッコつけたってサマになるわけないでしょうよっ。


 何かいたたまれなくなってきたから、ちょっと強引に話題を変えてみた…。


「そ、そういえばリズ、今日は冒険者達少ないみたいだけど、流石に昨日の今日だからクエスト受けてる人いないのか?」


「えっ、あー、みんな朝から出掛けてるよ?クエストってわけじゃ無いけど、ほら、昨日の戦場の後片付けに」


「あぁ、魔石とか武器回収か」


「そそ。あと街の人達もそれなりの人数一緒に行ってるってー」


 あ、街の人達も行ってるんだ…昨日ブリュナ様がみんなにお願いするって言ってたもんな。

 みんな手伝ってくれてるんだ、良かった。


「そっか。あ、じゃあ解体の話は聞いてない?」


「それも聞いてるよー。早い人はもう街の外で待ってるんじゃないかな?」


「え、それ俺待ちになるじゃん。ここでのんびりしてる場合じゃない?」


「いや、大丈夫よ。ここにブリュナ様が来る事になってるから、来たら一緒にいけばいいってさ」


「あ、そういう手筈になってるのね…了解。んじゃブリュナ様が来るまでここで待ってるとするか」


 思ったよりちゃんと手筈が整ってた…流石は領主の息子様、かなり優秀で。

 待ってればいいらしいから、ラナのパーティー更新作業が終わったら待合所か酒場で座って待つことにするかな。

 なんて考えてたら俺達の所へ向かって一人、ズカズカと歩いてくる人が…。



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